第78話 ミーナとエリスのダンジョン探索
――時は少し遡り、ミーナとエリスのコンビ。
「いやぁー、ダンジョンなんて初めてだからわくわくするねー!」
「そうですね♪」
「それにしてもエリスちゃんが闇属性だったなんてびっくりだよ!なんで隠してたのー?」
「ふふっ♪なんかミーナさんの反応が面白くてつい♪」
「もぉー、ひどいよー」
ミーナは頬を膨らませる。
二人がそんな会話をしながらダンジョン内に足を踏み入れていくと、通路は真っ暗闇だった。
「うわ、真っ暗だね。なにも見えないや」
「きゃー、こわーい♪ミーナさんなんとかしてくださいよー♪」
エリスが甘えるように、ミーナの腕にぎゅっ、と抱きつく。
「エリスちゃん、暗いところが苦手なんだね。よーし、私に任せて!『閃光球』!」
ミーナの手から小さな光の球が現れ、真っ暗な通路を照らした。
「これでどう?通路が明るくなったからもう怖くないよ!」
「さすがです、ミーナさん♪よ〜く見えますね〜♪」
「えっへん!」
エリスに褒められ胸を張るミーナと、それをニヤニヤしながら見るエリス。
明るくなったことで足元もはっきりと見えるようになり、二人は並んでダンジョンの奥へと歩き出した。
そうしてしばらく進んでいくと――
「グルルルル……」
前方の暗がりから、ストーンウルフの群れが現れる。
「おっ、早速魔物が出たね!」
「ミーナさん。私ミーナさんの攻撃魔法が見てみたいです♪」
「えっ、そう?よーし、じゃあいくよー!」
ミーナは気合いを入れ、両手を魔物たちに向かって構える。
「『閃光弾』!」
――ボンボンボンボンッ!
ミーナの手から無数の光弾が飛んでいき、ストーンウルフたちに命中する。
「ギャウッ!?」「グギャッ!?」
光弾自体は小さく、一発の威力もそれほど高くない。
しかしミーナは桁違いの量の光弾を絶え間なく浴びせたため、ストーンウルフたちはたまらず倒れていった。
「やったー!倒せたよね?生命反応もなくなったし!」
「どうやらそうみたいですね♪ミーナさん、相変わらずとてつもない魔力量ですね♪あんな大量に光弾を放つなんてさすがです♪」
「えっ、そうかな?これくらい普通じゃないの?」
キョトンとした顔をして、首を傾げるミーナ。
桁違いの光弾を放ったのに汗一つかいていない。
そんな彼女を見て、エリスは楽しそうにしていた。
「ふふっ♪やっぱり面白いですね、ミーナさんは♪こっちを選んで正解でした♪」
「えっ、なになに?選ぶって何の話?」
「なんでもないでーす♪そんなことよりほら、倒した魔物が魔石になっていますよ?」
「あっ、本当だ。なんでなんで?私なんか変なことやっちゃった?」
「大丈夫ですよミーナさん。ダンジョン内の魔物は、倒したら消滅して魔石になるんです♪」
「えぇー、そうなのー?知らなかったー。ていうかエリスちゃんはなんで知ってるのー?」
「私、本を読むのが好きなんですよ♪それで知りました」
「へぇーそうなんだー。エリスちゃんって結構勉強家なんだね!」
「ふふっ♪そうですね♪では、魔石を拾い集めて先に進みましょうか♪」
「うん!」
二人は床に散らばった戦利品を手際よく回収すると、再びダンジョンの奥へと歩き出した。
「そういえばセレスティアちゃんたちはどこに行ったんだろう。私たちの後に入ったはずだから、後ろにいるはずだよね?でも、生命反応は後ろからは感じない……」
「きっと別ルートに行ったんじゃないですか?ダンジョン内は最奥部までたどり着くのにいくつものルートに分かれてるんですよ♪」
「そうなんだー。さすがエリスちゃん何でも知ってるね!」
「はい、私なんでも知ってるんです♪」
「あっ、じゃあさじゃあさ!闇魔法についても教えてよ!私魔法のことあんまり詳しくないからさー。闇属性のエリスちゃんにぜひ教えてもらいたいなー」
「いいですよ♪でも、魔法を撃つ相手がいませんねー。魔物がいれば実際に見せてあげることができるんですけど……」
「それなら私の『生命共鳴』の出番だね!魔物の反応を見つけるよー!」
ミーナが目を閉じ、静かに意識を研ぎ澄ます。
するとすぐに魔物の反応を見つけたのかパッ、と目を開いた。
「あっ、こっちのほうにいるみたい!いこいこ!」
「そんなに走ると危ないですよー♪」
タッタッ、と元気よく駆け出すミーナに、エリスは楽しげについていった。
「お、いたいた。骨の魔物だ!」
