第7話 無理にオリジナルを出して失敗するやつ
風呂から上がった後は、浴衣に着替えてベッドに直行する流れになった。
まぁ、魂だけだから、飯は食べなくても大丈夫みたいだ。
でも、腹が減りそうな感覚は、普通にあるけど大丈夫なのか?
「今日は疲れたじゃろ? 早く休むといい」
「ゲームの中で寝るのも変な感じだな」
「魂が入っておるからのう。ただのゲームではにゃいぞ」
ただのゲームならいいが、クソゲーに魂を預けているのが、物凄く怖いんだが……。
「それで、俺はこのベッドで寝たらいいのか?」
「そうじゃ、特別にニャルが添い寝してあげよう」
「いや、いいです」
「遠慮するにゃあ、こっちに来るんじゃ」
「お、おい! 引っ張るな!」
強引に連れ込まれたが、結構大きなベッドだ。
「先に言っておくが、いくらニャルが魅力的だからといっても、全年齢指定を超える事をしたら、この世界はバーンと終わってしまうから、気を付けるのじゃぞ」
「幼女に手は出さないから、大丈夫です」
「龍二ーーー!! ちょっとは残念がれー!」
ニャルはいいとして、エレンさんとそういう事が絶対に出来ないのは、夢が無い。
まぁ、そもそもエレンさんとそんな関係になる方が難しいか……。
そして、ニャルと一緒に寝てから、数分後……。
「にゃがががががーにゃがー」
「こいつ、いびきうるせー!!」
こうして、朝がやってくると俺は何故かベッドから落ちていた。
「あれ? 俺こんなに寝相悪かったかな?」
「龍二、起きたか? 本当に寝相が悪いのう」
「いや、俺寝相いい方だと思うが」
「気にするにゃ。慣れない環境のせいかもしれないからのう」
そういうものか?
「早速じゃ、迷宮のダンジョン攻略に向けて、魔法の特訓を始めるぞ」
「え? いきなり? 朝飯とかはないの?」
「そんにゃもの無くても、ここはゲーム世界じゃ、大丈夫じゃよ」
いや、凄い腹が減っているんだが……。
「じゃあ、何で腹が減るんだよ」
「これまでの人生経験が、魂に刻み込まれているからじゃよ。常識を捨てることじゃ。そうすれば、空も飛べるはずじゃよ」
「そうなのか!? それは凄いじゃないか」
つまり、イメージすればこの世界なら、何でも出来るということになるぞ。
よし、試してみるか。
「俺は今、満腹だー!」
グゥーー
「腹は満たされている」
グゥーー、キルキルキル
「俺は空が飛べるんだー! おりゃー!」
ドスーン!
「ファイヤーボール!!」
…………。
「にゃにをやっておるのじゃ、龍二」
「おい! イメージしても何も変わらないじゃないか!?」
「そんにゃに簡単に出来るわけにゃいじゃろ」
単純なイメージでは無理なのか? ゲームだから簡単にしてくれよ。
「もしかして、魔法の特訓というのは結構大変じゃないのか!?」
「にゃーはっはっはー、心配しにゃくてもよい。その為の魔道具があるからのう」
「ほーう、それを使えば魔法使えるようになるのか?」
「そうじゃ。にゃんの努力もせずに、最強ににゃれるんじゃよ」
「言い方!」
でも、それは有難い。
い、いや、決して努力が嫌いなわけではない……うん、ただ、クソゲーのレベル上げに、無駄な時間を費やしたくないだけだ。
「朝飯考えておくから、とりあえず外に出るのじゃ」
「お、おう」
ニャルと俺は村を出て、すぐ近くの平原まで移動した。
「あそこにゴブリンがいるじゃろ?」
「おい、また前みたいなことにならないだろうな?」
「大丈夫じゃ、あれはニャルが作成したからのう」
「でも、前と比べると安っぽいな。作画崩壊でもしたか」
「作画崩壊とかいうにゃー!! あれは龍二の為に作ってやったんじゃ!」
前のは、リアルゴブリンだったが、今回はSDキャラみたいに漫画っぽい。
「では、龍二。このファイヤードリンクを飲むがよい。ファイヤーボールが打てるようににゃるぞ」
「え? これ?」
「そうじゃよ。にゃんか問題あるのか?」
ニャルが渡したのは、500mlのペットボトルだ。
「何でペットボトル何だよ!」
「龍二の世界ではこれ普通じゃろ。にゃにが気ににゃるんじゃ?」
「ファンタジー!! この世界に合った物にしてくれよ! 小瓶とかさー」
「分かっておらぬのう。これが斬新にゃ発想というものじゃ。ありきたりじゃ、つまらんじゃろ」
「そんな斬新な発想は要らない! こういう所は普通でいいんだよ! それに500は多いだろ!」
「文句ばかり言わずに、早く飲むのじゃ」
仕方がない。何を言っても無駄だ。
とりあえず、飲んでみるか。
「ゴクゴクゴクゴク……」
「……」
「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……」
「……」
「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク……」
「まだか龍二!」
「うっぷ、だから500多いって!」
味はスポーツドリンクみたいで飲みやすいけど、一気飲みはきついぞ。
「はぁー、これでファイヤーボールが打てるようになったのか?」
「そうじゃよ。標的に手をかざしてみるんじゃ」
「おおー!! 掌から炎の塊が出てきたぞ!」
「それをゴブリンに打つのじゃ!」
「よし、ファイヤーボール!!」
俺が放ったファイヤーボールは、ゴブリン目掛けて一直線に飛んで行った。
しかし!!
「おい! あのゴブリン避けたぞ!」
「惜しかったのう」
「よーし、今度こそーって、あれー!? 出ないぞ」
「もう一回打つにゃは、もう一本飲むのじゃー!」
「飲めるかー!!」
お読み頂き、ありがとうございます。
気に入って頂ければ、ブックマークや↓の☆をクリックしてくれますと、モチベーションが上がります!