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プロローグ

ベル制度のある北高校の旧校舎



別名“野獣の檻”と呼ばれる場所は

暴走族『鳳凰』の隔離区域



彼らは美しい心を持つ女“ベル”を求め動き出す


薔薇の花びらが全て散るまでに…










「ずいぶん可愛い声出すじゃんお前」




「ダメだよ逃げたら、追いたくなるのが男の性…なんだから」










~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



冷酷無慈悲の鳳凰総長

皇 隼太 ―スメラギ ハヤタ―


×


読書が大好きな“ベル”候補!?

春野 七瀬 ―ハルノ ナナセ―



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「人の心の痛みを知っているあなたは“獣”ではなく、愛し愛される“人間”だよ」





「今まで愛を知らなかった分、私が愛をたくさんあげるから…」







絶対に交わることのなかった2人は

真実の愛を求めて───








「今すぐ食らいたいほどお前を欲している」







━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

鳳凰幹部メンバー



副総長 安西晴人─アンザイ ハルト─



幹 部 秋元 輝─アキモト テル─



幹 部 周防 颯─スオウ ハヤテ─



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



旧校舎の一角で獣と呼ばれる4人の男たちは1つの机を囲むように腰を下ろした。


冷たい瞳、冷酷無慈悲と言われる男が口を開く。



「薔薇の花びらが散るまでに“ベル”を見つけ出す」


「やーっと鳳凰の総長様動いたね?」


「鳳凰の伝統をここで破るわけにもいかないからね」


「心の美しい女…とりあえず候補を何人か呼ぶ?1人心当たりある子がいるんだよね」




黄金色の髪に軽薄そうな男もまた口を開く。

冷血無慈悲な男は眉をピクっと動かす。




「それもっと詳しく」


「成績優秀で周りにいつも人が集まって本が大好きな少し変わっている子。

確か名前は───。」




□□□



ここは黒金区で、大きく北と南に分かれて暴走族が対立しているのは有名なはなし。


10月中旬の平日 pm20:00


真夏の猛暑もすっかり落ち着いて、肌寒く辺りは静けさに包まれる。


…わけでもなく、夜は暴走族が活動して相変わらず賑やかだ。



今日も変わらず暴走族が動き始める時間。




「七瀬ちゃん今日は遅くなっちゃってごめんね」


「全然!楽しかったので少しでも本達といれて良かったです」




私は繁華街にある小さな書店でバイトをしている。


小さい頃から本が大好きで、本の世界に入り込み空想するのが趣味。


人の出入りがたくさんあるわけではないため、人のいない時間はレジで本を読んでいる。


今日もいいお話に巡り会えて最高だった。



「じゃあお先に失礼します」



黒金区にある北高校の制服に着替えて寮へ向かう。

繁華街から寮へはさほど遠くなく、10分あれば着いてしまう距離。


───のはずだった。




いつものように真っ直ぐ帰ると、私の前を人が横切る。

ただ歩いて、走ってならなんの問題もない。



今飛んできた…?



その証拠に横切った方向を見ると1人で起きれないくらいに、酷い傷を負って男が倒れていた。



「あの、大丈夫ですか!?」


「……」



ど、どうしよう。気を失ってる。

とにかくまず救急車呼ばないと!



