電子書籍2巻発売&完結記念SS
明るい午後の日差しの中、青く澄んだ空に向かって、何百ものシャボン玉が舞う。
そのシャボン玉はふわりふわりと風に乗り、丘の向こうまで流れていく。
「うわー……、おかーさま、すごおおおおい! すっごいたくさん飛んでるよ!」
太陽のような赤い色をした髪と薄い若草色の瞳を持つ男の子が、キラキラとその瞳を輝かせながら、空を仰いだ。
男の子とよく似た面立ちの、明るい金色の髪をした母親……レシュマが、男の子に向かって言う。
「シャボン玉を飛ばすだけじゃなくて、シャボン玉の中に入って空を飛んでみる?」
「えええええ⁉ できるの⁉」
若草色の瞳が真ん丸になった。
「もちろん! おかーさまは最年少の認定魔法使いだからね!」
にっこりと笑って、レシュマは両手を大きく一周させる。
「わあ……」
「さ、一緒にシャボン玉に入って。おとーさまのところまで飛んで行こう!」
「うん!」
エルミス王国の魔法学校。
父親であるウォルターが教鞭をとっている学校まで、レシュマは息子を連れて飛ぶ。
「わあ……、地面がすっごい遠いよおかーさま!」
「今はおかーさまの魔法で飛んでいるけど。いつかあなたも、自分の魔法で飛べるようになるわ」
「できるかなあ……」
男の子が自信なさげに言った。
「できるわよ。魔法が好きなら。でも、魔法以外に、あなたがもっと好きなものが見つかったら、それに向かって突き進んでいけばいいわ」
「突き進む……?」
「ぶっ飛んでいくってコト。飛行船に乗って、辺境に行くみたいに」
「ひこーせん? へんきょー?」
「うん。昔ね、おかーさまはおとーさまを追いかけて、空をぶっ飛んでいったのよ」
懐かし気に、目を細めるレシュマ。
そんな母親を見て、男の子は更に目を輝かせる。
「ボクもっ! いつか空をぶっ飛んでいく!」
「うん!」
レシュマは空を、その先を見ながら思う。
迷って、怒って、嘆いて、笑って。
そうしてわたしたちは、ここまでやって来て、そして、まだまだもっとずっと先まで進んでいく。
未来へ。
みんなと一緒に。
しあわせの場所へ。
今度は、この子も一緒に……と。
終わり
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「醜い嫉妬はするな」と婚約者が言ったシリーズ、ここにて【一応】完結です。
お付き合いいただきましてありがとうございました!
ありがたいことに、
『「醜い嫉妬はするな」と婚約者が言ったから ~恋心は淡く消えた~」がまず、第12回ネット小説大賞小説部門入賞させていただきまして。
『前向き令嬢と二度目の恋 ~『醜い嫉妬はするな』と言ったクズ婚約者とさよならして、ハイスペ魔法使いとしあわせになります!』と改題して、双葉社様から書籍一巻が発売となりました。
わあ……、書籍化だあああ!と喜んでいる最中に、まさかの二巻も! 電子書籍オンリーですが出させていただきました。
めっちゃ楽しく書き下ろしました!
二巻内容は、ネット掲載はございません。
二巻の心残りがレシュマ兄、ルークだったので、それをちょこっと連載……。
『やっとたどり着いた ~オードリーの生きる場所~』も書いて。
そんなこんなで、わたくしの代表作となりましたこのシリーズ。愛着は山よりは高く、海よりは深いし、レシュマちゃんの未来については、まだまだいくらでも書けそうなんですけど。
他にもまだまだ書きたい話がいっぱいで……、先に別の話を書きまくりますので、いったんこちらのシリーズは【一応】完結とさせていただきます。
……何か書いちゃったら、連載表示に戻すかもしれませんが。
お付き合いいただきました皆様。
ありがとうございました!
今後とも藍銅の書くお話をよろしくお願いいたします!




