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26話:アイシクルドラゴンとの死闘 5章:夕影騒動編

26話:アイシクルドラゴンとの死闘

5章:夕影騒動編



カイ「みんな受けとって、『クイックタイム・フィールド』!」

ゲン「俺からも、『パワービルド・フィールド』」

紅莉「ありがとうございます2人共」

ゲンとカイの支援魔法を受け、紅莉は前線へ出る。

ゲン「俺と姫乃2人で前へ出るからカイとリオはアリスを守りながら俺達の支援を頼む」

カイ「了解! 私達が守るからアリスは安心して力を貯めてね!」

アリス「ありがとうみんな。 じゃあ頼むよ」

カイはアリスにそう言うとゲンと紅莉に続き後を追う。

リオ「なぁカイ。 俺支援って言われたけど何すればいいと思う?」

カイ「え? いや、私に聞かれても……自由自在って威力が関係なければそのまま使えるんだっけ?」

リオ「ヨルマが言うにはそうだったはずだけど……現にヨルマから教えて貰ってさっき使ってた『ライフドレイン』っていう生命力を吸収するスキルは弱体化すること無く使えたな」

カイ「いつの間にそんなスキルを覚えてたんだ……となると攻撃魔法とかスキルは弱体化するけど、支援魔法とか錯乱スキルとか吸収するスキルみたいな相手の防御とか関係ないスキルはそのまま使えるのかもね」

リオ「そうなのかなぁ?」

1度見たスキルは使えるようになるという俺のオリジナルスキルである『自由自在』は未だに自分でも細かい事はよく分かってない。

とりあえず1回見たスキルは大体使えちゃうし普通は難しいらしい複数のスキル同時発動も出来ちゃうし……正直威力が低下するデメリットなんて気にならないくらい強いスキルな気がしてきている。

でもアイシクルドラゴンみたいな圧倒的に力量差が離れていると俺には決定打になるスキルがないからどうしようも出来ない。

カイ「そのライフドレインってスキルはアイシクルドラゴンには通用しないの?」

リオ「え? あ〜どうなんだろ?」

そういえば試してなかったな。

そもそもライフドレインって悪魔のスキルだからよく分かんねぇんだよなぁ。

紅莉「『辻斬り』!」

「グルゥゥ……」

ゲン「こっちにもいるぞ、『バースト・インフェルノ』!」

そんな事を考えながら歩いていると気がつけばゲンと紅莉が戦ってる所までついてしまった。

ゲン「あぁ、お前らか。 悪いが俺達2人共前衛職じゃないもんで結構苦戦しててな……2人共少し前よりにサポートしてくれるとありがたいんだが……」

カイ「分かったよ。 じゃあゲンと姫乃さんが前で私がその後ろ、更にその後ろにリオって形でいいかな?」

ゲン「あぁ、そうだな。 リオはアイシクルドラゴンに有効なスキルあったのか?」

リオ「いやぁ……う〜んどうだろ。 何も無いかも……」

ゲン「おいおい…大丈夫なのかリオ……」

そんな事言われてもなぁ……

攻撃系のスキルや魔法は威力が低下するから通用しないだろうし……やっぱりライフドレインか? でもフィールドを使ったらみんなも巻き添えにしちゃうし単体相手に使うなら触れないとダメだし……う〜ん………