「スケルトンですね。魔法を試すにはちょうどいい魔物です♪」
「エリスちゃん、魔物にも詳しいんだねー」
「これも勉強しましたから♪あっ、ちなみにさっきミーナさんが倒した魔物はストーンウルフですよ♪」
「はぇー、勉強になるなぁー」
ミーナは目を輝かせ、うんうんと深く頷いている。
「それでは、早速私の闇魔法を見せてあげますね♪」
エリスたちに気づいてカシャカシャ、と音を鳴らしながら向かってくるスケルトンたち。
だが次の瞬間、コロン、と魔石が転がる音だけが通路に響いた。
そして、向かってきていたはずのスケルトンは、まるで最初から存在しなかったかのように跡形もなく消滅している。
突然の出来事に、ミーナはポカンと口を開けたまま固まっていた。
「えっ?あれ?消えた?」
「あれぇー?おかしいですねー?魔物が消えてしまいました……せっかく私の魔法を見せてあげようと思ってたのにー」
「見間違い……じゃないよね?魔石は転がってるし……」
「きっとダンジョン内になにかトラップがあってそれに引っかかったんじゃないですか?ほら、ダンジョン内って色んな仕掛けがあるって聞くじゃないですか♪」
「なるほどー、そういうことかー。魔物が引っかかっちゃうこともあるんだね!」
「ふふっ♪そうですね♪逆に魔物と戦わずに済んでラッキーじゃないですか?まだ先は長そうですし♪」
「確かに!あれ?でも結局エリスちゃんの魔法が見れないじゃん!」
「大丈夫ですよ♪ダンジョン内に魔物なんてたくさんいるんですから、きっとまたチャンスはあります♪」
「よーし!じゃあ魔石を拾って先に進もう!次魔物と出会ったらエリスちゃんの魔法見せてね?」
「はい♪」
期待に胸を膨らませながら迷宮の奥へと歩き出すミーナの後を、エリスがニヤニヤと笑みを浮かべながらついていく。
ほどなくして前方の暗がりから低い唸り声が響いてきた。
「グルルルル……」
ストーンウルフの群れがじっと二人の様子を伺っている。
「あっ、魔物がいるよ!ストーンウルフだっけ?さっき私が倒したやつだ!今度はエリスちゃん、お願い!」
「はい、では今度こそ私の魔法を見せてあげます♪」
「ガウッ!」
ストーンウルフたちが一斉にエリスたちに向かって飛びかかってきた。
――コロン……
「えっ?あれ?」
「また消えちゃいましたねー?」
襲いかかってきたはずのストーンウルフたちが跡形もなく消滅し、魔石が転がる音が響いた。
「またトラップ?またエリスちゃんの魔法が見れなかったよー」
「うーん、残念ですねぇ……ぜひミーナさんに、私の自慢の魔法を見て頂きたかったんですけど……」
「ふふん、大丈夫だよエリスちゃん。だって私には『生命共鳴』があるんだから!魔物なんてすぐ見つけられるもんね!」
「おおー、頼りになりますねー♪」
胸を張るミーナを見て、エリスが楽しげに笑う。
二人で和やかに魔石を回収していると、ダンジョン内に「ズドォォォォォン!!!!」と凄まじい爆音が響き渡る。
「えっ!?なになに?今度はなんなの?」
「きっとセレスティアさんたちですよ♪ほら、あの人たちめちゃくちゃなことしますから♪」
「それにしても音デカすぎじゃない!?どんな魔法を使ったんだろう……って私たちも早く先に進まなきゃ!」
「そうですね♪」
ミーナが索敵をしながら、二人はダンジョンを進んでいく。
すると大きな扉に辿り着いた。
「みてみてエリスちゃん!なんか大きな扉があるよ!」
「きっと強力な魔物が中にいる、いわゆるボス部屋ですね♪」
「あれ?でも中からは何も反応を感じないよ?」
「そうなんですか?とにかく入ってみましょうよ♪」
――ギィィィィィィ……
エリスが扉を開く音が響き渡る。
中には異常な光景が広がっていた。
「えっ!?なにこれ!?なんかあそこすごい窪んでない!?ていうか魔物いないし!」
「もしかして先ほどの大きな音は、この部屋の魔物を倒すための魔法の音だったんじゃないですか?それにしても派手にやりましたねぇ♪」
「てことは先に倒されちゃったってこと!?そんなぁ〜」
「ミーナさん、よく見てください。まだ奥に続く道がありますよ?この部屋はきっと中間地点です。最奥部までまだまだ道のりは長いみたいです♪」
そうしてエリスが奥へと続く道を指差すと、ミーナは再び気合いを入れる。
「よーし、じゃあまだ魔物と戦うチャンスはあるってことだね!今度こそエリスちゃんの魔法を見せてもらうぞー!」




