第6話:初めての戦いと、悠斗のレベルアップ
北の村の外れ。緊張した空気の中、悠斗は大きく息を吸い込んだ。
目の前には、にらみつけてくる小さな緑色の魔物――ゴブリンが3体。
鋭い目つきで、牙をむき出しにしている。
「い、いよいよか……」
悠斗の手には、先ほどガチャで手に入れたばかりの木の剣が握られていた。
その木剣は、まだ軽くて頼りない。だが、悠斗は自分の力を信じていた。
「よし……やるしかない!」
悠斗は剣を構え、ゴブリンたちの動きをじっと見つめた。
小さいが、油断するとすぐに襲ってくる。
ゴブリンは身を低くして、ひそかにこちらへ近づいてきた。
「ガチャ……!」
悠斗は心の中で願った。
すると空に、ぽんとカプセルが降ってきて、今度はもう一つの紙片が手元に届いた。
「これは……また変字に使えそうだ」
悠斗は息を整え、決心した。
「木剣……“木”を変字して――鬼剣に!」
彼の指が紙に一文字をなぞる。
その瞬間、木剣が赤黒く光り、重みを帯びた。
木の優しい質感が、鬼のような鋭い威圧感に変わった。
「これなら……いける!」
ゴブリンが一斉に突進してきた。
悠斗は「鬼剣」を振り上げ、正確にひと振り。
鋭い音を立てて、魔物のひとりが倒れた。
だが、残りの2体は勢いを増す。
悠斗は防御に回りながら、もう一度変字の力を使おうとした。
そのとき、身体の内側に熱いものが湧き上がるのを感じた。
「なに……?」
まるで、力が体中を満たしていくようだった。
頭の中に、白く光る文字が現れる。
⸻
【レベルアップ!】
悠斗のレベルが1から2に上がりました。
【新たな力の開放】
•鑑定レベル2:「複雑な言葉や、魔物の隠された性質が少し見えるようになる」
•変字補助:「変換できる文字の候補が増え、より強い言葉に変えやすくなる」
⸻
悠斗は自分の手を見つめた。
「これが……成長……!」
鼓動が速くなり、気持ちが高揚する。
これまでわからなかった言葉の意味や使い方が、少しずつ見えてきた。
「これなら、もっと強くなれる――絶対に!」
ゴブリンたちの残り2体も、勢いを失い始めていた。
悠斗は力を込めて、「鬼剣」を振り下ろす。
「くらえ!」
一撃で、残った魔物も倒れた。
息を切らしながら、悠斗は地面に膝をついた。
はじめての戦いは、彼の心と体に大きな変化をもたらしたのだ。
「これから、もっとたくさんの魔物と戦う……そのために、強くならなきゃ!」
そう強く決意しながら、悠斗は空を見上げた。
「さあ、次のガチャを引いて、また一歩、強くなろう」