25話:姫乃紅莉の過去 5章:夕影騒動編
25話:姫乃紅莉の過去
5章:夕影騒動編
ゲン「い、今なんて……?」
紅莉「だから私達の里親はディストピア・クインテットだったの」
紅莉の里親がディストピア・クインテットだって……!?
一体なんで…それに誰が……?
「ヤレオマエラ! コロセコロセ!!!」
魔物達がそんなことを言いながら俺へと殴りかかって……
「あ、そこのフードの人! 危な……」
「オラァッ!!! ……!?!? アタラナイ!?」
「な……なんだそれ!? バリア!?」
紅莉「今だよゲン」
ゲン「悪いが空気を読んでくれ。 今お前らの相手をしてる暇は無い、『バースト・ダークインパルス』!」
手の中で圧縮した闇の魔力を魔物へ向けて放つと魔物達は跡形もなく闇に飲まれ消し飛ぶ。
「な…なんだその魔法……!? 貴方達は一体……」
ゲン「俺らは魔王討伐をするべく旅をする勇者のパーティメンバーだ。 こっちは俺らに任せて他の場所で苦戦してる人達を助けてやってくれ」
「勇者のパーティメンバーだって……!? わ、わかった! よし、手が空いてる人は他の所へ援護に行くぞ!」
俺が指示すると冒険者達は他の場所へと援護へ行った。
ゲン「……で、一体どういうことなんだ? 里親がディストピア・クインテットって」
紅莉「そのまんまの意味だよ。 孤児院でしばらく過ごしていた時に里親が決まったって言われて引き取られた先がディストピア・クインテットの運営する養成所みたいな場所だったの」
ゲン「養成所……つまり魔王軍特別執権官になる為の教育を受けてたってことか?」
紅莉「そうだね。 来る日も来る日も殺人術や戦闘訓練させらて……出来の悪い人は処分されたりもしてたね」
そんな事が……
ゲン「許せないな。身寄りをなくした子供達をそんな好き勝手道具のように扱いやがって…」
紅莉「でもね、悪い人だけって訳じゃなかったの。 私達のお母様は少なくともそうだった」
ゲン「お母様……?」
紅莉「うん。 お母様は訓練を終えた後に寝食をする為の家……『夢想の家』の家主でたま〜に帰ってきては私達の世話をしてくれたの」
ゲン「他の人とは違ってその人だけは優しかったって事か。 魔王軍にそんな人がいるなんてな」
紅莉「うん。 みんなからはお母様と呼ばれて慕われてるんだ」
まさか魔王軍にそんな人がいるなんてな。 ディストピア・クインテットなんてみんながみんな非道な奴らの集まりだと思っていた。
紅莉「あと魔王軍からは……『幻想のシルヴァ』って呼ばれてたね」
ゲン「!? げ、幻想の…シルヴァ……!?」
幻想のシルヴァって……影が教えてくれてディストピア・クインテットのフォース……!
