〜3章:勇者一行はフィーニスタウンへ赴く 4話:勇者一行は必要物資を買い揃える
4話:勇者一行は必要物資を買い揃える
『現在我が王国の王女、サンディアス・フォード・アリス様が先々週から行方不明になっております。見かけた方はフィーニス城までお越しください。特徴は下記の通りです。金髪碧眼、短髪だが後ろが少し長髪で歳は18歳。見つけられた方にはお礼として10億など様々な〜〜』
リオ「コレお前の特徴じゃねぇかッッッ!!!!!」
シノブ「えぇ!?」
カイ「言われてみれば確かに…。 短髪なのに後ろ髪だけ長髪なのも一致だし、金髪碧眼だし…そもそも金髪碧眼って貴族の特徴じゃなかったっけ?」
ゲン「ん〜まぁ貴族は金髪碧眼の象徴でもあるな」
シノブ「違うよ! ほ、ほら! 今あそこ歩いてる人だって金髪碧眼だし!この街は貴族の人が多いから金髪碧眼の人はどこにでもいるの!」
リオ「ふぅ〜ん…… じゃあ聞くけどお前何歳だ?」
シノブ「16歳だけど」
リオ・カイ「「え!? 16!?」」
シノブ「な、なんだよ。 文句あるのか?」
リオ「い、いやぁ…別に…」
え?シノブって16歳なの……?俺てっきり18〜20歳位だと思ってたんだけど……
カイ「私てっきりシノブはもう18とか19位だと…」
シノブ「そうなの? うち身長もまだ低いし身体も小柄だから分かってるものかと思ったんだけど」
カイ「なんかシノブは会った時から妙に大人びてるというかなんというか…子供っていう感じがしないんだよね」
シノブ「そ、そうか? ……というかあんたらは何歳なんだよ」
ゲン「俺は18だ」
カイ「私は17だよ〜」
シノブ「みんな年上だったんだ。 リオは?」
リオ「俺? 俺は19だぞ」
シノブ「19!? えぇ!? あんたこん中で1番年上なの!?」
リオ「そうだけど…なんだよその顔。なんか文句でもあるのか?」
そういうとシノブは申し訳なさそうな顔で
シノブ「い、いやぁ……リオって頼りないって言うか…年下感があったからさ」
こいつはどこまで俺の事を下に見てるのだろうか
カイ「そんな事ないよ!リオはみんながピンチになった時とっても頼りに……あれ? た、頼りに……?」
リオ「おいお前ら。 俺に言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!」
1度コイツらには俺の事をなんだと思ってるのか問い詰めた方が良さそうだな。
ゲン「おいお前ら。 いつまで街の外で喋ってるつもりだ?物資調達するんだろ? そろそろ行かないと物資調達が出来ないだろ」
リオ「あ、あぁ!そうだな。 行くとするか」
シノブ「ゲンが1番年上だと思ってたんだけどな……」
そんな話をしながらも勇者一行は街に入ることにしました。
しかし……
門番「すみません。そこのお方、ちょっと身体チェックさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
ゲン「……えっ? お、俺か?」
ゲンが何故か門番に止められてしまいました。
ゲン「お、俺のどこが悪いって言うんだ!?」
門番「いや、悪いという訳では…」
リオ「ゲン…お前の事は信じてたのにまさか犯罪を犯していたとは…大丈夫、俺はお前が釈放されるまでちゃんと待っててやるからな!」
シノブ「うち…初めて門番に止められてる人見ちゃった……」
カイ「そ、そんな……ゲンが……犯罪者……?」
ゲン「話をややこしくするな! 捕まるような事してねぇよ!」
門番「あの…だから身体チェックを」
ゲン「いや、だから危険物の類は持ってないんだが…」
門番「そういう問題では…まぁとりあえずこちらに来て下さい」
ゲン「え? お、おい! どこに連れてく気だ!?」
ゲンが門番に警備隊員の小屋らしき所に連れていかれそうになってしまってる…
これ以上はからかったら殺されそうだからやめておこう。
でも、力技でごり押す訳にもいかないし…交渉をしてくれそうでもないし…どうしたものか
カイ「ねぇリオ…そろそろ止めないとゲンヤバくない? なんか連れてかれそうな雰囲気なんだけど」
リオ「そうだよな…よし、ここは俺に任せてくれ。 ゲンの身の潔白は俺が証明してみせる!」
コレでもアイツとは長い付き合いだ。説得すれば門番も分かってくれるはずだ。
リオ「ちょっと待ってくれ。 確かにこいつはパッと見気持ち悪いクソ陰キャ野郎で怪しいかもしれないが良い奴なんだ。 捕まえられるようなことは何もしていない。 現に俺たちは街に入ろうとしただけだ」
ゲン「リオお前、俺の事庇って……ってちょっと待て。 お前今俺の事なんつった」