紅莉「とりあえずリオ様は何か策を練っていて下さい。 何がいい案が思いつけば私達に申してください」

リオ「お、おう。 分かった」

カイ「っ! みんな氷塊が飛んできてる! 避けて!」

そんな話をしているとアイシクルドラゴンが氷塊の雨を降らして攻撃してくる。

ゲン「話してる余裕はなさそうだな! 『バースト・インフェルノ』!」

紅莉「ですね! 『不知火烈斬』!」

ゲンと紅莉は再びアイシクルドラゴンの気を引くため前へと出て戦い始める。

カイ「リオ、私も前に出て2人をサポートしてくるからアリスを頼んだよ」

リオ「お、おう!」

そう言うとカイまで行ってしまう。

どうする俺……もし何かあった時に俺を守ってくれる人はいなくなったぞ。

ちょっとでもやらかしたら死……

アリス「リオ! ちょっとこっち来て!」

リオ「? どうしたアリス」

アリス「ちょっと聞こえたんだけどリオはアイシクルドラゴンを倒すための案を考えてるんでしょ?」

リオ「まぁそうだけど……あまり期待はしないでくれると助かるんだが……現に何も思いついてないし」

アリス「それがちょっと良い案を思いついてさ。 リオならもしかしたら出来るかもって感じなんだけど……」

リオ「もしかしたら……? もしかしたらってどういう事?」

アリス「ちょっと耳貸して」

アリスはそう言うとちょいちょいと手招きして来たので俺は大人しく耳を貸す。

リオ「ふんふん…………あー…どうだろう? やってみない事には何とも……」

アリス「あくまで私が思いついた1つの案だから参考程度に考えてくれると嬉しいな。 私もリオの自由自在については詳しく分からないし」

リオ「まぁそうだよな…………うん、よし、分かった。 あとは俺に任せてアリスは技の準備をしといてくれ! 良い案を思いついた!」

アリス「うん、分かったよ! 頼んだよリオ!」

俺は笑みを浮かべながらアリスにそう言い3人の元へと急ぐ。

アリスの案……俺の自由自在の力……そしてゲンとカイと紅莉の力を合わせたこの作戦なら……

リオ「3人共! 一旦こっちに来てくれ!」

ゲン「っ! わかった。 みんな、頭を狙え!『バースト・ダークインパルス』!」

紅莉「分かりました、『兜割り・斬』!」

「ガッ……グルゥゥァァッ……」

ゲンの手から放たれた闇の魔力がアイシクルドラゴンの氷の兜を破壊し、そこにすかさず紅莉が斬撃を叩き込み怯ませる。

相変わらずデタラメな強さだなあの2人……俺の作戦とかなくたって倒せんじゃねぇのか?

