次なる港へ
ノードハイムを出航してから約一週間。オーロラ号は、ノルドヴェーグの沿岸を離れて広大な北大西洋を西へと進んでいた。船旅は順調に進み、いよいよ彼らが降り立つ目的地であるスネーランドの港が近づいてきた。火山と氷河の国として知られるその島は、水平線の向こうに、まだその全貌を見せてはいない。
「もうすぐスネーランドに着くわね」
リリィが窓の外を眺めながら言った。「どんな食材に出会えるか、楽しみだわ。火山灰土壌で育つ野菜とか、珍しい海藻があるかもしれない。ここからは陸路で、じっくり探してみたいわね」
「僕も楽しみだよ! スネーランドって、どんな国なんだろう? 陸の冒険も始まるんだね!」
ノエルもワクワクしていた。
長かったようで短かった船上の時間は、ここで一旦区切りとなる。彼らはこのスネーランドでオーロラ号と別れ、新たな冒険へと足を踏み出すのだ。しかし、これは長い旅のほんの一区切りに過ぎない。イリスの影は依然として彼らの先にあり、世界は不穏な動きを見せ始めている。
オーロラ号はゆっくりと速度を落とし、港へと近づいていく。海鳥が船の周りを飛び交い、遠くに荒々しくも美しい島の影が見え始めた。ノエル、リリィ、ルドルフは、スネーランドでの新たな出会いと挑戦への期待、そして見え隠れする不安を胸に、下船の準備を始めた。