第79話 やりたい放題嘘つき女神
「あっ、また魔物がいるよ!今度こそエリスちゃんの魔法を」
――コロン……
「なんでー!?また消えちゃった!」
ミーナが魔物を見つけたと思ったら、またすぐに消滅し、魔石になってしまう。
「これもトラップ?エリスちゃんの魔法が見たいのにー!」
「うーん、残念ですねぇ……私も魔法をお見せしたいんですけど……」
頭を抱えるミーナ。
それを見てエリスも神妙な面持ちになる。
「ここは超高難易度ダンジョンですからねぇ。きっとたくさんのトラップが仕掛けられてるんじゃないですか?」
「えっ、ここそんな危ない場所だったの!?」
「はい♪そんな情報を何かの本で読んだことがあります♪だって、魔物が一瞬で消滅するなんて、普通ありえませんからねぇ……」
「そっか……ここそんな危険な場所なんだ……ってことはここまで進んでこれた私たちって結構すごい!?」
「そうですね♪私たち、すごいです♪」
「よーし!なんかやる気出てきた!こうなったらダンジョン中の魔物を探して、絶対エリスちゃんの魔法を見せてもらうんだから!」
「頑張ってください♪私は魔物探知なんてできませんから♪」
「まっかせて!」
そう言って胸を張りながら、魔物の生命反応を探るミーナ。
彼女はすぐに魔物を発見し、エリスの魔法を見せてもらおうとする。
しかし――
「いた!スケルトンだよエリスちゃん!」
「では今度こそ私の魔法を――」
――コロン……
「あれ?また消えちゃった!次行こ次!」
「はい♪」
そして先に進み、魔物を見つけるが――
「また魔物がいた!今度はスライムの大群だよ!エリスちゃん、今度こそお願い!」
「わかりました♪では魔法を――」
――コロン……
「えぇー!?また消えちゃった!?次!」
「はい♪」
さらに先に進み、魔物を見つけるが――
「またいた!なんかパタパタ飛んでるやつ!今度こそ!エリスちゃん!」
「いきますよ♪よく見ててくだ――」
――コロン……
「なんでぇー!?」
ミーナとエリスはダンジョン内を駆け巡り、次々と魔物に遭遇していたが……
エリスが魔法を撃とうとする度に、なぜか魔物が跡形もなく消滅し、魔石へと姿を変えてしまっていた。
「もうー、何が起こってるのー!?全部トラップってやつ!?このダンジョン、トラップが多すぎるよー」
「超高難易度ダンジョンですからね♪仕方ないですよ♪」
「せっかくエリスちゃんの属性がわかったのに、これじゃ肝心の魔法が見れないよー!」
「まあまあ♪そのうち見れますって♪ダンジョンは広いですから♪」
再び頭を抱えるミーナを慰めるエリス。
「バッグも魔石でパンパンだよー。これ持ち帰っていいのかな?私たち何もしてなくない?」
「まあいいんじゃないですか?落ちてたやつ拾い集めただけですし♪」
「そうなのかなぁー?」
「それに、これ全部持ち帰ってギルドに売ればそこそこ儲けられますよ?ラッキーですね♪」
「確かに!それならダンジョンから帰ったらみんなで打ち上げとかできるかも!楽しみだなー!」
ワクワクと胸を躍らせるミーナ。
すると、エリスが通路の端のほうを指差す。
「あっ、見てくださいミーナさん!あそこに宝箱がありますよ!マジックアイテムが入っているかもしれません♪」
「本当だ!なんか箱が置いてある!あれが宝箱?ダンジョンにはそういうのもあるんだねー」
「しかもここは超高難易度ダンジョンですからね♪きっとレアなアイテムが入ってますよ♪早速開けてみましょう♪」
大はしゃぎで宝箱まで向かう二人。
「ミーナさん、開けてみてください♪」
「あれ?でもこの箱、なんか変だよ?なにか邪悪な反応がする」
「呪いのアイテムが入っているとかですかね?それでしたらちょうどいいじゃないですか♪ミーナさんは光属性なんですから、浄化できますよ?呪いのアイテムは浄化すれば強力なアイテムへと変貌するんです♪」
「へぇー、そういうものなんだー。じゃあ、開けて中身を確認してみるね!」
ミーナがパカッと宝箱を開ける。
「グギャアッ!」
「わぁっ!?」
宝箱がミーナを飲み込もうと襲いかかってきた。
――コロン……
しかしすぐに箱は消滅し、魔石が転がる音が響き渡る。
ミーナは驚いて尻もちをついていた。
「な、なんだったの今の……?」
「今のはミミックですね。宝箱に化けて冒険者を襲う魔物です♪」
「た、食べられるかと思った……でもまた消滅しちゃったよ?こんな至近距離で、ミミックだけトラップにかかるなんておかしいんじゃ……?」
「今の消滅の原因は、恐らくミーナさんですね♪」
「えっ、私?なにもしてないよ?そんな暇なかったし……」
「襲おうとした相手が光属性だったので、そのまま浄化されてしまったんでしょう。ミミックは光属性に弱い魔物ですから♪」
「へぇー、そうなんだ。エリスちゃんはダンジョンにも魔物にもすごく詳しいんだね!」
「はい♪勉強家ですから♪」
エリスが尻もちをついているミーナに手を差し伸べる。
そうしてミーナが立ち上がったその時――
――ズドォォォォォン!!!
ダンジョン内にとてつもない爆音が響き渡った。
「今度はなに!?さっきの爆音と似たような音だったけど……この先から聞こえてきたよ!もしかして、とんでもない魔物がいるのかも!行こう、エリスちゃん!」
「はい♪きっとこのダンジョンのボスですよ♪」
タッタッ、と音がした場所へと向かうミーナとエリス。
しばらく走っていると、ダンジョン内の空気が変化していく。
「ここらへん、全然魔物の気配がしないね。あっ、大きな扉があるよ!」
「なんか雰囲気ありますねぇ……もしかして、ここが最奥部なんじゃないですか?きっと、このダンジョンのボスがいますよ♪」
「ボスかぁ……気合い入れないと!よし、じゃあいくよー!」
――ギィィィィィィ……
「えっ」
ミーナが扉を開け、二人が部屋の中を覗くと、凄まじい光景が広がっていた。
部屋の中央に大きな窪みができており、その中心には大きな魔石。
そして、そのそばにはセレスティアとオフィーリアがいる。
「ああー!もうボス倒されちゃってるじゃん!」
「ふふっ♪ちょっとゆっくりしすぎましたかね、私たち♪」
「そんなぁー」
さらに頭を抱えるミーナと、それをニヤニヤしながら見つめるエリスであった。




