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第8話 無理ゲーを攻略する諸行

 ニャルは、俺にもう一発打たせる為、もう一本ペットボトルを差し出した。



「龍二! これをもう一回飲むのじゃー!」

「一回飲んだら、1時間は打ち放題とかにしてくれよ!」

「そんなチート的にゃことは出来んわい!」

「絶対チートじゃないぞ! 飲んでいる間が隙だらけだからな!」

「文句言ってにゃいで、早よのむのじゃ!」



 仕方ない、もう一回飲んでやるか。



「ゴクゴクゴクゴク……うっ」

「……」

「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……うぇ」

「さっきより、ペースが落ちておるぞ」

「やべー、吐きそう……」



 俺は吐きそうになりながらも、何とか飲むことが出来た。



「く、苦しい……」

「今度こそ仕留めるのじゃー!」

「よし、ファ、ファイヤーボール」



 頼む当たってくれー!! 

 しかし、俺の願いは届かず、またもやゴブリンは直前で避けた。



「おい、ニャル! また避けたぞ! あのゴブリン『素早さ』が高いんじゃないか?」


「そんにゃことにゃいはずじゃがのう。もっと、近づいて打てば当たるじゃろう」

「え!? もう一回やるのか?」

「もう一本あるから心配しにゃくてよいぞ」

「そんな心配はしていない!」

「諦めるでにゃい。これで最後じゃ。『迷宮のダンジョン』までには改良しておくから」


「くそー、もうやけくそだ!」



 俺は押し込むように一気に飲んだ。

 正直もう限界を超えている。少しでも刺激を与えると吐いてしまうぞ。



「よくやったぞ! 龍二! そのままゴブリンに近づくのじゃー!」

「うっぷ、うっ」

「にゃにをしておる! 早よー行かんかーい!」

「げほっ」



 駄目だ! 今刺激を与えると吐いてしまう。動けねー。



「早く、前に進むのじゃー!」



 くそ―、ニャルのやつ簡単に言ってくれる。どうなっても知らないぞ。 


  

「そうじゃー! そのまま一歩ずつ進むのじゃ!」

「あっ、オロロロロロロロロロロロー」

「きたにゃいぞ! 龍二!」

「そんなこと言われてもオロロロロロロロロロロロ」

「吐くにゃー!」

「む、無理オロロロロロロロロロロロ」



 俺は、まだ吐き足らないぞ。



「落ち着くのじゃ! ゆっくり一歩ずつ前に進むのじゃ!」

「うっぷ」

「その調子じゃ! 頑張れ龍二!」

「うっ……く、苦しい」

「この世界にあるのは魂じゃ! 固定概念を捨てるのじゃ!」



 これは何かの修行なのか? でも、肉体は病院にあるから、今苦しいのは俺の固定概念に捉われているせいかもしれない。だから、これが普通と考えれば、乗り切れるはず! ならば!!



「おりゃー!!」

「そうじゃ! その調子じゃ! 魔法を唱えるのじゃ!」

「ファイヤー……」

「魂で叫ぶのじゃー!!」



 俺の魂の叫びを焼き付けるがいい!!

 


「ファイヤー!!!」

「おおー!! 龍二いいぞ!」

「ボーーーーーーーーーオロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ」

「台無しじゃ!」

「オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ」



 そして、俺はのどかな平原で、空を見ながら魂が抜けたように、ボーとしていた。  

 どうやら、最後に放ったファイヤーボールでゴブリンは仕留めたみたいだ。

 

 ふぅー、まだ吐き気が残るなぁー



「龍二、今のうち朝食にするか?」

「嫌がらせか!」

「にゃはっはっはー、そう怒るではにゃい。他にもあるからのう」

「もういいよ」



 頼むからもう普通にして。



「召喚獣とかにゃらどうじゃ?」

「おおー!! いいじゃないか! つまり召喚士なるわけだな。それでいいよ! それでいこう!」


「気に入ったみたいじゃにゃ」



 どうせニャルのことだから、変な召喚獣が出て来そうだが、それは我慢しよう。

 ちゃんと戦闘が出来ればいいさ。その辺りはちゃんとしてそうだからな。



「それで、どうやって召喚するんだ? もしかして、魔物を倒して契約でもするのか?」


「安心するがいい。ニャルオリジナルの魔道具を使えば、龍二でも召喚士ににゃれるぞ」

「はぁー」

「にゃんじゃい! そのため息は!? これは、龍二の世界のある物を使った画期的にゃ魔道具にゃんじゃぞ!」


「はぁーーーーーーーーーーーーーーーー。これ以上のため息が出来ん」



 また変な物が出て来るパターンだぞ。もう普通に杖とかでいいのに。



「にゃーはっはっはー! そうやって落胆するでにゃい。この魔道具には、にゃんと秘密の機能があるんじゃ」  


「えーーーーーーー! もういいよ! 収拾つかなくなるよ!」

「聞いて驚くがいい。この召喚獣は戦闘の時に、龍二自身で操作出来るのじゃー!」

「いいよ、戦闘の指示だけ聞いてくれたら」

「それじゃ、戦っている間、暇じゃろ!」



 変なところで気を遣うなぁ。

 召喚獣の操作って、ニャルのことだから、ラジコンみたいなコントローラで操作するんじゃないか?


 いやいや、ニャルならもっと斜め上を行きそうだな。ゲームのコントローラかスマホで操作とか言いそうだ。


 よし、ゲームのコントローラで予想してみようかな。



「それで、どういう魔道具で操作するんだよ」

「これじゃよ」

「…………」



 斬新過ぎて言葉が出なったよ。誰がこんな物予想出来る?



「何だよこれは!? 拡声器じゃないか! こんな物どうするんだよ!」

「これを使って指示するんじゃよ。知っておるぞ、今龍二の世界で音声認識で指示する時代が来ているのを」


「音声認識と拡声器は違うだろ!」

「ファンタジーの世界は、少しアナログにするのがポイントじゃよ」



 もうファンタジーを語るのはやめろ!



「さぁー!! 龍二!! そのボタンを押して召喚するのじゃー!!」

お読み頂き、ありがとうございます。


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