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第44話 魔法の無駄遣い

「ミーナ、クレアの魂ってどんな感じかわかりますの?」

「えっ?うん、わかるけど……急にどうしたの?」

「少々クレアに用事がありまして。探しているんですわ」

「そうなんだぁ~クレアちゃんはねぇ、なんというかこう火属性っぽく燃えてる感じかなぁ」


相変わらずふわふわしているが、俺はクレアとは一緒に戦ったこともあるし、彼女が強力な魔法使いだということも知っている。

ざっくりでもイメージできれば探し出せるような気がする。


「ありがとうミーナ、探してみますわ」

「頑張ってね!」


ミーナが応援してくれる。

そして俺は目を閉じ――


「『生命共鳴ソウルレゾナンス』!」


学園内にいる生徒たちの魂を感じ取る。

……さすがに多いな。

大きい学園だ、当然生徒数も多い。

この中から探すのか……

いや待てよ?

そもそも授業終わりなんだから、学園中探さなくても演習場近辺を探せばいいんだ。

火属性っぽい集団で、一際強いエネルギーを感じる魂を見つけることができれば……!


――ボォォォォォ!


「……見つけましたわ!」


予想通り火属性のほうも丁度授業終わりだったようで、すぐ見つけられた。


「見つかったんだね!よかった~」

「ええ。ミーナ、今日は誘っていただきありがとうございました」


俺は授業に誘ってくれたミーナにお礼を言う。

おかげでまた新しい出会いができた。


「また一緒に授業受けようね!」

「もちろんですわ。それではごきげんよう」


ミーナに挨拶し、俺はクレアを絶対に逃がさないために考えた作戦を実行する。


「『時間停止オーバークロック』!」


――カチッ


「セレスティアちゃんまたね……ってあれ?もういない?エリスちゃん、セレスティアちゃんが消えたんだけど!?ってエリスちゃんもいない!?どうなってるの~!?」


その場には、混乱しているミーナだけが取り残されていたのだった。


そして――

俺は時間を止め、クレアのいる場所に向かう。

逃がさないための作戦といっても時間を止めて会いに行くだけだが。

しかし、もし俺より早く誰かとクエストに行く約束をされていたら困る。

そのためにわざわざ時を止めて、一刻も早く会いに行くんだ。

時間を止める前にミーナが挨拶してくれようとしていた気がするが、まあいいか……

ミーナなら許してくれるだろう。

急いでたから仕方ない!


(いたっ!クレアだっ!)


