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第21話 セレスティアのルームメイト

「それでは、本日の授業はここまで。解散!」


先生の号令と共に、ハチャメチャだった午後の授業がついに終わった。

疲れた……。

精神的にも肉体的にもボロボロだ。

クレアのおかげで痛みは引いたが、無理やり動かされた筋肉にはまだ違和感が残っている。


(早く帰って休みたい……)


そんなことを思ったとき、ふと重要なことに気づいた。

帰るってどこに帰ればいいんだ……?

家とか場所知らないぞ……?


「お困りですか?セレスティアさん♪」

「うわぁっ!」


いきなりエリスに声をかけられ情けない声を出してしまう。


「なんですのいきなり!」

「ふふっ♪みなさん今日の授業が終わって帰り支度をしているというのに、ぽけ~っとしてるからですよ♪」


さすが女神。俺がなにを考えてるかお見通しということか。


「それで?わたくしはどこに帰ればいいんですの?あなたは当然知っているんでしょう?」

「もちろんです♪この学校は大きいですからねぇ……学生寮があるんですよ♪そこの空き部屋をあなたの部屋ということにしておきました♪」


さすが女神!なんて手厚いサポートなんだ!

でも口に出すと調子に乗りそうだから心の中だけに留めておこう……


「では早速案内してくださる?……とその前に」


俺は帰り支度を整えているリリィに声をかけた。


「リリィ、お疲れ様。もしよろしければ、一緒に寮まで帰りません? お部屋でお茶でも……」


今日はとんでもない目に遭ったし、初めてのことばかりだった。

せっかく恋人になったんだしリリィと一緒に過ごしたい。

しかし、リリィは申し訳なさそうに眉を下げた。


「あ、すみませんセレスティア様……私、これから部活があるんです……」

「えっ? 部活?」


予想外の言葉に俺は目を丸くした。

この学園には部活動という制度があるのか。

一体どんな部活があるんだろう?


「はい、『魔法研究会』の活動があって……部員が少ない部活なんですが……すみません……」

「そ、そうですの……いえ、謝る必要はありませんわ。部活動も学生の本分ですもの、頑張ってきてくださいな」


俺は精一杯の強がり笑顔で送り出した。

魔法研究会かぁ。何をするんだろう……

いかにもリリィが好きそうな名前の響きだ。

気になるし今度見学させてもらおうかな。


「失礼します、セレスティア様!」

「ええ、気をつけて」


こうしてタッタッタッと走り去るリリィを見送っていると


「ふふっ♪フラれちゃいましたね♪」


と、エリスがからかってくる。


「うるさいですわ。さっさと行きましょう」

「はいはい♪」


そうして俺はエリスと共に演習場を出た。


「こっちですよ。女子寮は校舎の裏手にあります」


エリスに案内された場所には、レンガ造りの大きな建物があった。

想像していたよりも落ち着いた雰囲気だ。

とはいえ、立派な歴史ある洋館といった風情がある。


「ここが女子寮です♪貴族も平民も同じ棟なんですよ♪基本二人で一部屋の相部屋です♪」

「へぇ、こういうのって区別されたりするんじゃ?」

「学園長いわく、貴族だろうと平民だろうと同じ学園の生徒なら平等という考えらしいですよ?」

「なるほど。まあわたくしとしてはそっちのほうがやりやすくていいですわ」


中に入ると、エントランスは綺麗に清掃されており、管理人らしき女性が笑顔で挨拶をしてくれた。

セキュリティもしっかりしているようだ。

階段を上がり、部屋にたどり着く。

そしてエリスが鍵を取り出し、部屋のドアを開けた。

当たり前のように鍵持ってるんだな。

俺の部屋のはずなんだが。


「どうぞ♪ここが私たちの部屋です♪」

「……え、私たち?」

「はい♪私、貴女のルームメイトですから♪」

「はぁ!?なんであなたが!?」

「仕方ないじゃないですか~。ここしか空いてなかったんですよ~」

「そんな……どうせ相部屋になるならリリィとがよかったですわ……女神パワーでどうにかできませんの……?」

「だめですよ、リリィさんにはリリィさんの部屋があって、ルームメイトもいるんですから。いくら私でもそこまで捻じ曲げるわけにはいきませんよ。どんだけ嫌なんですかまったく」


エリスが不貞腐れる。

さすがに女神だからってなんでもできるわけではないのか。

というかリリィのルームメイトって誰なんだ!?そこも気になるがそのうちわかるだろう。

知らない生徒と二人きりになるよりは、事情を知っているエリスの方が気楽でいいか。


部屋に入ると、そこは広めのワンルームといった感じだった。

勉強机とベッドが二つずつ配置されているが、スペースには十分なゆとりがある。

家具はシンプルだが質が良さそうだ。

外が見える窓やカーテンもある。


「ふぅ……」


俺は片方のベッドに腰を下ろした。

スプリングの効いたマットレスが疲れた体を優しく受け止めてくれる。

ふかふかだ。これはよく眠れそうだ。


「さて、と」


とりあえず自分の帰る場所がわかって安心した。

まだ授業が終わったばかりの時間。

リリィは部活だし、他のみんなも各々放課後の時間を楽しんでいるのかもしれない。


「……これからどうしようかしら?」


俺はベッドの上で足をぶらつかせながら、初めての放課後の予定を考え始めた。

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