カイ「ナイス2人共! それで、どうしたのリオ? 何か作戦を思いついたの?」

リオ「え? あぁ、そうだった。 悪いんだけどこれから俺が伝えるようにみんなには動いて欲しいんだ。 この作戦ならアイシクルドラゴンを1発で倒せるはず……」

ゲン「そうか。 お前がそう言うなら信じよう」

カイ「だね、じゃあその作戦を教えてくれる?」

リオ「おう、作戦はこうだ……」


「グルヴヴヴヴヴ……」

リオ「よし、じゃあみんな作戦通りに頼む!」

ゲン・カイ・紅莉「「「了解!!!」」」

作戦を伝え終わると同時にアイシクルドラゴンが起き上がったので、早速みんなには配置についてもらう。

よし、早速俺は準備だ。

ゲン「全くしぶとい奴だな。 お前の氷の兜さっき破壊してやったってのに……」

紅莉「きっと致命傷を与えない限りずっと再生するんですよ。 さっきもそうでしたし」

カイ「やっぱりアリスに決めてもらうしかないね。 『炎天脚』!」

ゲン「俺もいるぜ、『リミテッド・インフェルノ』!」

「グルルル……!」

紅莉「っと危ないですね。 『辻斬り』!」

3人にはアイシクルドラゴンを囲むように立ってもらい、そこから技を放ち気を引いてもらっている。

そしてその隙に俺はコレを試す。

手を指鉄砲の形にして先端にバースト・インフェルノの魔力を一点に集中させる。

コレがアリスが提案してくれた『威力が下がっちゃうなら威力を一点に集中しちゃえばいい』という案だ。

ちなみに魔法をこんな使い方する事なんて初めてだから当然難しい。

少しでも気を抜くと集中させた魔力が逃げてしまい魔法が消えてしまう。

リオ「てか今のこれどんくらいの威力なんだろう……試しに打ってみっか」

まだバースト・インフェルノの魔力を全て貯めきれてはいないが、現状の威力が気になるのでアイシクルドラゴンへと照準を定める。

リオ「喰らえ、バースト・インフェル……ノォッ!?」

「グガァァァァォッッッ!!!!!」

アイシクルドラゴンへ向けて放った瞬間、自分では目で追えないスピードで飛んでいきアイシクルドラゴンの胴体に直撃する。

カイ「な、何!? 」

ゲン「まさかコレがリオの言ってた1点集中したバースト・インフェルノか……!?」

紅莉「威力はあまり期待しないで欲しいと仰ってたのにも関わらず鎧を貫通して胴体にダメージが入ってますよ……!」

紅莉の言う通り俺のバースト・インフェルノが直撃した箇所は銃弾で撃たれたような跡が付いており、煙を上げていた。

「グルルル……グルゥゥァァッッッ!!!!!」

ゲン「危なっ! みんな避けろ!」

俺の攻撃に怒ったのかアイシクルドラゴンは氷塊を降らしながら尻尾を振り回して攻撃してくる。

紅莉「痛っ……く、氷塊が多くてかわしきれない……」

ゲン「大丈夫か姫乃! くっ、サポートに入る隙がない……」

リオ「3人とも大丈夫か!」

氷塊の雨に加えて氷のブレスも吐いてくる猛攻により苦戦を強いられる。

「炎魔法を使える人はあの氷塊を撃ち落とせ! 回復魔法を使える人は勇者様達に使ってサポートを! 」

「「「「はい!!!」」」」

紅莉「傷が癒えた……コレでまだ戦えます!」

カイ「氷塊が消えた! コレでまた動ける!」

後援の人達のサポートのお陰で3人は立て直し、また時間を稼いでくれている。

リオ「おっと、こうしちゃいられない。 早く準備をしなきゃ……」

次は中途半端なのじゃなくフルパワーのをぶつけてやらなきゃな。 じゃなきゃさっきみたいに暴れるだろうし。

カイ「『煉獄乱撃』!」

ゲン「ナイスだカイ、『バースト・ダークインパルス』!」

カイが胴体の鎧を殴り、ゲンがすかさず頭の兜目掛け魔法を放つ。

ゲン「コレで氷の鎧も剥がれただ…ろ……!」

カイ「えっ、ヒビ1つ付いてない……!?」

「ヴヴヴ……!」

紅莉「危ない! 『辻斬り』!」

アイシクルドラゴンの反撃を喰らいそうになったゲンとカイを紅莉が間一髪で助けに入る。

紅莉「ぐっ……お、重たい……」

ゲン「すまん姫乃、助かったぞ。 『リミテッド・インフェルノ』!」

そのおかげで何とか体勢ゲンが魔法を撃ち再び距離をとる。

カイ「もしかしてあの氷の鎧って復活する度に強度が増していくのかな……?」

ゲン「恐らくそうだな。 さっきまではダメージが通っていた攻撃が効かないって事はそれしか考えられん」

マジかよ。

まぁでもさっきの試し打ちであんだけダメージが入ったんだ。 フルチャージすりゃダメージ通るだろ。

アリス「リオーッ!」

リオ「! ナイスタイミングだぜアリス!」

丁度俺も準備が終わったタイミングでアリスから合図が送られる。

リオ「よし、みんな! 目を瞑れ! 『太陽光弾』!」

「グッ……グルゥゥァァ……!」

き、効きが弱い……! 2回目だから対応されたか……?

