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第68話 ポーションできるかな?

「よっしゃー、早速実験だー」


無事に部室まで帰ってこられた俺たち。

帰ってきて早々部長は実験を始めようとする。


「部長は元気ですわね。わたくしはもうヘトヘトですわ」


俺は部室の端っこに椅子を見つけたので座り、もたれかかる。

さすがに人を三人も運んで疲れないはずがなかった。

するとリリィが心配そうにトテトテと駆け寄ってきた。


「大丈夫ですかセレスティア様……治癒魔法を使ってあげたいのですがあいにく私もヘトヘトで……」


リリィも俺へ強化魔法を使ったときの疲れがあるんだろう。


「気にしなくていいですわ。リリィも魔力を消費していますから。ほら、こちらにもう一つ椅子がありますわ」

「ありがとうございます……」


ちょこんと座り、一息つくリリィ。

エリスはそんな俺たちのことを見てニヤニヤしていた。


「あらら、お二人ともおつかれみたいですよ、部長さん?実験は私たちだけでやりましょう♪」

「えーそうなの?仕方ないなー。まあ結局火魔法を使えるのは私だしね。じゃあエリスくん、早速ヒールハーブとグリーンマッシュルームをちょうだい」

「はい、どうぞ♪」


エリスは採取用のバッグからヒールハーブとグリーンマッシュルームを取り出して、部長に渡していた。

俺とリリィは椅子に座りながら実験の様子を眺める。

爆発しないか不安だなぁ。


「ありがとう。ではまずグリーンマッシュルームを叩いて潰しながら、ヒールハーブと混ぜよう。エリスくんは水汲み場に行ってこの容器に水を入れてきてくれない?」

「了解です♪」


タッタッと走って部室を去るエリス。

そして部長は素材を木製のボウルに入れ、木の棒でトントンと叩いて潰しながら混ぜていた。


「よし、これくらいでいいかな。あとは水に……」

「汲んできました♪」


バタンと扉を開き、エリスが帰ってきた。


「わぁっ!?いや早いな!?水汲み場ってそんな近かったっけ?まあいいや。じゃあ早速これを水と混ぜよう」


エリスのやつ、誰も見てないからってなんか女神の力使ってズルしたんじゃないか?

まあ誰にも迷惑かかってないからいいか。

部長は潰したヒールハーブとグリーンマッシュルームをボタボタと容器の中に入れ、細い木の棒で水と混ぜる。

すると水が段々と深い緑色に変化していった。


「リリィ、あれ本当に合ってますの?ポーションってもっと鮮やかな緑色だった気が……」

「大丈夫ですよ、セレスティア様。素材はあれで間違いないので、きっと大丈夫ですよ……」


……なんかリリィも不安そうにしてないか?

まあリリィもポーションを作ったことはないから、作られる過程を見たことはないんだろう。


「よし、あとはこれを私の火魔法でいい具合に加熱すれば完成だ!」

「いよいよ……ですわね……」


ついに加熱の工程まできた。

いつもここで爆発させてるんだよな、この部長は。

でも爆発してたのは間違えてボムマッシュルームを使っていたからって可能性が高いし、今回はさすがに大丈夫なんじゃないか?

そう信じたい。


「『灯炎キンドルファイア』」


――ボッ!


部長の指先に小さな火が灯る。

へぇ〜、俺が初めて火魔法を使ったときもあんな感じの火が出た気がするけど、こういう使い方するんだな〜。

部長は指先をもう片方の手で持っている容器に近づける。

しばらくすると容器の中の液体がぐつぐつと煮立ってきた。


「大丈夫ですわよね!?爆発しませんわよね!?」

「大丈夫だって!セレスティアくんは心配性だなぁ」


今まで爆発させてたんだからそりゃ心配するに決まってるだろ!

容器内はずっとぐつぐつとしている。

すると――


――キラァァァァァン!


容器の中が光輝き、中の液体が鮮やかな緑色に変化していた!


「おお!見てよみんな!これ成功じゃない!?」


部長は火を消して、容器を両手で持ち中を眺めている。

俺とリリィも思わず椅子から立ち上がり、部長のもとまで来ていた。


「すごいですわ!まさか本当に成功するなんて!」

「よかったですね、部長!」

「さすが部長さんですね♪完璧にポーションですよこれは。早速飲んで効果を確かめてみては?」


エリスはひょいっと部長の手から容器を奪い、俺に手渡してきた。


「えっ、ちょっ」

「セレスティアさん、私たちを運んでお疲れでしょう?どうぞ♪」

「えっ?いいんですの?では早速頂きますわ」


エリスの言う通り俺はヘトヘトだ。

出来立てのポーションをごくごくと飲んでいく。


「まっず!!!!!」

「ポーションですからね♪」

「あぁ〜私が初めて作ったポーションがぁ〜!」


部長が嘆いているなか、俺の身体はみるみるうちに回復していった!

魔力を消費したときの気だるさが嘘のようにスッと消えていく。


「うおー、凄いですわ!ちゃんと効果ありますわこれ!」


相変わらず変な味だが、逆に言えばいつもと同じ味だ。

それに効果もちゃんと実感できる!

どうやら部長の実験は成功したみたいだ!


「やりましたわね部長!実験は成功ですわ!」

「やったー!でも全部君が飲んじゃったじゃん!成功の証がぁ〜」

「何言ってるんですの、ポーションは飲むものなんですから、ちゃんと役割を果たしているではありませんか」

「まあそうなんだけどさぁ〜。せめて自分で飲みたかったなぁ〜。最初くらいはさぁ〜」

「落ち着いてください部長!作り方はわかったんですからまた作りましょう!」


せっかく実験が成功したというのに部長が不貞腐れてしまった。

そんな部長をリリィが励ましている。


「あっ、そうだ!部長、これを差し上げますから機嫌を直してくださいまし」

「えっ、なに?ってポーションじゃん!」

「この前クエストで貰ったものですわ。飲んでしまったお詫びに代わりのポーションを差し上げますわ」

「えぇ〜、でもこれ私が作ったやつじゃないしなぁ〜。でも貰っとこ」


文句を言いながらもちゃんと貰ってくれた。

これは機嫌を直してくれたってことでいいのかな?


「よし、じゃあポーション実験も成功したことだし今日は解散にしよう!もういい時間だしね」

「そうですわね、ではわたくしは帰りますわ」

「私もセレスティアさんと一緒に帰りましょうかね♪」

「あの……私は読みたい本があるので図書館に寄っていこうと思います……!」

「私は部室に残って実験の片付けとかおさらいでもしようかな〜」


こうして部長は部室に残り、リリィとも別れ、俺とエリスは寮に帰ることになった。


「それでは部長、リリィ、ごきげんよう」

「またね〜」

「セレスティア様、ありがとうございました!またよろしくお願いします!」


そしてエリスと二人きりの帰り道――


「いやぁ~楽しかったですね〜♪」

「めちゃくちゃ疲れたけどな。でもなんだかんだ楽しかったな。実験も成功したし」

「はい♪それにしても部長さんは面白い方ですね〜♪私はただの見学者なのに、もう部員として扱ってますもん♪」

「え?」

「私、まだ入部届出してないですよ?」

「言われてみれば!お前そもそも入る気あんの?」

「どうですかねぇ〜♪面白いしありかも?ま、気が向いたら考えておきます♪」

「はぁ……相変わらずだなお前は」

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