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第55話 水弓

「おっ、いましたわね。あれがオークジェネラル……!でっかいですわね〜」


俺たちは茂みから様子をうかがう。

豚のような顔をした人型の魔物。

手には木で作った棍棒のようなものを持って歩いている。

あれを武器にしているのか。

実際に目の前にしてテンションが上がっている俺とは対照的に、サフィアはテンションが低い。

残念そうに言う。


「ちっ、勘が外れた」

「どういうことですの?目の前に標的がいるではありませんか」

「違う。あれはただのオーク。オークジェネラルじゃない」


そうなのか!?

ただのオークですらあんなにデカいのかよ!

初めて見たから知らなかった。

ていうか、俺はあれを食べてたんだな……


「どうしますの?あれも立派な肉ですけど……今回の目標はオークジェネラルですわよね?」

「うん。でもせっかくだから、対オークジェネラルの予習がてら討伐しよう」

「要するに『食べたい』ってことですわね」

「えっ……いいんですか……?あまり魔力は無駄遣いしないほうがいいんじゃ……」


リリィが不安そうに言う。

確かにリリィの言うとおりだ。

これから強い魔物を相手にしなきゃいけないのに無駄に体力や魔力を消費するのはよくないかもしれない。


「大丈夫。一瞬で終わらせる」


しかしサフィアはそう言い切った。

自信たっぷりといった感じだ。


「オークのコアは胸あたりにある。そこを一撃で破壊する事ができれば、魔力の消費は最低限で終わる。それに、獲物を無駄に傷つけずに済むから食べる部分が減らない」

「結局そこが重要なんですのね……やたらと自信があるようですが、なにか作戦があるんですの?」

「うん。リリィ、あいつに向かって魔法を撃って」

「えっ……私がやるんですか……?」


リリィが自分を指差して驚いた表情をする。

そらそうなる。

実戦経験がないリリィにいきなりやらせるなんて俺もびっくりだ。


「わたくしではダメなんですの?」

「セレスティアは魔法の威力が強すぎるからだめ。全部吹っ飛ばしたらどうするの」

「そんなことは……ない……ですわ……」


思わず目を逸らしてしまった。

俺も吹っ飛ばさないとは言い切れない……


「大丈夫。リリィならできる」

「わかりました……やってみます……!」


そうしてリリィは気合を入れ、両手を構える。


「いきます!『疾風の刃ウィンドカッター』!」


――ズババババッ!


リリィが放った複数の風の刃がオークに向かって飛んでいく!

しかし……


――ぺちぺち……


「グォ?」


命中はしたがオークはまったくダメージを受けていない!?

リリィの魔法の威力が低すぎたのか?

そして当然オークは風の刃が飛んできた方向、俺たちのいる方を向く。


「グォォォォォ!」


そして、木の棍棒のようなものを振り回そうと俺たちに向かってきた!


「あぅ……やっぱり私なんかの魔法じゃだめです……全然効いてないですよぉ……」

「いや、これでいい。狙いやすくなった。こっちを向いてくれたおかげで」


そう言ってサフィアは前に出ると、弓を引くような構えをとる。


「『水弓ウォーターアロー』」

「あれは……水の弓矢ですの……?」


サフィアの手元に透き通る弓矢が形成されていた。

そしてサフィアは水の矢を放つ!


――シュパッ!


放たれた水の矢が、オークの胸に向かって一直線に飛んでいき、的確にコアを貫いた!


「グォォ……!」


バタンッとオークが倒れ、動かなくなる。

サフィアは宣言通り、一瞬でオークを仕留めてみせた。


「ふぅ。おわり」

「すごいですわ!なんなんですの今のは?」

「水の攻撃魔法ですよね!本で読んだことがあります!」


リリィも興奮気味に解説してくれる。


「『水弓ウォーターアロー』!高圧に圧縮した水を矢の形に固定し射出する魔法!本来形を持たない水の圧力と形状を同時に維持する高度な技術!その難度ゆえ使いこなせる人はなかなかいないと聞きましたが流石サフィア様です!それにエルフは弓矢の扱いが得意と聞いたことがありますがまさか水魔法で弓を作るなんて!しかも正確に敵の急所を撃ち抜く技術も見事でした!」

「うん。ありがとう」


サフィアはさらっと流しているが……

リリィ……完全にスイッチが入ってしまっているな。

相変わらず魔法のことになると、まるで人が変わったかのようになる。


「リリィ、落ち着いて!落ち着いて!」

「あぅ……すみません……つい……」


もじもじと恥ずかしそうにするリリィ。

顔も赤くなっていてかわいい。


「リリィもよかった。いい感じに敵の気を引いてくれた。狙いづらい角度だったから助かった」

「私でも……お役に立てたのでしょうか……」

「何言ってるんですのリリィ。当たり前ではありませんか!ねぇ、サフィア?」

「うん。リリィのおかげで肉が手に入った。ありがとう」

「あぅ……お役に立てたのなら……よかったです……!」


リリィは恥ずかしがりながらも、嬉しそうに微笑んだ。

まるで天使のような微笑みだ……!


「こいつは回収して、さっさと本命を探そう」


サフィアはマジックバッグでするする〜っとオークを回収した。

便利だなぁこのバッグ。


「じゃあセレスティア、さっきの光魔法で探して」

「エルフの勘はいいんですの?」

「そんなことを言っている場合じゃない。他のパーティーに獲物を横取りされたら困る」


サフィアもオークジェネラルの肉を求めて必死なようだ。

まあ俺も目的は一緒なわけだし、横取りされたら確かに嫌だな。

さっさと探そう。

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