リオ「3人とも、あまり目眩しが効いてないから早めにコッチに来てくれ!」

俺がそう伝えると3人は急いでこちらへ避難してくれる。

ゲン「後は頼んだぞリオ! アリス!」

リオ「おう! これでも喰らえアイシクルドラゴン! 『バースト・インフェルノ・ガン』!」

「グガァァァァォ……!」

ゲン「あまりにも技名が安直過ぎないか?」

カイ「しーっ! カッコイイからいいの!」

左前脚にヒットさせるとアイシクルドラゴンは痛がった様子でコチラを睨めつけてくる。

流石に1発じゃ倒れないか。

リオ「なら……もう1発お見舞いしてやる!」

「グォォォォォァァァァァッッッ!!!!!」

念の為用意しておいたもう1発を右前脚にヒットさせるとアイシクルドラゴンは雄叫びを上げながらその場に倒れる。

リオ「今だアリス!」

アリス「よし、みんなありがとう! いくよ……」

アリスはそう言い剣を振りかぶると、大気中の魔力がアリスへと集まり暖かい魔力が辺りを包む。

アリス「これで終わりだよ! 『煉獄豪炎迅烈斬』!」

アリスが剣を振り下ろすと燃え盛る炎がアイシクルドラゴンの辺りを飲み込み、雪原と化していた一帯を炎が包み込み、アイシクルドラゴンに炎の斬撃が直撃する。

リオ「てゆーか相変わらずのデタラメな技だな……なんか黒煙上がってるし炎ぐつぐつ言ってるし」

紅莉「勇者が使う神器の力はデタラメな強さですからね。 リオ様も神器の力を上手く使えばあの位のデタラメな能力を使えるはずなんですけどね」

リオ「んな事言われたってなぁ……星のペンダントの効果なんて状態異常無効化位しか知らねぇし。 そもそもこの効果も有難みを感じたことがないんだけど」

ゲン「まぁ神器は未だに未解明な部分が大きい事もある。 それにお前の強みはなんと言っても自由自在による手数の多さだしな」

その自由自在もあまり理解しきれてないんだけどな。

カイ「みんな! 煙が晴れるよ!」

ゲン・紅莉「「!?」」

リオ「あれ?」

カイの言葉に一同がアイシクルドラゴンのいた場所を見ると、そこには氷の鎧だけが剥げた状態のアイシクルドラゴンが気を失って横たわっていた。

「全然ダメージ受けてなくないか?」

「あれじゃあ氷の鎧が無くなっただけで起きたらマズイんじゃ……」

アリス「いえ、大丈夫だと思います」

冒険者達が疑問を浮べる中、アリスはそう言い放ち、

アリス「アイシクルドラゴンは元々大人しい性格。 私達がこれ以上戦う意思を見せなければ分かってくれるはずです」

「そ、そうなのか? まぁ勇者様がそう言うなら信じますけど……」

「グ……ゥゥ……」

ゲン「おい、目を覚ましたぞ!」

そんな話をしていると早速アイシクルドラゴンが目を覚ます。

大丈夫なんだよな? 襲ってこないんだな!?

「…………」

アリス「…………」

「カルルルル……」

カイ「さ、去っていった……!」

数秒アリスとアイシクルドラゴンが目を合わせると、アイシクルドラゴンのさっきまでの凶暴さは何処かへ消えて大人しく羽ばたいて去っていく。

ゲン「まさか本当に大人しく去っていくとは……」

紅莉「一体何をしたんですかアリス様? 」

アリス「え? 何もしてないよ。 ただ私はこれ以上戦う気ありませんよって伝えただけだよ」

リオ「伝えただけってお前……」

まぁ何がともあれコレで一件落着……

「グォォォォォァァァァァッッッ!!!!!」

リオ・カイ・ゲン・アリス「「「「!?!?」」」」

紅莉「この咆哮は……!」

「ゆ、勇者様! 上!」

リオ「ッッッ!? な、何で……!?」

上と言われたので上空を見上げると、先程飛び立って行ったアイシクルドラゴンが何故か上空で悶え苦しんでいる。

というかアレは……

アリス「黒いオーラ……! なんで今になって……!?」

ゲン「確かに他のモンスターは黒いオーラを纏っていたのにアイシクルドラゴンだけは纏っていなかったな……だがなんで今更なんだ? それにあの様子からしてアイシクルドラゴンは黒いオーラを拒絶してるっぽいぞ」

