第24話 クエスト報酬
「おーほっほっ!大漁ですわ~!」
「なんであんたが偉そうなのよ……」
森でのスライム討伐を終え、俺たちはギルドに戻ってきた。
あの後、クレアが慣れた手つきでスライムを狩り続け俺はひたすら魔石拾いをしていた。
結構疲れたがクレアは涼しい顔をしている。さすがだ。
「はい、受付嬢さん。これが今回の収穫ね」
「ありがとうございます!それでは換金しますね!」
そう言って受付嬢は裏に下がっていく。
「せっかくの討伐クエストなのに石拾いばっかで味気なかったですわ」
「あんたがめちゃくちゃするからでしょーが!授業のときは小さな火出して喜んでたと思ったら、今度は森を焼き尽くしかけるってどうなってんのよ!」
「わ、わたくしも好きであんなことしたわけではありませんわ!」
「好きであんなことされたらもっと困るわよ!」
「あの~報酬をお渡ししたいんですけど~」
俺たちが言い合いをしているうちに受付嬢が戻ってきていた。初めての報酬だ!
「ありがとうございます。はい、これがあんたの分の報酬よ」
クレアが報酬を受け取り、小さな革袋を俺に渡してきた。
チャリチャリと金属音がする。
中を開けると銀色のコインが数枚入っていた。
「あら、意外と重みがありますのね」
「スライムの魔石は安いけど、数が多かったからね。これで銀貨5枚よ」
「銀貨5枚……?」
俺はコインをまじまじと見つめる。
表面にはこの国の紋章らしきものが刻まれている。
綺麗だけど、これがどれくらいの価値なのかピンとこない。
前世でいうといくらくらいなんだ?
「セレスティアさん♪お金の価値がわからないという顔をしてますね?」
「わぁっ!?」
いつの間にか横にいたエリスが、ニヤニヤしながら覗き込んでくる。
「……ずっと待っていたんですの?」
「当たり前じゃないですか♪勝手に帰ったりしませんよ♪」
そしてエリスが小声で囁く。
(あなたの規格外の魔法のせいであたふたする二人の姿も面白かったですよ♪)
こいつ、見てやがったのか。
ついてこないから何をするんだと思ったら高みの見物をしていたということか。
「あんたたち、なにひそひそと話してんのよ」
「いえ、セレスティアさんがお金の価値をわからないというので説明しようと思いまして♪」
「そ、そうですわ!わたくしお金のことなんて考えたことありませんので!」
「あっそ」
クレアは興味なさそうに答える。
そして、エリスが俺の手から銀貨を一枚つまみ上げる。
「ではそんなセレスティアさんのためのチュートリアルです♪この世界の通貨は、主に銅貨、銀貨、金貨の3種類があります♪」
ふーん、3種類なのか。覚えやすそうだな。
でもどれくらいの価値なのかわからないな。
そんなことを考えていると、それを見透かしたかのようにエリスは前世の通貨に例えて解説してくれた。
「銅貨は1枚100円、銀貨は1枚1万円、金貨は1枚100万円くらいって覚えておけば大丈夫ですよ?」
なるほど、わかりやすい。ということは?
「つまり、今回の報酬である銀貨5枚は……?」
「約5万円ですね♪」
「ご、5万円!?」
俺は目を見開いた。
たった1時間くらい森を歩いて、スライムを倒しただけで5万円!?
ボロい商売じゃないか!
しかも俺はスライムの魔石拾いをしてただけなのに!
「すごい……! クエストって儲かりますのね!」
「まあ、一応命がけですからね♪今回は安全なスライムでしたけど♪」
確かに、スライム以外にも魔物がいるだろうし結構危険そうだもんな。
危険手当込みと考えれば妥当なのかもしれない。
しかしこうして報酬を貰えるのは嬉しいな!
「やったー! これでお金持ちですわ!」
俺がはしゃいでいると、エリスがスッと手を差し出してきた。
「はい、では回収しますね」
「……へ?」
「借金の返済ですよ。銀貨1枚、ありがたく頂戴いたします♪」
エリスがあっという間に俺の手の革袋から銀貨1枚を取り出した。
「ああっ!? わたくしの1万円がーッ!!ていうかお昼代だけでしょう!?そんなに取る必要ありますの!?」
「お昼以外にも色々サポートしてあげてるじゃないですか♪これくらいいいでしょう?」
「そ、そんな……」
「あのさ、二人で盛り上がってるとこ悪いんだけど」
クレアが割り込んで話しかけてくる。
「あんたの魔法のせいで使うハメになったマジックアイテム分のお金、貰っとくから」
そうだった。
俺の暴走魔法を消火するために、クレアがアイテムを使ってくれたんだった。
「……あの、クレア? おいくらでしたの、あれ?」
「『ウォーターカプセル』? あれ使い捨てだけど便利だから高いのよね。一つで銀貨3枚かな」
「銀貨3枚……!?」
てことは3万円!?
あれそんなするの!?
ただの水の玉じゃん!
「なんでそんな高いもの簡単に使いますの!?」
「じゃああのまま使わずにいたら銀貨3枚で済んだと思う?」
「うぐっ、確かにそうですわ……」
速攻で論破された。
でも手元に銀貨1枚は残るし大人しく払おう……
「はい、ありがとう。まあ今回みたいなめちゃくちゃなことしないならまたパーティー組んであげてもいいわよ。それじゃあね」
「えぇ、ごきげんよう」
そう言ってクレアは去っていった。
「よかったじゃないですか♪一緒にクエスト受ける仲間ができて♪」
「えぇ、そうですわね」
またこうして一緒にクエストに行けるなら心強くはあるな。
俺の魔法が暴走しないことを祈らないといけないが。
こうして俺の初めてのクエストは幕を閉じたのだった。