震える手でダイヤル『119』を押そうとしたスマホは、誰かの手によって奪われた。



「おねーさん、ちょっと助け呼ばれちゃ困るかな」


「返してください!」


「おっと…簡単には返さないよ。その制服北高だよね?君が鳳凰の総長と“ベル”について教えてくれたらスマホは返すし、そいつにも何もしない」




スマホを返してもらおうと伸ばす手はスキンヘッドの男が、私が届かない位置まで上げたため空振ってしまう。



鳳凰の総長はみんなが知っているような噂しか知らないし、その噂を信じているわけでもない。


もうひとつのベルに関しては全く知らない。


なのに私の返答次第では、私も倒れている彼も無事では済まない。


わからないことを正直に言えば帰れるか、それとも強行突破か。




今の状況だと、後者はかなり難しい…。



「おーい聞いてる?」


「…ごめんなさい。お会いしたことないのでわかりません」


「嘘だよね?北高の生徒なんだからあるだろ」




気づけばスキンヘッド男の仲間が物陰からぞろぞろ出てきて、あっという間に囲まれてしまう。


これ以上彼が暴力を振るわれたら…。


庇うように前へ出て精一杯目に力を込めて睨む。




「その子に聞いてもだめっすよ。可愛い顔してるし、遊んでやりましょうよ」


「それもそうか」



男たちはどんどん私に迫ってきて、金縛りにでもあったかのように身体が動かない。




「やめてください」


「強気なのいいね〜。こーゆー子を泣き叫ぶまで遊ぶのたまんないんだよね」


「痛い…っ離して…!」




私の両腕を男達は立たせるように上へ引っ張り、足が宙に浮く。



「大人くしくしてたら優しくするから」


「嫌って言ってるでしょ!」



両脇から押さえられてることをいいことに、スキンヘッド男は人差し指を私の首からゆっくりと一直線へ、ツーっとなぞるように下へさがってきて…。


その行為に身の毛がよだつ。



「おい、うちのもんに誰の許可を得て手を出してる」


「…っ」



もう終わったと悟った時に、低い重低音のような声がその場を圧倒し皆の動きが止まった。

抵抗していた私も例外じゃない。



現れたのはこの世のものとは思えないくらい、綺麗でまさに国宝級。




「お前ら南高だろ?もう一度聞く。誰の許可を得て“ここ”にいる?」


「やべぇよ。柚木さんのところに一旦帰ろうぜ」


「柚木…ねぇ。青鷺火か、これは鳳凰への宣戦布告と受け取っていいな?」




ただその場で話しているだけなのに、尋常ではない殺気に南高の男達は怯み私は開放された。

国宝級にかっこいい…でも、彼の瞳は冷たい。



怯んだのは一瞬で、南高の男達はチャンスだとでも言うように彼を囲む。



「鳳凰の総長倒せば俺たちは幹部に昇進だ」


「ああ、相手は1人」



男達は利益のことしか考えてないからこの状況を判断できてない。


鳳凰の総長…噂を鵜呑みにするわけではないけど、強さを求め一切の情けをかけない冷酷無慈悲。



今、彼を初めて見て噂は半分信じてもいいかもと思うほどに風格のある人。




このままだと彼らは無事では帰れない。

穏便に済ますには、私が動かなきゃ…!



「お前らやるぞ」


「やめなさい!」




─バチンッ─


スキンヘッド男の頬叩く乾いた音が響く。



「今この状況がわからないの!?今ここで喧嘩を始めたらあなた達は無事で帰れない。あなた達が怪我させた彼みたいな状況になるかもしれないのよ!?」


「……っ!」




咄嗟だったとはいえ、平手打ちはないなと自分で思ったけどおかげで相手が冷静になってくれた。

後ずさりその場から立ち去ろうとしたのを、ある一言で引き止める。




「待て。うちのものをこんなにさせたんだ。俺が逃がすとでも?おまえは早く立ち去りな」


「彼らより今は倒れている方を助けるのが先です!」



初めて鳳凰と呼ばれる総長と目が合う。

どんなに彼を見てもその瞳に光を宿してなくて、私を見ているはずなのに私を映していない。



私が今言ったところで考えをすぐに改めてくれるような人ではないけど、私も引き下がらない。



「……俺を前にして物を言える勇気に免じて今回は見逃すけど、次はないと思いな」


「え?」


「お前が望んだんだろ」


「まさか私の意見聞いてもらえるとは思えなくて…」


「今回は。次はお前も容赦しないよ」



私たちが話している間に男たちは既に立ち去っていて、倒れている彼と3人の状態になった。



「私の声、きこえますか?」


「…うっ」


「大丈夫ですか!?立てます?」


「大丈夫…です」



どうにか肩を貸して立てたけど…この状態で病院までは難しい。

やっぱり救急車を呼ばないと。



そこでふと気づく。

スキンヘッド男に奪われた私の携帯は…?



キョロキョロ辺りを見渡すと真っ黒の画面になった私のものと思われる残骸が落ちていた。



「わ、わた、私のスマホ壊れてる…! ああ、おすすめされた本の名前メモしてたのに……」



画面をタップしても一向に画面が明るくなることはなくて、側面の電源ボタンを押しても反応することはなかった。




「あの…すみません。救急車呼びたいのでスマホ貸してください」


「は?」


「自分の壊れちゃって」



次はないって忠告受けたばかりで、これはもう笑えない。

やっぱり私が運ぶしかないか。



「忘れてください。私が病院まで連れて行きます」


「この時間に病院が開いてるわけないでしょ。阿呆」



あ、阿呆!?

確かに考えてみればこの近くの病院は時間外でやっていない。



「俺が連れていく。また低脳な男に襲われたくなかったらさっさと寮へ帰ったほうがいい」


「でも…」


「次はないって言ったよね?」



…っ

今の私が行ってもできることなんてたかが知れてる。


なら、ここは彼にお任せするのが吉と判断する。



「分かりました。彼をお任せしました。あと、あの場を穏便に済ませていただいてありがとうございます」



失礼しますといって私は寮へと戻った。



「おまえの名前は?」


「私…?春野七瀬です」



この行動が吉とでるか凶とでるか…


本の世界での恋愛に憧れを持ち、全てを捧げられる恋に焦がれている私は、恨み奪い合う未知な世界に足を踏み入れることをまだ知らない。



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