ゲン「じゃあ俺らが倒そうとしてるシルヴァは紅莉の義理の母親って事になるのか……」
紅莉「そうだね。 私が夕影に来た理由の1つはお母様……シルヴァに会うことなんだ」
ゲン「1つ……って事は他にもあるのか?」
紅莉「うん、というかこっちが本命だね……本命は私達をいい道具のように扱い、皆を苦しめたあのマッドサイエンティスト……クソ博士を殺すこと」
ゲン「クソ博士……?」
紅莉「うん。 名前は1度も名乗ってないし聞いた事がないから分からないけど皆からは『博士』って呼ばれてた。 アイツは実験の一環とか言って私達を薬の実験台にしたり、特殊改造したモンスターと無理やり戦わされたり……思い出すだけで腹が立ってくるよ……」
ゲン「ふむ……とりあえず博士がクソ野郎ってのは分かったんだが、そいつのいる場所は検討ついてるのか? さっき言ってた『夢想の家』って所か?」
紅莉「いや、これは予想なんだけどおそらく博士のいる場所は……」
「ギャオァァァァァッッッ!!!!!」
ゲン・紅莉「「!?!?」」
紅莉がそこまで言いかけると耳が痛くなる程の咆哮が聞こえる。
ゲン「お、おい何だ今の! 一体どこから……」
紅莉「……っ! ゲン! 上!」
ゲン「……!? お、おい……あんなデカいのか……?」
上を見上げてみるとそこには分厚い氷を身にまとった巨大なアイシクルドラゴンが宙を飛んでいた。
リオ「『ライフドレイン・フィールド』! オラオラァどけどけぇぇぇ!!!」
「ギェァァォァォォァッッッ!!!」
「ニ、ニゲロォォォォッッッ!!!」
先程とは状況が一変し、逃げ惑うモンスター達を俺達は追いかけている。
リオ「『バースト・インフェルノ』からの『ストームスライサー』!」
「アツイアツイ! ホノオノカゼ!?」
威力は低いが炎を纏った風の刃が魔物達を襲い、魔物達はたまらず火のついた場所を地面にこすりすけ消火する。
リオ「へっへっへ……覚悟しなテメェら! 俺のライフドレインで気力と魔力を枯らしてやるぜ!」
「「「「ヒィィィィィィ!!!!!」」」」
「ゆ、勇者様……もうその辺にしておかれてはどうでしょう? もう魔物達は戦う気が無いようですし……」
リオ「えっ?」
ライフドレインで魔物達から気力を全部奪ってやろうと思ったところ、1人の冒険者がそう言う。
うーむ……確かに戦う気は無いようだが相変わらず黒いオーラは発している。
今迄の魔物達は倒すと黒いオーラがが消えていたし恐らくこれは何者かにかけられた呪いのようなものだと思う。
俺が解呪スキルを使えればいいのだがあいにくそんなの覚えていないから倒すしかない。
放っておくときっとまた凶暴化の影響で人を襲うだろうし見逃す訳にはいかな………
「ギャオァァァァァッッッ!!!!!」
リオ「!?!?」
「な、なんだ!?」
物思いにふけっていると突然鼓膜が破れそうになるほどのバカでかい咆哮が聞こえる。
「ゆ、勇者様! 今のは……!?」
リオ「俺も分からない……何だ今の……」
周りを見てみるが今の咆哮をあげるようなモンスターは見当たらない。
敵サーチスキルを使えばどこにいるかわかるはず……!?
リオ「……ッッッ!!!!! み、みんな上だ!」
「「「!?!?!?」」」
敵サーチスキルに反応があった上空を見ると、見たことも無いくらい大きなドラゴンが飛んでいた。
「あ、アイシクルドラゴンだ! アイシクルドラゴンが来たぞ!」
あれがみんなの言っていたアイシクルドラゴン……みんなの反応からして只者ではないとは思ってたけど……
リオ「にしても規格外過ぎるだろ……!」
ただでさえデカいのにその巨体は分厚い氷の鎧に包まれている。
こんなん俺にどうしろというのか。 無理だぞこんなのを倒すとか。
……というか……なんかアイツこっちを見て……
「クルルルルルルゥ……」
リオ「ッッッ!!!!! み、みんな来るぞ! 一旦下がれ!」
呆気に取られているみんなにそう指示し、後ろに下がらせた途端アイシクルドラゴンは俺ら向けて地面へと突進してきた。
リオ「あっぶな……! 大丈夫かみんな!」
「あ、あぁ……助かったよ」
「ありがとう勇者様! 勇者様がいなかったらもう死んでたよ……」
リオ「どういたしまして…ってそれ所じゃ……」
みんなが俺に感謝を述べてくれてるがそれ所では無い。
「グルルルル……」
突進してきた場所は大きなクレーターになっておりそこからアイシクルドラゴンがこちらを見ながらそんな声を鳴らす。
おいおい……勘弁してくれよ。 確かにさっきまで雑魚敵を薙ぎ倒すのに快楽を得てたけど、だからってこんな仕打ちあんまりじゃないか。
天罰か? 天罰なのか!?
