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第67話 活性励起と高速移動

「あー、早く帰りたい!なんか高速で帰る魔法とかないかなー。時間が惜しいよ。早く実験したーい!」


帰り道、いきなり部長が突拍子もないことを言い出す。


「なにバカなこと言ってるんですの?そんな都合がいい魔法ないでしょう」

「え〜?だってぇ〜、採取に思ったより時間かかっちゃったし〜」

「誰のせいだと思ってるんですの!?」


まったくこの部長は相変わらずだな……


「高速移動する魔法を使えばいいんじゃないですか?」


するとエリスがそんな提案をする。


「あぁ〜その手があったか!でも魔力の消費が激しいし、あんま効果時間も長くない。学園まで魔力がもつかなぁ?」

「大丈夫ですよ部長さん♪ここにはセレスティアさんがいるんですから♪」

「えっわたくし?」


唐突に俺に振ってくるエリス。


「無敵のセレスティアさんなら、みんなを担いで高速移動くらいできるでしょう?」

「いやさすがに無茶ですわ!?」


とんでもないこと言い出したぞこいつ!

いくらなんでも無理だろう!


「えっ、そうなの?」

「はい♪セレスティアさんはまるで瞬間移動してるかのようなスピードで移動できるんです♪それに力持ちですし♪」

「そうなんだ!じゃあセレスティアくん、私たちを学園まで運んでよ」

「ちょっと!?何勝手に話進めてるんですの!?」


エリスの過剰な持ち上げを信じて、部長が目を輝かせている。

エリスは直接的には言ってないが、要するに『時間停止オーバークロック』で時を止めつつ『身体強化アクティベート』で肉体強化してみんなを運べってことか?

いや無理だ!

ここから学園まで結構な距離あるし、そこまでの間ずっと時は止められないし魔力がもたない!


「なんだー、できないのかー」


冷めた目で見てくる部長。

むっかぁ〜!

そんなことを言われ、俺の闘志に火がついた。


「ふん、できないなんて言ってませんわ。……やってやりますわよ!」

「おおー」

「ふふっ♪さすがセレスティアさんですね♪」

「セレスティア様……?大丈夫なんですか……?」

「もちろんですわ!」


リリィだけだ、俺のこと心配してくれるの。

なんか部長の視線にムカついてつい啖呵を切ってしまったがどうしよう。

なにも考えてないぞ?

ええと、まずは時を止めて……いやそれだと魔力がもたないから……

そうだ!そもそも時を止める必要はないのでは?

当たり前のように使っていたので忘れていたが『時間停止オーバークロック』は『高速移動クロックアップ』を極めた者だけが使える魔法だ。

普通に『高速移動クロックアップ』を使えばいいじゃん!

これなら魔力の消費もだいぶ抑えることができるしな。

よし、いける!


「ではまず『身体強化アクティベート』を……」

「あの……!セレスティア様、私もサポートします!」

「リリィ?なにをするつもりですの?」


リリィが俺に向かって手のひらをかざす。


「セレスティア様に強化魔法をかけてみます……!『活性励起エンチャント』!」


――ブォォォォォォ……


すると身体からみるみる力が湧いてきた!


「なんですのこれ!?力がみなぎってきますわ!」

「うまくいったみたいでよかったです……!」

「ありがとうリリィ。いつの間にこんな魔法を?」

「実はオークジェネラルのクエストのあとに勉強をしていたんです。サフィア様にも手伝ってもらいました。あの時はなにもできなかったので、私もなにか役に立ちたいと思いまして……」


なんて健気な子なんだ。

サフィアともルームメイトとして仲良くやっているんだな。

これだけ強化されたなら、自分で強化しなくても三人を運ぶことができそうだ。


「まあ!二人ともラブラブで微笑ましいですね♪」

「もぉーそういうのいいから早く運んでよー」


うるさいなこいつら!

ていうかエリスは自分で移動できるだろ!

女神バレしたくないから一般人のふりしてるのはわかるが、好き放題しやがって!


「はいはい、行きますわよ」


俺は右腕でリリィ、左腕で部長を抱える。

悪役令嬢らしからぬシュールな光景だが、こうするしかないので仕方ない。


「わぁっ!」

「うああっ!リリィくんに強化されてるとはいえ、こんな軽々と持ち上げるなんて!」

「あれぇ?私は?置いていくつもりですか?」

「あなたはわたくしの背中に掴まってなさい。振り落とされても知りませんわ」

「ひどーい♪」


そんなこと言いながらも、エリスは俺の背中にぴたっと密着して首に腕を回してきた。

こいつのことだから振り落とされるなんてことはないだろう。


「それでは行きますわよ!『高速移動クロックアップ』」


――ビューーーーーン!!!


俺はとてつもないスピードで森の中を駆け抜ける。周りの景色が線のように流れていく。


「うあああああああ!息がっ!息ができないぃぃ!」

「すごく加速してます……!目が開けられませんっ!」

「あははっ♪さすがですね♪」


こうして一瞬にして街の入口にたどり着いた。


「あれ?もう終わり?まだ部室まで着いてないじゃん!」

「さすがに街中や学園で駆け回るわけにはいかないでしょう。ここまでですわ」

「ちぇ〜、まあまた生徒会に目つけられたら厄介だししょうがないか」


素直に言うことを聞いてくれる部長。

魔法研究会を守りたいという気持ちは本当なんだよな。

いつもこうだったらいいんだけどな……

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