ゲンの言う通りアイシクルドラゴンは黒いオーラを振り払おうと暴れ回っている。

紅莉「となるとどこかで何者かが黒いオーラを何の関係もない第三者につけている可能性が高いですね。 ソルベの呪いも確かそうでしたし」

アリス「でも一体誰が……魔王では無いだろうしやっぱりディストピア・クインテット?」

リオ「な、なぁみんな。 考えるのはいいけどもしかしたらそんな時間ないかもよ……?」

カイ「えっ?」

みんなが凶暴化の原因である黒いオーラが誰の仕業なのか考えてる中、アイシクルドラゴンが黒いオーラに包まれ動かなくなる。

紅莉「皆様、なんだかとても嫌な予感がします。 きっとこの後の展開といいますと……」

「グォォォォォァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!」

リオ「や、やばい……! みんな! 逃げろっ!」

アイシクルドラゴンは苦しんでいるような雄叫びをあげると、黒いオーラを纏いながらこっち目掛けて突っ込んでくる。

リオ「か、間一髪だったぜ……って、な、なんだ!?」

カイ「よ、鎧が黒い……!?」

地上へと突っ込んできたアイシクルドラゴンを見ると先程とは一変し、氷の鎧ではなく禍々しい黒い鎧を纏っていた。

「グゥゥ……グォォォォォァァァァァ!!!」

リオ「く、黒いブレス攻撃!? 何だそれ!?」

アイシクルドラゴンは苦しそうに雄叫びをあげると氷のブレスではなく黒く染ったブレス攻撃を仕掛けてくる。

ゲン「ま、マズイ! 『リミテッド・アイシクル』!」

アリス「『サンライト・スラッシュ』! 他の冒険者の皆さんは逃げて下さい! 腕利きの冒険者の方がいればサポートをお願いします!」

「に、逃げろみんな! 」

「あんなのいるなんて聞いてねぇぞ! どうなってんだ!」

「あ、あたし静羅将軍を呼んでくる!」

アリスとゲンがブレス攻撃を受け止めている間に冒険者達は慌てた様子で逃げていく。

リオ「てか俺らも逃げるべきだろ! 明らかにさっきより凶暴だし危ねぇって!」

アリス「そうしたいのは山々だけど私達が逃げたらセキエイタウンがめちゃくちゃにされちゃう……」

リオ「それはそうかもしれないけど……」

だとしてもコイツに勝つイメージが微塵もわかない。

さっきの魔法銃の用意をするか……? でも目の前にいるってのに呑気に貯めてなんていたら攻撃喰らって死……

「グルゥゥァァ!」

アリス「っ! リオ危ない! きゃあ!」

リオ「っ! アリス!」

紅莉「アリス様!」

考え事をしているとアイシクルドラゴンが攻撃してきてたらしく、アリスが俺を庇って攻撃を喰らってしまう。

カイ「アリス! 大丈夫!?」

アリス「まぁなんとか……攻撃を喰らう前に剣で多少はダメージを抑えたから。 でもこんな威力が強いなんて……いててて……」

カイ「ダメージを抑えたっていっても出血量が多い……大人しくしててね。 私が今回復させてあげるから」

カイはそう言うとアリスの回復に取り掛かる。

ゲン「まずいな……アリスが欠けたとなると俺ら3人で引き止めるしかないぞ……」

紅莉「凶暴化によって攻撃も強くなっているようです。 私達が喰らったら1発で即死でしょう。 気をつけてくださいね」

リオ「事実だとしてもそんな怖い事言わないでくれよ……」

俺を庇ってくれたアリスの為にもここで引く訳にはいかない。

でも俺がアイシクルドラゴンにダメージを与えるには貯めがいる。

だがそうしたらゲンと紅莉2人にアイシクルドラゴンを任せてしまうことになる。 それは無理だろう。

ゲン「なっ、何だ? アイシクルドラゴンの様子がおかしいぞ……!?」

リオ「えっ? ほ、本当だ! なんか黒いオーラが充満してきてね?」

アイシクルドラゴンへと膨大な魔力が集まり、黒いオーラが辺りを包み始める。

紅莉「この魔力……! ヤバいです皆さん! アイシクルドラゴンはどうやらここら一帯を消し飛ばすつもりらしいです!」

リオ「ここら一帯を消し飛ばす!?」

ゲン「まさか集めた魔力を解放して爆発を起こすつもりなのか!? 早く止めないと……」

リオ「止めるったってどうすりゃ……てかもう爆発しそうじゃ……」

爆発を止めようともう既に溜めは終わったらしくアイシクルドラゴンが今にも魔力を解放し爆発を起こそうとしている。

コレはどうしようも……

「ギェァォァァァァァァァァォァァァッッッ!!!!!」

アリス・カイ・ゲン・紅莉「「「「!?!?」」」」

リオ「なっ、何だ!?」

もう無理だと思ったら突然青い光波がアイシクルドラゴンへと降り注ぎ、アイシクルドラゴンはその場に倒れる。

ゲン「何が起こった……!? 今誰か攻撃したか?」

カイ「いや、全く。 私とアリスは絶対に出来ないよ」

紅莉「わ、私も違いますよ」

リオ「俺も」

ゲン「だよな、じゃあ一体誰が……」

アリス「み、みんな見て! アイシクルドラゴンが……!」

紅莉「! く、黒いオーラが……!」

アイシクルドラゴンを見てみると黒いオーラが消えていき、元の姿へと戻る。

ゲン「戻った……! この凶暴なアイシクルドラゴンを一撃で沈めたのか……!?」

紅莉「しかし一体どこから攻撃が……あの青い光波は上から降ってきましたが……」

