第64話 ポーション素材を集めよう
というわけで、なんだかんだありながらも近くの森に着いた俺たち魔法研究会 with エリス。
着いたのはいいがポーションの素材なんか全然知らんぞ。
「部長、素材ってどういうものですの?なんか変なもの入ってたりしないでしょうね」
「そんなまさか。回復用のポーションにそんな変なもん入れるわけないでしょ。魔物退治のために使うような毒とは違うんだよ」
「あっ、そういうのもあるんですのね」
色んなアイテムがあるんだな〜。
それにしても珍しく部長が真面目に見える。
まあ爆発とかもわざとやってるわけではないだろうから本人はずっと真面目なんだろうけど。
「とりあえずヒールハーブとグリーンマッシュルームを探そう!」
「ヒール?グリーン?なんですのそれ?」
「なんも知らないじゃんこの人。ちょっとリリィくん、教えてあげてよぉ〜。私説明とか苦手だし」
またリリィにいきなり話を振る部長。
しかし部長に教わるリリィに教わったほうが良さそうだしこれでいいか。
リリィもそんな嫌そうな感じしてないし。
「はい、そうですね……口だけで説明するのもなんですし、探しながら説明しましょうか……」
「あっ、それなら二手に分かれませんか?そっちのほうが効率よく集められますよ♪」
エリスがそんな提案をする。
「私も部長に魔法研究会のこと色々聞きたいですし、ちょうどいいんじゃないですか?」
「おぉ〜、そこまで興味を持ってくれて嬉しいよエリスくん!確かに君の言う通りそっちのほうがいいかもね」
そうだな。
なんか危険な魔物が出る可能性もあるけど、向こうにはエリス、こっちには俺がいるから大丈夫か。
「わたくしも賛成ですわ。二手に分かれましょう」
「セレスティアさん、ちゃんとリリィさんを守ってあげてくださいね♪」
そう言って俺にウインクしてくるエリス。
言われなくても当然守るに決まってる。
……もしかしてエリスは俺とリリィを二人きりにするように気を遣ってくれたのかな?
いやただの気まぐれか?
こいつのことだ。
考えても無駄だしまあいいか。
「それじゃあエリスくん。私たちはあっちを探そう」
「それでは私たちはこちらですね……セレスティア様」
こうして俺らは二手に分かれ、よくわからんハーブとキノコを探しに行くことになった。
部長エリスコンビと分かれ、二人で森を歩き進めていく。
静かな森の中でリリィと二人きりだ。
そういえば、リリィと二人きりになるのって実は今まであんまなかったんじゃないか?
なんだか少しドキドキしてきた。
「……」
「……」
どうしよう。
なんか変に意識してしまって言葉が出てこない。
ただでさえ静かな森がより静かに感じられてしまう。
リリィもあんまり自分から話すタイプではないだろうしなぁ。
なんて考えていたらリリィが声をかけてきた。
「セレスティア様、あそこを見てください!ヒールハーブがあります!」
リリィはいつもより少し大きめな声で木の根元を指差した。
「確かになにか生えてますわね。あれがヒールハーブですの?」
リリィが指さした根元を見ると、ギザギザした葉っぱの草が生えていた。
「はい、ヒールハーブは日陰の湿った場所に生えやすいんですよ」
「ほぇ〜、そうなんですのね」
「見てください、この葉の裏側の模様がヒールハーブである証拠なんです……!」
普段はオドオドしているリリィだが、読書が好きみたいだし知識が豊富なのだろう。
植物について語っているときの彼女は人が変わったように生き生きとしていた。
魔法ほどではないがこういうのも好きなのかな。
リリィについて知るいい機会なのかもしれない。
「リリィは物知りですわね。凄いですわ」
「え、えへへ……本で読んだだけですから……」
リリィが褒められて照れてる。
かわいい。
「たとえそうだとしても立派ですわ。わたくしなんか何も知らないんですから」
「そんな……セレスティア様のほうが立派な方です!いつも私を守ってくれてるじゃないですか!いつも……その……ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ……」
リリィを褒めていたつもりがいつの間にかこっちが褒められていた。
なんか面と向かって言われると照れくさいな。
「り、リリィ!これではキリがありませんわ!ヒールハーブを探しましょう!もっとヒールハーブについて教えてくださる!?」
俺は照れ隠しでつい話を逸らしてしまった。
「は、はい!そ、そうですね!あっ、あっちにもありますよ!」
リリィも顔を赤くしながら、新しいヒールハーブを見つけていた。
「おぉ〜、これでたくさん採れますわね。部長もきっと大喜びですわ!ヒールハーブは木の根元を探して葉の裏側を見ればいいんですのよね?」
「はい!このように葉の裏側に模様がついてるのがヒールハーブです。ギザギザしているのも特徴ですが、雑草との見分け方はこの模様ですね!あっ……」
楽しそうに解説していたリリィが、急にハッとしてうつむいてしまった。
えっ、どうしたんだ?