「勇者様! 危ない!」
リオ「ッッッ!!!!! っぶね!!!!」
アイシクルドラゴンのクロー攻撃を危ないと言ってくれた冒険者さんのおかげで間一髪避ける事が出来た。
まずいぞ……ここには俺しかいない……でも俺にはこんなバカでかいドラゴンに攻撃を通せる技なんて持ってないぞ。
リオ「なぁあんた! アイシクルドラゴンの弱点とか知らないか?」
「じゃ、弱点? えーっと確か……一応氷だから炎の攻撃には弱いんだけど氷が分厚すぎて生半可な炎じゃ意味が無いってのと、あと防御を無視する系統の攻撃には弱いはずだよ。 例えば状態異常魔法とか」
状態異常か!
リオ「おっけー、助かったぜ! みんな目を瞑って! これでも喰らえアイシクルドラゴン! 『太陽光弾』!」
「!? ギャオァァァァァッッッ!!!!」
アイシクルドラゴンは目眩し魔法をくらい、雄叫びを上げながらのたうち回る。
リオ「よし、みんな! 今のうちに一旦距離をとるぞ!」
「わ、わかった!」
「みんな今のうちに一旦下がれ!」
よし、とりあえず距離をとる事は出来た。
でも問題はここからどうするかだ。
まず生半可な炎じゃ意味が無いって言ってたから俺じゃあの氷の鎧をどうにかするのは不可能だ。
炎ならアリスがいれば何とかなるはずだけど……それまで俺がアイツの相手を……?
いやいや、無理だろそんなん。 ちょっと攻撃喰らっただけで俺なんかミンチだぞ。
それに……あのアイシクルドラゴンってやつ、他の魔物達と違って黒いオーラを発してない。
凶暴化してる訳でもないのになんで人を襲うんだ……? そもそもただ気性が荒いモンスターなのか?
「勇者様! アイシクルドラゴンがもう視界を取り戻したみたいです!」
リオ「も、もう!?」
「グルルルルゥァ……」
目眩しに相当腹を立てたのかアイシクルドラゴンは怒った様子で氷のブレスを貯め始める。
リオ「おいおいマズイぞ……! 誰か強力な炎魔法を使える人はいないか!?」
「バースト・インフェルノなら……」
リオ「おぉ! じゃあアイシクルドラゴンの口に撃ってブレスを止めてくれ!」
「わ、分かった! 『バースト・インフェルノ』!」
リオ「コレでブレスは止められ……!?」
「き……効いてない……!?」
顔面にバースト・インフェルノが直撃したにも関わらず、アイシクルドラゴンはものともせずブレスを貯めている。
てかコレやば……
「『セイクリッド・シャイニング・レイ』!」
「「「「!?」」」」
突如眩い光と共にアイシクルドラゴンの顔面へ光の光線のようなものが直撃する。
「『煉獄乱撃』!」
間髪入れず炎を纏った拳でアイシクルドラゴンの顔面を殴ると、頭の氷がひび割れ怯む。
「な、なんだあの2人……デタラメな強さだぞ!」
「お、おい……あの人ってもしかしてフィーニスの王女様じゃ……」
リオ「アリス! カイ!」
アリス「お待たせリオ」
カイ「ギリギリセーフだったかな?」
リオ「どちらかと言うとアウトだったけど……助かったよ。 後ちょっとでコールドスリープする所だったぜ」
「グルゥ……ウウウ……」
体勢を戻したアイシクルドラゴンはさっきよりも苛立った様子でコチラを睨めつけてくる。
アリス「結構全力で攻撃したのに頭の氷すら取れないってなかなか頑丈だね……」
カイ「でもヒビは入ってるしこのまま押し切れば行けるね」
リオ「2人共、アイシクルドラゴンは強い炎攻撃と防御無視の技が弱点らしい」
アリス「炎か……それなら私に任せてよ。 溜める時間があれば多分消し飛ばせる程の攻撃ができるよ」
カイ「オッケー! じゃあ今いる人みんなで時間稼ぎだね。 ゲンと姫乃さんはまだ来てない?」
