第9話 召喚獣が最強過ぎる
ニャルから手渡された拡声器は、一般的なもので銃みたいなトリガータイプのスイッチと、赤いボタンがある。この赤いボタンを押せばいいと思うが……。
それにしても、よくこんな物で召喚獣を操ろうとか考えたよな。
「早く、赤いボタンを押すのじゃー!」
「はいはい、ポチッとな」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
何かサイレンみたいな音がなったと思った瞬間、目の前にドラゴンが現れた!!
「デカー! しかもクオリティが物凄く高いぞ! 俺が求めていたものだ!」
「にゃーはっはっはー! 凄いじゃろ!」
「これはもしかして、ルビエルが作ったのか?」
「そうじゃよ」
「納得」
「どういう意味じゃー! 龍二!」
だけど、見た目だけなら、上級の召喚獣みたいだけど、まだ序盤なのにいいのか?
でも、天使のルビエルが作ったのなら、序盤のゴブリンみたいにならないか心配だ。
「では、龍二。その拡声器でにゃにか指示を出してみるのじゃ」
「敵がいないぞ」
「そうじゃったー。いでよゴブリン!」
「召喚も、そんな感じで良かったのに」
「龍二はセンスがにゃいのう」
「ニャルに言われたくない!」
さっきの同じゴブリンが出て来たが、相変わらず変な動きを繰り返すだけで、全然攻撃して来ない。ニャルは低予算で作っているのか? 召喚獣の出来がいいから、バランス悪いぞ。
「さぁー、龍二! 拡声器を召喚獣に向けるんじゃー! そして、トリガー引いて、指示を出すんじゃ!」
「じゃあ、トリガーを引いて……」
ファーーン
「ハウリング? そんな細かい所まで再現しなくてもいいだろ!」
「ニャルにぬかりはにゃい」
そこは適当にいいだろ! てか、そんなニーズ絶対無いだろ!
「じゃあ、あのゴブリンを倒せ!」
「もっと、具体的に言わにゃいと駄目じゃ」
ファーーン
「ゴブリンの前まで移動!」
すると、召喚獣は瞬間移動したかのようなスピードで移動した。
この召喚獣、実は滅茶苦茶強いんじゃないか?
「ニャル、この召喚獣凄いんじゃないか? とても、序盤で登場するやつじゃないだろ」
「ルビエルは調整が下手くそじゃからのう。まぁ、気にせず、どんどん指示を出すのじゃ」
ルビエルという天使は、召喚獣のディティールは凄いのに、パラメータの調整が苦手なんだろう。
うーん、もったいない。
「攻撃の仕方とかを指示するのか?」
「そうじゃ」
ファーーン
「ゴブリンを右ストレートで殴れ!」
パーーーン!!!
「え!?」
ゴブリンは跡形もなく消えてしまった。しかも、周囲の地面はクレータのように凹んでいる。
「やったではにゃいかー」
「いや、これ強過ぎだろ。いいのか?」
「そんにゃ心配しにゃくても大丈夫じゃ。これで迷宮ダンジョンに行っても大丈夫じゃろ」
この召喚獣が居れば、どんな敵が現れても勝てる気がするぞ。でも、クソゲー的な理不尽なこともあるから、安心は出来ないか。
「もう一回赤いボタンを押すと、召喚獣は戻るぞ」
「ポチ」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
「この演出何とかならないか」
こうして、迷宮ダンジョン攻略の為の準備を終えて、ニャルと一緒に向かうことになった。本当にこれで大丈夫なのか?
もし、これで大丈夫だったとしても、それはそれでゲーム的に問題のような気がする。
「迷宮ダンジョンまでは馬車で移動じゃ。楽でいいじゃろう」
「楽でいいけど、何か物足りないな」
「にゃーはっはっはー! 迷宮ダンジョンを攻略した時には、サプライズが待っておるぞ。きっと、龍二も満足するじゃろ」
「いいよ、そういうのは! 怖いから!」
「怖いとはにゃんじゃい! もっと移動が楽ににゃるのに」
「そっちー」
いや、別に馬車に不満があったわけじゃないんだけど、もっとこうギルドからの依頼とか、迷宮ダンジョンの宝を探すとか、何か目的が欲しいんだよな。
一応、テストプレイヤーだからチェックしに行くだけかもしれないけど、やっぱり、動機は重要だね。
正直、移動手段はどうでもいい。
「ニャル、今回はテストプレイだからいいけど、本ちゃんの時はどういう目的で迷宮ダンジョンに行くんだ?」
「にゃっ、え、えーと……にゃんだったけ?……にゃんかあったはずじゃが……悪い魔物を倒しに行くとか?」
「俺に聞くなー!」
「そうじゃ、にゃんか魔物がいたはずじゃ。確か名前は……えーと……まぁ、言ってみれば小ボスじゃ」
小ボス? そいつを倒せばダンジョンクリアになるのかな。
「まぁ、楽しみにしておれ。ニャルは準備があるからのう、一回離脱するぞ」
「ああ、このまま馬車に乗っていればいいんだよな?」
「そうじゃ、迷宮ダンジョンに到着する頃には終わるからのう」
「遅れるなよ」
「ニャルは仕事が早いから大丈夫じゃ。にゃーはっはっはー!」
これは遅刻するパターンだな。
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