3雷の加護を求めて
僧侶は様々な加護を得ている。精霊たちは、僧侶に強力な加護を与え、加護の証として、僧侶に精霊石を贈った。僧侶は精霊石を頭飾りとしてつけている。綺麗に剃った丸い頭に帽子や布を被り、その上から輪をはめ、輪から丈夫な糸で精霊石を吊るしていた。精霊石は、大中小と三つの透き通った石が連なっている。僧侶は自身の得た加護の分の精霊石を頭にはめた輪に吊るしていた。その加護の中には、珍しい雷の精霊の加護もあった。それは、廃れていた祭りを復活させたことによる精霊からの感謝だった。勇者一行の中で雷の精霊の加護を持つのは僧侶ただ一人だ。よって、雷を操る魔物が出ると、加護のおかげで雷が効かない僧侶は、魔法使いによって避雷針にされていた。合意の上だが、勇者は僧侶だけに負担させることに気がとがめていた。そのため、他の皆も雷の加護を得るべく、雷の精霊祭に参加することにしていた。僧侶曰く、決して不敬な態度をとらず、雷霊太鼓の演奏に耳を傾ければ、加護を得ることが出来るそうだ。しかし、不敬な態度をとったり、演奏の邪魔をすると裁きを食らうことになる。
この時期、戦士と魔法使いは様子がおかしくなる。戦士は、団子虫に話しかけている。「お前達はそこまで面白くはない」と。魔法使いは、手の平で団子虫を転がしながら「面白いだろ?」と聞いてくるので、勇者は、「放してやれ」と小さな生き物をもてあそぶ魔法使いを注意した。
さらに、日が迫ってくると魔法使いは、「魔法杖を」と買い物に行き、戦士は四股を踏む。僧侶は祭りの場となる岩山に当日までこもる。祭りの日、戦士と魔法使いは元気がなかった。勇者は二人を不思議に思った。勇者も祭りに必ず参加しているが、何故か内容を思い出せなかった。
三人が岩山に着くと僧侶は舞台のように盛り上がった岩の上で大小様々な太鼓に囲まれていた。雷霊太鼓である。僧侶はバチを持つ手を振り上げた。精霊に捧げる魂の演奏だ。僧侶の頭からは既に湯気が上がっている。バチが振り下ろされ演奏が始まった。
ゴロゴロゴロゴロ、ダンダンダン!
僧侶のバチが激しく動く。僧侶の演奏に合わせて雷が鳴る。精霊の歓喜が伝わってくる。
ピシッ、ビムシィ、ダンダンダン、ゴロゴロ、ダンダン、ゴロダンダン、ビムシィ、ダンダン、ゴロダンダン、ゴロゴロ、ダンダダ、ゴロダンダン、ビムシィ、ビムシィ、ゴロゴロゴロ、ダンダンダンダダッ、ダンゴムシィ!
ぶふっと勇者が吹き出し、怒りの雷が落ちた。が、その直前に戦士は四股を踏んで両足を地面に埋め込み魔法使いの体を支え、魔法使いは杖を掲げ「守よ」と叫んだ。
祭りが終わり、僧侶は岩から下りた。
「また駄目か」
僧侶は気絶している勇者を見た。戦士は地面に埋め込んだ足をゆっくりと引っこ抜き、魔法使いは黒焦げの杖をそっと地面に埋めて泣いていた。