第41話 ミーナの無敵のコミュ力(?)
「……二人いる?」
不思議そうな顔をして呟くミーナに、オフィーリアは眉をひそめて答える。
「へぇ~、あんたってそういうのも分かるんだ」
「うん、私は人の生命を感じることができるんだ。オフィーリアちゃんから、もう一つ凄く大きな生命エネルギーを感じる!」
光属性の魔法によるものなのか?
よく分からないが、ミーナはオフィーリアの中に眠るヘカーティの存在を感じ取ったらしい。
「さっさと出てくればいいじゃないですか♪どうせ楽しんでるんでしょう?」
エリスが横から茶々を入れる。
「はぁ!?あんた誰!?ってそういえばさっきセレスティアと一緒にいたような……えっと……」
「エリスちゃんだよ!私たちの友達なの!……オフィーリアちゃん?」
すると、オフィーリアの雰囲気がふわりと変わった。
「ふむ。お主、まだ荒削りだが光魔法をそこそこ使いこなしておるようじゃのぉ」
オフィーリアの口調が急にガラリと変わる。
目の前の少女の変化に、ミーナは目を丸くした。
「オフィーリアちゃん?そんな喋り方だったっけ?……いや、魂が違う。あなたは?」
「さすがじゃ、察しが早くて助かるわ。妾は――」
「ヘカーティですよ♪」
「ああっ、エリス!お主また!」
ヘカーティが名乗ろうとした瞬間、またエリスが被せて邪魔をする。
こいつらコントしてるのか?
「いやだって、そういう流れかと思って♪」
「???」
ミーナが頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
無理もない。
「あなたたち、あまりふざけないでくださいまし。ミーナが混乱していますわ」
俺は呆れながら注意する。
エリスも大概だが、ヘカーティも分かっててやってるんじゃないか?
ほんとは楽しんでるだろ。
「とにかく!お主がその光魔法で感じていた『もう一つの魂』の正体が妾じゃ!お主なら妾の凄さがひと目見ただけで分かるじゃろう?」
「た、確かに!ヘカーティちゃ……さんの生命エネルギーは凄まじいです!魂だけでこれほどとは……」
とにかくヘカーティは凄いらしい。
さすがのミーナもいきなり距離を詰められないほどに。
その圧倒的な存在感には敬語を使わざるを得ないようだ。
それにしても光魔法で感じ取っているのか。
俺も光魔法は使えるはずだし、やればできるのかな?
「ミーナ、その生命を感じ取る魔法ってどうやって使ってますの?」
「えっ?どうやってって言われてもなぁ~。いつの間にか発動してるからなぁ。意識してないから分かんないや。セレスティアちゃんも光属性ならこう、パッとやったらできるんじゃない?」
パッてなんだよ、パッて。
あまりにも説明が雑すぎる。
どうやらミーナは、常時無意識に人の生命エネルギーを感じ取っているらしい。
そういえば初対面の時も「生命のオーラが違う」とか言われたような……
もしこれを使いこなせるようになれば、人探しだったり、クエストに行ったときの索敵のために使ったりと結構便利かもしれない。
「セレスティアよ、そう慌てるでない。これから授業なんじゃろ?そこで教えてもらえばよいではないか」
「確かに!そうですわね!」
そうだ。
せっかくこのあと光と闇の専門家の先生が来るんだから、そこで詳しく聞けばいい。
ミーナだっておそらくまだ感覚だけで魔法を使っている状態だろう。
俺と一緒に基礎から学ぶのが一番いいだろう。
「ところで、あなたはいつまでいるんですか?もう授業始まりますよ♪オフィーリアさんかわいそう……」
「お主が出てこいと言ったんじゃろが!まったく!……それじゃ、妾はここで一旦退場させてもらおうかのぉ」
ヘカーティは心底呆れたように肩をすくめた。
そして消えようとする彼女に追撃を加える者がいた。
「ヘカーティさんとエリスちゃんは仲がいいんだね~。ってことは『友達の友達』は友達だ!これからもよろしくね、ヘカーティちゃん!」
ミーナだ。
彼女はキラキラした笑顔で独自理論を展開し、ヘカーティの手を握ってブンブンと振る。
「お、おう。よ、よろしく頼むぞ……ミーナ」
ヘカーティはとりあえず握手し、引きつった笑みを浮かべながらたじたじと後ずさった。
やっぱりミーナは凄いや。
さっきは敬語を使って少し距離を取っていたのに、もういつも通り『友達認定』して強引に距離を詰めている。
この中で一番強いのは、もしかして彼女なんじゃないか?
コミュ力(?)的な意味で。
そんなことを考えていると、オフィーリアがハッと意識を取り戻した。
「ハッ!えっと……私は何を……」
「あっ戻った。オフィーリアちゃんだよね?ヘカーティちゃん共々よろしくね~」
「はぁ!?あんたなんでご先祖様の名前を!?てか偉大なるご先祖様をちゃん呼びするんじゃないわよ!」
「えぇ~いいじゃん、友達なんだし!」
オフィーリアもびっくりだろうな。
目が覚めたら、ご先祖様と同級生が勝手に友達になっているのだから。
いきなり身体を乗っ取られるし、勝手に交友関係を広げられるし、ちょっとかわいそうになってきたぞ。
すると――
「あのぉ~、お嬢ちゃんたち?そろそろ授業始めてもいい?」
いつの間にか、背後に見知らぬ女性が立っていた。