門番「だから何を言ってるんですか?身体チェックをさせてもらうだけと言ってるでしょう?」
ゲン「おい門番口を挟むな。 俺がこの薄情者を問い詰めてる途中だぞ」
カイ「そもそもなんで身体チェックが必要なんですか?先程から言っていますけど街に持ち込まれては困るような危険物は所持していませんよ?」
リオ「そうだそうだ! なんで身体チェックなんてする必要があるって言うんだ!」
ゲン「おいお前ら。 何も無かったようにスルーするんじゃない。 おいってば」
門番「いや、そちらの方はフードと髪で顔が隠れているので身分がよく確認出来ないんですよ。最近は平然を装って街中に侵入してくる魔王の手先達がいるもので警備を強めているんですよ」
あー。 確かにそれはダメだ。 ゲンはフードを被ってなんなら片目を髪の毛で隠してる言わゆる厨二病ヘアのような髪型をしている。 俺達は慣れてしまっているから違和感を感じないが他の人から見てみたらただの不審者でしかない。
ゲン「なるほど…そういう事だったのか。それは悪かったな。騒ぎ立ててしまって」
門番「君達、もしかして知らなかったのですか? 最近は何処もこの話題で持ちきりなはずなんだけども」
リオ「初耳ッスね」
シノブ「……一応、教えてくれる?」
門番「まぁ…構いませんが」
すると門番は真剣な顔立ちでこう語り始めました。
門番「最近、凶暴な魔物が増えてきてるのは知っていますよね?それと同時に凶暴な人間も増えてきていていまして、この前はフィーニスタウン城内でフードを身にまとった男女4人組が突如魔法を放ち暴れ出すという事件が起きまして。そして最近の調査でわかったことなのですが凶暴化した人間、魔物共に特徴があってそれが『黒いオーラ』と『漆黒に染まった箇所』この2つがある事が分かっています。漆黒の印例えばスライムであればコアが黒く染っていたりゴーレムであれば身体が真っ黒になっていたり人間であれば目や髪等身体のどこかが黒く染っているとの報告を受けています。そして黒いオーラに関しては見ただけで分かるほど禍々しいオーラが見えますのですぐ分かると思います。貴女方も見た事あるのでは?」
そういえばイェワンタウンを出たばかりの所にいたスライムが黒く禍々しいオーラを放っていたような……あれも凶暴化の1つだったのか。
門番「それもこれも魔王復活の影響だと思い、魔王城に最も近い街であるフィーニスタウンでは防衛体制、警備体制を強化してそういう凶暴化した人間がまず街に入ることを防いでいるんです 」
門番が説明をし終わると
カイ「王様から凶暴化してる魔物が増えているとは聞いていたけど…まさか人間も凶暴な人が増えてるなんて知らなかったな…」
ゲン「黒いオーラ…瘴気とも呼ぶべきか? 知らなかったな…俺達も気をつけなければ」
シノブ「…………」
門番「と、言うわけで街に入るのならフードと髪を避け顔をしっかりと見せてください。目や口元、髪等を確認しなければならないので」
門番にそう言われるとゲンは渋い顔をしながら悩み始めた。
ゲン「うぅむ…し、しかし……」
リオ「……ゲン。 こればかりは仕方の無い事だ。さっさと済ませて街に入ろう」
ゲン「……まぁリーダーのお前が言うのであれば……承知した」
そういうとゲンはフードを脱ぎ、髪で隠れていた右目を門番へ見せました。
すると門番は慌てた様子で、それも申し訳なさそうに
門番「し、失礼しました! 本当にお手数をお掛けしてしまい申し訳ございません。 異常はありませんのでどうぞ街にお入りください」
シノブ「?いきなりどうしたんだろう……ゲン! うちあんたの顔見えなかったんだけど、何かあるの?」
リオ「……ほら、シノブ。 行くぞ」
シノブ「え? あ、ちょっと待ってよ!」
色々といじこざのあった勇者一行でしたが無事街に入れたと言う事で早速物資の調達を始めることにしました。
ゲン「街に入って早速で悪いんだがもう夜も近いし物資調達を済ませてしまおう」
カイ「オッケー! じゃあとりあえず雑貨屋に行こうよ! 装備の手入れとか装飾品を買いたかったんだよね」
ゲン「いや、魔道具屋が優先だ。 手持ちの薬草やポーションを切らしてしまっているからな。 生活必需品がないのは困るだろう」
シノブ「うちは別にどっちでもいいけど、リオ。どうする?」
リオ「え? 俺?」
う〜ん…結局どっちも行くのであれば俺はどっちでも良いんだけども。
まぁゲンの言う通り生活必需品が無いのは困るだろう。 それにもう遅いし早く行かないと品切れの可能性も有り得る。ココは魔道具屋に行くのが先決だろう。