みんなで上を見上げてみるがもちろんどこにもそれらしき物や人はいない。

リオ「てかそもそもあんなデタラメな技を使えんのはアリスみたいな勇者かディストピア・クインテットみたいな奴らだろ?」

アリス「まぁ考えられる候補はそんな所だね。 というかリオも勇者でしょ」

リオ「俺はあんな技も使えないしゲンとカイの方が強いから1番雑魚なんですぅ〜!」

ゲン「お前は何ひねくれてるんだ……って、おい。 アイシクルドラゴンはどこ行った?」

リオ「え? いや、そこに倒れてる……ってあれ? ど、どこ行った?」

ゲンに言われてふとアイシクルドラゴンがいた所へ視線をやると、さっきまでそこで倒れていたはずのアイシクルドラゴンが音もなく忽然と姿を消した。

カイ「私達が話してる間に飛んで行った……?」

紅莉「いえ、そうであればさっきみたいに飛んでいく音が聞こえるはずです。 一切音も何もしていないので消えたとしか……」

ゲン「だがそんな事が可能なのか? 音もなく消えるとか聞いたことも無いぞ」

リオ「うぅん……全く分からねぇ」

「勇者様〜! 無事ですか〜!」

アイシクルドラゴンがどこへ行ったのか考えていると、先程逃げていった冒険者達が武装をし直して駆けつけてくれた。

「もしかしてもう終わってしまいましたか?」

リオ「いや、終わったって言うか……終わらせられたと言うか……」

ゲン「助けに来てくれてたのか?」

「はい。 勇者様達だけに任せる訳にもいきませんから」

「僕達は静羅将軍にアイシクルドラゴンが凶暴化して大変だという事は伝えてきたので静羅将軍も来てくれるはずなのですが……まさかもう倒してしまっているとは」

紅莉「い、いえ…私達が倒した訳じゃ……」

「しかもアイシクルドラゴンが見当たらない……! もしかして勇者様! あの巨大なドラゴンを消し炭にしちまったってのか!?」

アリス「え? いや、全然そんな事してな……」

「何当たり前な質問してんだバカ! お前俺と一緒にアリス王女の強さは目の当たりにしただろ! ドラゴンなんて勇者であるアリス王女にかかれば瞬殺ってこった!」

「流石は勇者様! 私正直戦いたくなかったから助かりました! この街の救世主ですよ!」

アリス「いや、だから私は何も……」

弁明の間もなく冒険者は俺達がアイシクルドラゴンを倒したと思い込んでいるようだ。

ゲン「まぁどっちにしろアイシクルドラゴンを倒してくれた人は分からないんだしとりあえずここは俺達のおかげって事にしておこう。 正しい事は静羅将軍と影に伝えればいいだろう」

リオ「そ、そうか? まぁゲンがそう言うなら任せるよ」

カイ「とりあえず一件落着って事でいいのかな?」

アリス「そうだね。 まぁ謎な事もあるけどね」

黒い瘴気に飲まれ凶暴化したアイシクルドラゴンを一撃でダウン。 そして音もなく突如として消えるアイシクルドラゴン。

一体誰の仕業なんだ……? 魔王軍の仕業だとは思えないし……となると誰なのか最早検討もつかない。

……うん、とりあえず考えるのは後にしよう。

とりあえず今は疲れたしさっさと帰って早く寝たい……

「よし、となれば今夜は祝勝会だ!」

「みんな! 帰って勇者様一行を労う準備だ!」

リオ・アリス・ゲン・カイ「「「「えっ」」」」


「っと、おーい! 戻ったぞ〜」

扉を開けてそう大声で言うと影が慌てて降りてくる。

影「お疲れ様! ごめんね帰る所だったのに」

「いや、いいよ。 どうせ向こうじゃ対して時間経ってないだろうし」

影「時間が経ってない……?」

「あ、いや、気にしないで。 こっちの話だから。 それよりアイシクルドラゴンはどうだ?」

影「多少の傷はあれど問題は無さそうだったよ。 でも何でアイシクルドラゴンがこんな所まで来たのかは分からなくてね……」

「いや、それについては調べなくていい。 大体見当がついてる」

影「えっ、そうなの? 一体何が原因だったの?」

「それについてはまた改めて話すよ。 とりあえずそろそろ戻らないとアイツらに怒られるからさ」

影「そっか、わかったよ」

「あ、あとこれ。 ディストピア・クインテットについての調査結果書。 悠桜とシルヴァ、あとソルベについてまとめてあるから見といて」

そう言うと影はパラパラとページをめくり驚いた様子で、

影「こんな沢山の情報一体どうやって……!?」

「まぁやり方ってのがあるんだよ。 あ、あと最後にもう一個!」

影「何?」

「……この街に最近『月のルーナ』の加護を受けた人、又は月の民ってきたか?」

影「月の民? 私の知る限りではいないと思うけど……何かあったの?」

「いや、知らないならいい。 一応他の人達にも確認しといてくれないか?」

影「わかったよ。 多分誰も見てないと思うけどね」

「まぁ念の為な。 じゃあ今度こそ俺は帰るから、またな」

影「うん! 見送りするよ、またね!」

俺は影に別れを告げ早足でこの場を後にする。

「…………まさか俺の他にも月の加護を受けた奴が近くに……」



To Be Continued→5章:27話

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