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第45話 刺激を求める女神

「フォレストウルフ討伐クエスト?」


クレアが受けようとしている依頼書を見て、俺はそう問いかける。


「ええ、そうよ。近くの森にフォレストウルフの群れが現れて危険だから、討伐してほしいんだってさ」


フォレストウルフかぁ……

前回のスライムとは違って、いかにも凶暴そうだなぁ……


「危険じゃありませんの?」

「スライムよりは危険だけど、私たちが倒せない相手ではないわよ。特に森を吹き飛ばしかけたやつなら楽勝でしょ?」

「いつまで言ってますのそれ!?だから申し訳ありませんと言ってるではありませんか!」


ふふっと楽しそうに笑うクレア。


「まあまあ♪スライムより危険ではありますけど、その分報酬も貰えるので、借金まみれのセレスティアさんにはぴったりですね♪」

「だから返しますって!あなたもしつこいですわね!?」


ふふっ♪と楽しそうに笑うエリス。

これじゃあキリがない!


「とにかく!早くクエストを受けますわよ!」


俺は二人のからかいから逃げるように足早に受付へ向かい、クエスト受注の手続きを済ませる。


「こんにちは!今回はフォレストウルフの討伐クエストですね!パーティーメンバーはクレアさんとセレスティアさんとエリスさん……はい、受け付けました!それでは行ってらっしゃい!」

「ありがとうございます」


こうして俺たちは近くの森へ向かった。


三人で森の中を進んでいくと、少し開けた場所にフォレストウルフの群れがいた。

鋭い牙に獰猛な目つき。

いかにも凶暴な狼って感じだ。

俺たちは茂みに隠れながら様子を伺う。


「いい?あたしが群れを火魔法で一気に畳み掛けるから、あんたたちは逃したやつの処理をお願いね」

「はい♪任せてください♪」


エリスは即答するが、一気にやるとはどういうことだろう?

この前スライムに使ってたファイアーボールじゃ、一度に大勢の敵を倒せるとは思えないが……


「一体どんな魔法を使うつもりですの?」

「まあ見てなって」


そう言ってクレアは、手のひらを群れのほうに向け構える。

何か小さい火の玉がスゥ~っとフォレストウルフの群れの中心へ飛んでいった。

この前のよりも全然小さいじゃないか!

あまりにも小さいからか、フォレストウルフたちは全く気づいていない。

こんなんで倒せるのか?

俺は思わず不安になる。

しかし、それは杞憂に終わった。


「『爆炎フレアエクスプロージョン』!」


――カッ!


ドォォォォォォォン!!!


小さな球が弾け、目の前で大爆発が起きた。


「ギャオオオオオオン!」


爆風と炎に巻き込まれ、フォレストウルフたちが次々と吹き飛んでいく。

うおお、すげえ!

こういう広範囲の攻撃魔法もあるんだなぁ。

しかしド派手にやったなぁ。


「おや♪セレスティアさん、何匹か仕留め損なってるみたいですよ♪」


エリスが俺にやれと言わんばかりにニヤニヤしながら声をかけてくる。

いやお前は何もしないのかよ!

本当に見に来ただけじゃないか。

さっきは任せろって即答してたくせに。


「仕方ありませんわね。今度こそ上手く制御してみせますわ!『火球ファイアーボール』!」


俺は生き残ったフォレストウルフに向かって、火魔法を放つ。


――ドォォォォォン!


「ギャウッ!」


命中した!

しかも今回は暴走することなく、ちゃんとした火の球が出せたぞ!


「やりましたわ!ほら言ったでしょうクレア?これがわたくしの実力ですわ!」

「おぉ~やるわね」


素直にクレアは褒めてくれた。

俺は「ふふん!」と胸を張るが、ふとクレアの手元を見て気づく。

前回、俺の火魔法を消すために使っていた『ウォーターカプセル』がしっかりと握られていた。


「ちょっとそれ!全然信用してなかったんじゃないですの!?」

「ああ、ごめんつい……」


それ結構高いんでしょ!?

どうせ俺に代金支払わせるからって気軽に使おうとしてないか!?

そして、エリスはというと――


「ちょっと。なんで制御できちゃってるんですか。面白くないですね」

「なんでわたくしが怒られてるんですの……?」


理不尽な文句を言われた。

普通に倒したら倒したで文句を言われるのか……

まあいいか……今回はちゃんと魔法も制御できたし、討伐対象も片付けることができた。

これで討伐の証を回収すれば無事クエスト完了だな。


そういえば、こいつらの討伐の証は何なんだろう?

スライムのときはせっせと魔石を回収していたが。


「クレア?討伐の証はどうすればいいんですの?」

「そうね、こいつらの場合は本体そのものよ。牙とか毛皮とか色々使えるみたいだし」

「本体!?これ全部持って帰りますの!?三人いるとはいえ、いくらなんでも無茶なんじゃ……」


なんといっても群れだからな。

当然10体以上は転がっている。

このサイズの魔物を大量に持ち帰るなんて、到底できるとは思えないが……


「だからこれを使うのよ。『マジックバッグ』」


そう言ってクレアは小さなバッグを見せてきた。

なんだこれ?

10体どころか、1体も入りそうにないぞ?


「マジックバッグ?そんな小さいバッグに入るわけが……」

「ほいっと」


クレアがバッグを開き、倒れているフォレストウルフたちに向けると――

シュルルル~っとバッグの中に吸い込まれていった!?


「はい、これで終わりかな」

「はぇ~、こんな便利なマジックアイテムもありますのね」


次々と吸い込まれていく光景に目を丸くする。

こんな小さいバッグにあれだけの量が入るなんて凄いなぁ。

俺が感心していると、エリスがつまらなそうに呟いた。


「なんか、順調すぎませんか?面白くないですねぇ……」

「いいことじゃありませんの。このまま帰ってギルドに報告を……」

「もっと刺激がほしいですねぇ♪なにか起こらないかな~?」


そしてエリスは、突然「ピューッ」と高く指笛を吹いた。


「エリス?なにしてますの?」

「ちょっとした気分転換ですよ♪」


気分転換で指笛なんて吹くか?

俺が疑問に思っていると、何やらものすごく強大な気配が急速に近づいてくるのを感じた。

さっきの授業で光魔法の使い方を覚えたおかげで、なんとなく気配が分かるようになってる!

ってそんなことで喜んでる場合じゃない。

なんだこれは?

すごく大きい……上か……?


俺は恐る恐る空を見上げる。


――バッサァァァァァ!


そこには、巨大な翼を広げたドラゴンが1体、頭上から俺たちを見下ろしていた。

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