リオ「じゃあ、まどうぐ……」
カイ「リオ! リオは先に雑貨屋に行きたいよね…?」
そういうとカイは俺の傍に来て上目遣いで俺を見つめてくる。
全く…この程度の誘惑で俺が「雑貨屋に行こっか〜♡」なんて言うとでも思っているのだろうか。
俺は最近甘く見られているようだしここらでビシッと言ってやった方が良いのかもしれない。
そう思った俺はカイを見つめ口を開き……
リオ「じゃあまず雑貨屋に行こっか〜♡」
そう甘えた声で言い放ちました。
カイ「やったぁ! さっすがリオ分かってるぅ!」
ゲン「顔と声がクソ気持ち悪いが……まぁお前が言うならそうするか」
シノブ「了解! じゃあ着いてきてよ! うちオススメの場所知ってるから」
そういい走り出すシノブを追いかけるように俺達もシノブの後をついて行った。
シノブの後をついて行くとそこには屋敷程の大きさの雑貨屋が建っていました。早速中に入った勇者一行はシノブからこの店について聞いてみました。
シノブ「着いた〜! ココの雑貨屋さんは国1番の大きさを誇る雑貨屋さんでね、武器に防具に装飾品となんでも揃ってるんだよ!」
カイ「うわぁ! 見てリオ! 魔防ローブの最新作が置いてある! あっちにはペンダントも!」
リオ「すげぇ! あそこには剣が並んでるぜ!」
ゲン「お前達…騒ぐ気持ちは分かるがもう少し静かにしてくれ……周りの目が痛くて仕方がない」
シノブ「まぁまぁいいじゃない! 2人ともこんな所には滅多に来ないだろうし」
ゲン「それもそうだな…よし、お前ら聞け」
リオ・カイ「「はい?」」
するとお金の管理をしているゲンがまるで母親のようにこう言ってきました。
ゲン「お前達。あまりこういう所に来ることは無いだろうしお前達の好きな物をなんでも一つだけ買ってやる」
リオ・カイ「「え!?いいの!?」」
ゲン「ただし! 値段はさすがに考えろよ? あまりに高すぎるのは買えないからな……っておい! 最後まで聞け!」
ゲンにそう言われた俺とカイは意気揚々と店内を回り始めた
リオ「ん〜何買おうかなぁ〜」
ゲンに好きな物を買っていいと言われて店を眺め始め早10分。俺は剣が上手く使えないから剣はいらないし、魔法は使えないから杖もいらない。盾や防具も身軽に動きたい俺にとっては邪魔だしいらないし……
……あれ?俺に必要な物って……何だ?
シノブ「あ、いたいた。買う物は決まった? うちのも買ってくれるらしいからうちはこの髪留めを買うことにしたよ。リオは?」
リオ「それが気付いちゃったんだけど俺ってもしかしたら欲しい物が無いのかもしれないんだよね」
シノブ「え? そうなの? ほら、強い防具とか武器とか」
リオ「俺防具は重くなるからつけないし武器は上手く使えないから使わない」
シノブ「じゃあ耐性を付けてくれるアクセサリーとか……」
リオ「星のペンダントがあるからいらないという事に気付いちゃってさ」
シノブ「た、確かに……え? リオってどうやって今まで戦ってきたの?」
リオ「俺筋肉はあるからぶん殴ったりしてパワーでねじ伏せてきた」
シノブ「勇者の戦い方とは到底思えないね…じゃあ戦闘用具じゃなくて本当に適当な物でも買えば? 例えば服とかさ」
リオ「そうだなぁ……考えてみるわ」
シノブ「ゲンがもうちょっとしたら魔道具屋に行くって言ってたから買うなら急いだ方がいいよ。 じゃあまた後で」
そう言い残してシノブは店のレジへと向かっていった。
リオ「……本当に何買おうかな」
雑貨コーナーにやってくるとそこにはトランプ、腕時計、キーホルダー等が並んでいた。
リオ「特に欲しいものはないな……ん?」
俺の目線の先には何故か目を奪われるような輝きを放つ、それは綺麗な指輪があった。
値段も1000円と信じられないくらいに安い。何か仕掛けがあるのだろうか?
リオ「訳あり品ってヤツか? 特に傷がついてたり呪われてる訳でも無いし…まぁ欲しい物も特にないし、コレにしよっかな」
ゲン「おいリオ。 いつまで悩んでいるんだ、そろそろ行くぞ?」
リオ「おぅゲン。今決まったぜ、コレ買ってくれ」
ゲン「何だこれは…指輪? お前こんなのが欲しいのか? もっと他に役立つ物とかじゃなくていいのか?」
リオ「いいの! なんかそれに一目惚れしちゃってさ」
ゲン「まぁお前がそう言うなら良いが……じゃあみんな外で待ってるから先に外で待っててくれ。 会計終わらせたら俺も行く」
リオ「うす。 じゃ先行ってるぜ」
そうしてレジへ向かうゲンを尻目に俺は外で待っているカイとシノブの元へ向かった。
To Be Continued→4章5話:勇者一行は摩訶不思議な店主と出会う