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★書籍化記念SS 第二弾 ローレンス魔法伯とレシュマ


【 前向き令嬢と二度目の恋 ~『醜い嫉妬はするな』と言ったクズ婚約者とさよならして、ハイスペ魔法使いとしあわせになります!~】


発売日まで、あと約三週間! 


ドキドキする心を落ちつかせるため(?)のんびりと、ローレンス魔法伯語りです(笑)


 儂の話が聞きたい……?

 そうさのう……、何からなにから話せばいいんかいのう……。

「わざとらしい老人口調はおやめください」とクライヴがうるさいが……。

 儂が気に入ってるんじゃから、かまわんじゃろーが。

 で、儂の話かいな。

 八十年も生きていると、若いころの話は……記憶から掘り起こすのも、なかなか大変なんじゃよ。

 ああ、最初は平民で。

 牛の放牧地の草の上に転がされていた記憶があるのう……。

 はいな? いつの記憶かって? 

 ああ、赤子の……、幼児の頃かのう……。

 雨が降っても、風が吹いても、草の上に寝転がされたままでなー。

 それが嫌で。

 なんとか雨を遮りたい、冷たい風から身を守りたい……と、思っているうちに、魔法が使えるようになっていた……んじゃよ。

 腹が減って泣いても、親は牛の放牧中だから、儂の泣き声なんかには気がついてくれなくての。

 仕方がないから牛を呼び寄せて。

 牛の乳を勝手に飲んでいたんじゃ。

 赤子に牛の乳は……ああ、もちろん下痢はしたのう。

 下痢をするから回復や治療やらの魔法をおぼえて……。

 まあ、そんな感じでの、なんとか生き残ったわい。

 成長してからは、親の雇い主だったお貴族様に魔法が使えることが知られて。

 それでミルズ伯爵家に奉公に出されたんじゃ。

 ミルズ伯爵家の当時の御領主様は魔法が好きでの。

 儂の魔法を見て「これは、将来すごい魔法使いになる」と言って下さって、儂を養子にしてくれた。

 で、つけられた名前が皆も知っての通り「ローレンス・グリフィン・ミルズ」じゃ。

 本当にミルズ伯爵は良い人じゃった……。

 が、よい人はあっさりと天の国に行ってしまうものじゃのう……。

「そうですねえ。八十過ぎてもまだまだお元気な師匠とは違いますね」じゃと?

 うるさいぞ、クライヴ。そういうお前さんももう七十を超すジジイじゃろうが。

 まあ、それはともかく。

 惜しい人を亡くしたもんじゃ……。

 だが、ミルズ伯爵の「楽しめ」という言葉と「他人のために尽くせ」という言葉は今も儂の胸に残っとる。

 だから、儂は楽しくて、皆のためになることを、生きている間にできる限りしようと思うんじゃよ。

 え? なんじゃクライヴ。

「良い話みたいにまとめないでくださいよ、師匠」じゃと?

 何か文句、あるんかいな?

「文句は! ありません! が、本当にそう思われるのなら、最後まできっちりと! してください師匠! 面白がって、あっちこっち! あれもこれもと手を出した挙句、後始末は全部この私! 投げっぱなしじゃあないですかっ!」

 んん? レシュマちゃん? 儂とクライヴ、師弟そっくりじゃと?

 ほっほっほ。な~んのことかのう……。儂、最近、めっきり、耳が遠くなってのう……。

 今日も晴れていい天気じゃのう……。あー、ジード、茶を入れてくれんかのー。ウォルターは茶菓子の用意をたのむぞー。ほっほっほ!






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