第57話 見栄っ張りのセレスティア
「君たち、あのオークジェネラルを倒したのかい!?」
「やるわね、あなたたち……まさかあいつを倒すなんて……私たちでは歯が立たなかったのに……」
オークジェネラルを倒し、帰ろうとしていると、さっきリリィが助けたパーティーの人たちに話しかけられた。
「ふん!当然ですわ!わたくしたちは無敵ですから!」
どうせ知らない人たちだし、せっかくだから悪役令嬢らしく威張っておくか。
「おおすごい……!そこの君も!治療してくれてありがとう!」
「えっ……そんな……私はただ……応急処置しただけで……」
リリィが褒められて、モジモジしながら照れてる。
かわいい。
「さっき助けてもらったお礼にこのポーションをあげるわ。本当はオークジェネラルに備えて用意したものだけど、使う暇もなかったから……」
「ポーション!?助かりますわぁ~」
なんとポーションを5本も貰った!
ラッキー!
こんなたくさんポーションが貰えるなんて!
おいしくないけど、めちゃくちゃ効果があるんだよなぁ。
「さっきは威張ってたくせに」
「うるさいですわよサフィア。このポーションはありがたく受け取らせていただきますわ!それではごきげんよう。行きますわよ二人とも!」
サフィアが余計なことを言う前にさっさと退散してしまおう。
俺はスタスタとその場を去っていく。
「セレスティア」
すると後ろからサフィアに声をかけられたので、振り返る。
「なんですの?早く行きますわよ!」
「そっち、森の奥。ギルドの反対」
「へ?」
サフィアは真顔で反対方向を指差し、その横でリリィは気まずそうに目を泳がせていた。
そして、助けたパーティーの人たちも不思議そうな顔でこちらを見ている。
……めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん!!!
「わ、分かってますわよ!そこの方々のために、少し周辺の安全確認をして差し上げただけですわ!」
俺は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、あまりにも無理がある言い訳をしてごまかした。
多分ごまかせてないけど……
今度こそ正しい方向へとスタスタと早歩きする。
すると、後ろから感謝の言葉が聞こえてきた。
「本当にありがとな~!」
「……なんか変な子だったわね」
そうしてクール(?)に去ったあと――
俺は歩きながら考えていた。
治癒魔法をかけてもらったとはいえ、身体はまだヘトヘトだ……
早速さっき貰ったポーションを飲んでしまおう。
「ほら、サフィア。それにリリィも」
「うん。ありがとう」
「えっ……?私はいいですよ……?戦ってないですし……」
「何言ってるんですのリリィ。さっきの方たちの治療で魔力を使ったでしょう。あなたも飲むべきですわ。あの方たちはあなたにもちゃんとお礼を言っていたわけですし」
「セレスティア様……ありがとうございます……!では、頂きます……!」
――ごくごく
俺たち三人は、貰ったポーションを飲む。
「まっず!!!!!」
「ポーションですから……」
サフィアとリリィは普通に飲んでいるが、俺はまだこの味には慣れない……
相変わらず草と泥を混ぜたような変な味がする……
しかし、身体がみるみるうちに回復していく!
「うおー生き返りますわぁ~!!!」
「いちいち大げさ」
「こういうのは勢いですわ!こうして口に出すと、なんか凄く回復した気がしません?」
こういうのは気持ちを口に出すことも大切なんだ!
「そうなの?」
「そういうもの……なのでしょうか……?」
サフィアとリリィはいまいちピンと来てないようだった。
まあいいか。
「そんなことより早く帰りましょう。体力も回復したことですし。報酬が待ってますわ!」
「あと肉もね」
ずっと言ってるなこいつ……
「あの……残りのポーションはセレスティア様とサフィア様が持っておいてください……私はあまり使う機会がないですから……」
「うん、ありがとう。貰っとく」
そうか、5本貰ったから2本余っているのか。
俺も素直に貰っておこう。
「ありがとうございます、リリィ」
俺はサフィアに余ったポーションを1本渡し、もう1本は懐にしまう。
そうして、俺たちパーティーはギルドへと歩き続けていたのだった。