ゲン「噂をすればってやつか? 今丁度来たぞ」
リオ「ゲン! それに紅莉!」
紅莉「お待たせしてしまいましたね」
丁度ゲンと紅莉の噂をすると後ろから2人共現れる。
アリス「丁度良かった2人共。 あのアイシクルドラゴンは強い炎攻撃に弱いらしいんだ。 だから私が威力を貯めている間の時間稼ぎを頼んでもいいかな?」
ゲン「時間稼ぎか。 わかった、任せろ」
紅莉「アリス様のお願いであればなんなりと、それにもうアイシクルドラゴンは痺れを切らしているようですしね」
リオ「えっ?」
紅莉のそんなセリフに嫌な予感がし振り返ると、苛立ったアイシクルドラゴンが氷塊で攻撃をしてこようとしていた。
リオ「く、来るぞみんな! 気をつけろ!」
アイシクルドラゴン。
ゲン曰くアイシクルドラゴンは元々人を襲う事はなく、氷雪地域で過ごす大人しく美しい龍だったそうだ。
しかし一部の人間がアイシクルドラゴンを攻撃し、アイシクルドラゴンの美しい鱗や角を高値で売買したらしくそれ以来人間を嫌い、襲うようになったらしい。
更に今みたいに氷雪地域から出てくるのはとても珍しいらしく、余程運が良くないと見られないらしい。
リオ「こんな所で運使いたくなかったよクソがァァァァァァァッッッ!!! 助けてぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
ゲン「『バースト・インフェルノ』! おい、大丈夫かリオ!」
アイシクルドラゴンの氷塊から逃げている所をゲンが助けてくれる。
リオ「あぁ、大丈夫……ってゲン! 後ろ後ろ!」
カイ「『炸裂拳』!」
ゲンに噛み付こうとしていた所をカイが攻撃し、挙動がズレる。
ゲン「助かったカイ」
カイ「2人共油断は禁物だよ。 支援魔法があってもまともに喰らったらクシャってなっちゃうからね」
いやクシャって……平然と言ってるけど怖すぎんだろ。
紅莉「アリス様が言うにはアイシクルドラゴンの意識をアリス様から遠ざけて欲しいとの事です。 そうしたらその隙に技を打ち込むと」
ゲン「つまりヘイトを買えばいいわけだな、分かった。 ここにいる冒険者全員聞いてくれ! あそこにいるアリスというフィーニスの勇者がアイシクルドラゴンを倒す為の技を使う為に時間が欲しいらしい。 俺達が前へ出て相手をするから他の人達は遠距離から魔法やスキルで応戦してくれ」
「わ、分かりました! よし、みんなで勇者様を援護するぞ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
ゲンが他の冒険者達にそう説明すると、全員が雄叫びを上げ一致団結している。
リオ「なぁ、俺も後ろ下がってた方がいいと思うんだけど……」
ゲン「何言ってんだリオ。 お前は今後コイツより強いヤツと戦うことになるんだぞ。 いい加減戦闘に慣れていかないとな」
カイ「だね。 それにリオは『自由自在』があるんだからみんなのスキルを見て学んだ方がいいでしょ」
リオ「いや、そうかもしれないけど……俺アイツの攻撃に当たったら死んじまうんだけど……」
紅莉「その辺はサポートしますので安心して下さい。 それにリオ様のオリジナルスキルは絶対に役に立つはずです」
リオ「そぉ? そうかなぁ……」
「勇者様方! アイシクルドラゴンがきます!」
そんな声に振り返るとカイの攻撃を喰らい怯んでいたアイシクルドラゴンが体勢を取り戻し、コチラへ向かってきていた。
ってかなんか氷の鎧さっきまでヒビ入ってたのになんか治ってきてね……?
ゲン「もう時間が無い……来るぞ!」
リオ「本当に勝てんのかコレ!?」
To Be Continued→5章:26話




