第54話 エルフの勘
俺たち三人はオークジェネラルがいるという森を探索していた。
すると――
「あ、痕跡発見」
サフィアが立ち止まり、巨木がなぎ倒されている場所を指差す。
「ひぇっ……!あんな太い木がへし折られています……!」
「うん。これだけのパワーがあるってことは、筋肉繊維が発達してる証拠。噛みごたえがありそう」
「そこなんですのね……あなた、恐怖心とかはないんですの?」
「うん。食欲はある」
ブレないなこいつ。
リリィは怯えているというのに、サフィアときたら……
「さて、それで標的はどうやって見つけるんですの?」
そんなサフィアに、俺は問いかけた。
闇雲に歩いていても見つかるとは思えない。
何か作戦でもあるのだろうか。
「勘」
「は?」
何を言い出すんだこいつ。
そんなんで見つかるわけないだろ!
「いやいや勘って。いつもそうやって獲物を探していますの?」
「うん。エルフの勘は当たる」
「そんなバカな……」
ダメだこいつ。
これじゃお話にならない……
そうだ、リリィ!
リリィは論理的なタイプだし何か知ってるかもしれない。
「リリィ、オークジェネラルがどこにいるか予想できたりします?」
「すみません……私……討伐クエストは受けたことがなくて……魔物も見た目くらいしか……」
「そうですわよね……」
うーん……
リリィはあまり戦闘を好むようなタイプには見えないし、サフィアのように食欲旺盛というわけでもない。
魔物について何も知らなくても仕方ないか。
「大丈夫。私の勘は当たる。ほら、多分あっちの方向にいる」
そう言ってサフィアは自信満々に指を差しているが……
あんまり当てにしないほうがいいな。
「はぁ……わたくしがいてよかったですわね」
「どういうこと?」
「確実な方法で索敵しますわ。『生命共鳴』!」
――スゥゥゥゥゥ……
俺は目を閉じて、周囲の生命を探知する光魔法『生命共鳴』を発動させる。
オークジェネラルがどんなのかは知らないが相当強い魔物らしいし、普通の魔物よりも大きな生命反応が感じられるんじゃないか?
少なくとも、エルフの勘とやらよりは当てになるはずだ。
すると、近くにそれらしい大きな魔物の気配を感じ取ることができた!
「それっぽいのを見つけましたわ!」
「へぇ、分かるんだ」
「おそらく光魔法による探知……ですよね?本で読んだことがあります!すごいです!」
「うん。やっぱりセレスティアは面白い。今度はぜひ、クエストじゃなくて実験に付き合ってほしい」
なんか不穏な言葉が聞こえたが……
サフィアなりに褒めてくれてるんだよな……?
そして、感心している二人をよそに俺はあることに気づく。
「ん?」
「セレスティア様、どうされたのですか……?」
この魔物の気配がする方向は、まさか……
「向こうに魔物の気配を感じますわ……」
「ほら、やっぱり」
俺が指差した方向は、サフィアがさっき指差した方向と一緒だった。
「言ったでしょ。エルフの勘は当たるって」
「うぐぐ、やりますわねサフィア……」
「おお……セレスティア様もサフィア様も流石です……!」
リリィに褒められたのは嬉しいが……
ニヤリと得意げな顔で微笑むサフィアに、俺は謎の敗北感を感じてしまった。
なんか悔しいけどここは素直に認めて、標的がいる方向へと足を踏み出すのだった。