そんなことを考えながら走っていると、クレアのところにたどり着いた。


――ヒュゥゥゥゥ……


そして『時間停止オーバークロック』の限界が来て、時間が動き出した。


「ごきげんよう、クレア」

「!?あんたいつの間に!?びっくりした、どこから現れたのよ」


俺はクレアにバレないように『治癒ヒール』で痛みを和らげながら、悪役令嬢らしく優雅に挨拶する。

クレアからしたら急に目の前に俺が現れたんだ。

そりゃあびっくりするだろう。


「てかなんで『治癒ヒール』使ってんのよ」


普通にバレていた。

これじゃあ格好つかないなぁ……


「そんなことはいいですわ。それより放課後一緒にクエストに行きません?今度はちゃんと魔法を制御してみせますわ!」

「そんなことって……まあいいや。別にいいけど、ほんとに大丈夫なの?」

「もちろんですわ!わたくしを誰だと思っていますの?」


俺が胸を張って答えると、クレアはさらっと言った。


「セレスティアだと思ってるから心配してるんだけど?」

「うぅ……」


痛いところを突かれた。

前回のクエストで森を半壊させた前科がある以上、強くは言い返せない。


「仕方ないですね♪今度は私もついていってあげますよ♪」


怪訝な目を向けてくるクレアに対し、不意に背後から楽しげな声がかけられる。

まさかと思い、声がしたほうを向くと彼女はいた。


「エリス!?あなたいつの間に!?」

「なんであんたたちは急に現れるわけ?なんなのよ、もう……」


そこにいたのは、いつものニコニコ顔を浮かべたエリスだった。

こいつ、俺が時間を止めて移動しているときについてきていたのか……


「セレスティアさんが暴走しないように『監視』しておきますから♪一緒にクエストに行ってあげてください♪」

「まあ、そこまで言うならいいけど……」

「よかったですね、セレスティアさん♪これで借金を――」

「あー!あー!余計なことは言わなくてよろしい!」


俺は慌てて大声を出して遮る。

しかし、時すでに遅し。勘のいいクレアはすぐに察したようだ。


「はぁ……あんたまた借金したの?前回もそんな理由だったじゃない……」


クレアは呆れながら言った。

深いため息をついている。

しまった……これじゃあクレアの中で俺のイメージが『借金返すためにクエスト行くやつ』に固定されてしまうじゃないか!

まったく、余計なこと言いやがって!

俺がエリスを睨みつけると、彼女は俺にしか聞こえないような小声で囁いてきた。


(ていうか、クレアさん捕まえるために『時間停止オーバークロック』を使うなんて、どんだけ必死なんですか。さすがの私もびっくりしましたよ。使い方間違ってません?)

(うるさいですね!わたくしの力をどんな使い方しようがわたくしの勝手でしょう!)

(まあ面白いからいいですけど♪しかしこれは『監視』が必要ですねぇ♪)


エリスはクスクスと笑っている。

なにかと理由をつけて、ついていきたいだけなんだろうに。

どうせ何言っても無駄なんだろう。

そんなふうに内緒話をしていると――


「あんたたち、またコソコソと何話してるのよ。いっつもあたしを仲間はずれにして。あーあ、一人で行っちゃおうかなぁ~」


クレアが不貞腐れて、一人で行ってしまおうとする。


「ま、待ってくださいまし!一緒に行きますから!仲間はずれになんてしてませんから!」


拗ねて歩き出したクレアを、俺は慌てて追いかけるのだった。



一方その頃、魔法研究会の部室では――


「おや?なんか飛んできたね」


窓からパタパタと紙で折られた鳥のようなものが飛んできて、ベアトリス部長がそれをキャッチする。


「手紙だ。『クレア』くんって人から。リリィくんの知り合い?」

「クレア様ですか……?クラスメイトですけど……」

「じゃあリリィくん宛かな?はい」


部長から手紙を受け取り中身を読むリリィ。

その表情が、サァーッと青ざめていく。


「……部長、今日はセレスティア様は部活に来ないみたいです……」

「はぁ!?」

「いろいろ……そのっ……大変な事情があるみたいで……急遽クエストに向かうと……」

「ちょっと!?入部早々サボり!?そんなぁ~」

「お、落ち着いてください部長……きっと深い事情が――」



そして俺たちはというと――


「クレア?先ほど何をしていましたの?何かが飛んでいったように見えましたけど……」

「手紙鳥で手紙を送ったのよ。あんたの恋人のリリィに」

「手紙鳥……?それもマジックアイテムですの?」

「そうよ。リリィって確か魔法研究会でしょ? あの問題の。だから部室宛に送っておいたわ」

「へぇ~そんなことできるんですのね」


連絡手段が気になっていたが、メールみたいな感じで手紙が送れるマジックアイテムがあるのか。


「実はわたくしも魔法研究会に所属することになったんですの。その問題の」

「あんたらしいわね……でもそれならちょうどよかった。ついでに『部活行かない』ってことも伝わるし」


あの部長だし、無断で休んだりしたらめんどくさいだろうから確かにちょうど良かったかも。

クレアに感謝だな。


「ちなみに手紙にはなんと?」

「『セレスティアは借金返済のためクエストに行っています』って」

「ちょっと!?なに余計なこと書いてるんですの!?」

「え?だって恋人が何も言わずにクエスト行ってたら心配するかもしれないでしょ?」

「そうですけども!そこじゃなくて!」


終わった……

リリィにも情けないところがバレてしまった……

それにあの部長にも……

次に部活行くのが怖いなぁ……

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