愛は財産党、愛情換金政策
時は20XX年、
未曾有の大不況により、
失業者が増え、国民はみな困窮にあえいでいた。
そんな折、新政党による新政府が誕生した。
その名も"愛は財産党"。
愛は財産党、通称、愛財党は、
かなり特殊な政策に打って出た。
それは、"愛情換金政策"と呼ばれるものだった。
その名の通り、愛情をお金に替えるのだ。
その政策により、
困窮していた家族世帯には給付金が支払われ、
かなり豊かになった。
しかし独身一人暮らし世帯には給付金は無く、
そういった者たちからの反感を買うことになった。
そんなある時、事件が起きた。
とある地方銀行を強盗が襲い、
警察が駆けつけたところ、銀行員や客を人質に立て籠もってしまったのだ。
「犯人に告ぐ!人質を解放して投降しなさい!」
警察の交渉も虚しく、犯人とのにらみ合いは半日にも及んだ。
痺れを切らした警察が突入しようとしたところ、犯人が人質の女性にサバイバルナイフを振りかざしてしまった………が、
そこへ同じく人質となっていた男性銀行員が犯人に向かっていったのだ。
揉み合いになった犯人は焦り、男性銀行員のみぞおちを刺してしまった。
しかし男性銀行員は諦めず、犯人のナイフを奪い取って隙を作り、遂には警察の犯人逮捕に協力することとなった。
ところが数時間後、刺し傷が深かった男性銀行員は亡くなってしまったのだ。
人々は彼の勇気ある行動を讃え、遺族には"愛情換金政策"により、多額の給付金が支払われた。
テレビや多種多様なメディアで、男性銀行員の勇姿と、それに応えた政府の行動は連日報道された。
ーーーしかし、この出来事はそれだけでは終わらなかった。
家計に困窮した者たちが、家族のためにと、次々と自殺に走るようになってしまったのだ。
政府は男性銀行員の遺族へ行った対応から、それらの行動も、給付金の対象として認めざるを得なかった。
それも初めのうちは美談とする者もいたが、徐々に自殺数が膨れ上がり、社会問題になってしまった。
そして、自殺数と共に膨れ上がっていた給付金の額に、愛財党は失脚してしまった。
しかし、家族を失ったにも関わらず給付金を受け取れなかった者たちもおり、暴動が起こるようになってしまった。
国内は荒れに荒れ、ついには国としての体を失ってしまった。
ーーーー金で愛を買える世界、愛で金が手に入る世界、果たしてどちらが幸せなんだろうか。