「す、すみません……私、なんだか一人ではしゃいでしまって……」
「別に気にしなくていいですわ。ためになりますし、そういう楽しそうなリリィも可愛いですわよ?」
「か、かわいい……っ!?」
ぽっぽっと湯気が出そうなくらい赤面するリリィ。
ゆでダコみたいだ。
うん、やっぱり可愛いな。
俺が言ったことは本心でもあるし、リリィの好きなことに対する熱意を失ってほしくない。
もっと自分に自信を持てるようになれるといいんだが、そう簡単な話ではないだろう。
今はとりあえず素材採取だ。
「さて、あとはグリーンマッシュルームでしたっけ?どういうキノコですの?」
「えっ、あっ、はい!緑色のキノコです!」
……そのままだな。
緑色のキノコなんて目立つだろうし、俺でも見つけられそうだ。
早速周りを見渡してみる。
「おっ、あそこに緑色のキノコがありますわ。あれですわね」
俺は少し離れた倒木に、鮮やかな緑色のキノコが生えているのを見つけた。
わかりやすいなぁ。
きっとあれがグリーンマッシュルームだ。
さっそく採りに行こう。
「セレスティア様、待ってください!あれに近づいてはダメです!」
「えっ?」
すると、リリィが慌てて俺の腕を掴んで止める。
むぎゅ〜っと俺の腕を掴んでる姿がかわいいがそんなことを言っている場合ではない。
一体どういうことなんだろう?
あれがグリーンマッシュルームなんじゃないのか?
「あれは『グリーンマッシュルーム』にそっくりな『ボムマッシュルーム』です!見た目はほぼ同じですが、傘の裏がわずかに赤くなっているのが特徴で……熱を加えたりすると爆発を起こす危険なキノコなんです!」
「爆発!?」
うおお〜そうなのか!
危ない危ない……リリィが居てくれてよかった。
「やっぱりリリィは頼りになりますわね。止めてくれて助かりましたわ」
「いえそんな……セレスティア様が無事でよかったです……」
しかし爆発かあ。
このワードを聞くとあの部長が思い浮かぶなぁ。
……ん?
グリーンマッシュルームとそっくりで、爆発するキノコ……
「……リリィ」
「はい?」
「もしかして、部長がいつもポーション作りで爆発させてる原因って……これなのでは?」
「あっ……」
リリィも納得したような表情を浮かべていた。
「確かに……いつも採取は二人でやっていますが、部長だから大丈夫だろうとよく確認してなかったかもしれません……ポーション生成を試してるのもいつも部長ですし……」
なんということだ。
部長は自分のポンコツのせいで毎回爆発を引き起こしていたのか。
あんな自信満々だったのに……
――ドッッッッッカーーーン!!!
その時、森の奥の方から凄まじい爆発音と、森の木々が揺れ動く音が響き渡った。
俺たちは無言で爆発音がした方角を見る。
「今の方向って……」
「部長とエリス様が向かった方角ですね……」




