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24話:自由自在の強さ 5章:夕影騒動編

24話:自由自在の強さ

5章:夕影騒動編



カイ「凄ぉーい! 本当に桜が満開だ!」

ゲン「ここが静羅将軍の言ってた桜並木通りか……確かに圧巻の景色だな」

リオ「……なぁ、やっぱり帰ろうぜ? 俺らが叶う相手じゃなさそうだろ?」

アリス「何言ってんのさリオ。 影も言ってたでしょ? 勝てる勝てないじゃなくて気持ちだって」

リオ「気持ちかぁ……」

静羅将軍と時雨悠桜というディストピア・クインテットのセカンドとの戦闘話を聞き終えた俺はビビって逃げ……じゃなく戦略的撤退をしようと思ったのだが、みんなに引き止められた後影に『すこし気分転換をしてくるといいよ。 今日はこれといって急ぎの用事もないし』と言われて通信機を渡され、今はみんなでセキエイタウンを観光している。

静羅将軍の話を聞く前だったら純粋に楽しめたのだろうが……今は気が気でなくて観光なんて気分にはならない。

紅莉「フィーニスにいた時はあれだけ魔王討伐に乗り気になってたじゃないですか。 今更魔王の手下にビビっていてはやっていけませんよ?」

リオ「だってこんな規格外だと思わなかったんだもん……」

正直ヨルマから魔王は特に悪いことはしていないと聞いた辺りから少し魔王軍特別執権官の事をなめていた。

でもそうだよな。 魔王の下についてる奴らなんだからこれくらいの実力は持ってるよな。

アリス「とりあえず今は観光を楽しもうよ! いつまでも考えてたって仕方が無いしさ」

カイ「そうだよリオ! いつまでもウジウジしてるなんてリオらしくないよ」

ゲン「あぁ。 それに俺達がいるんだからなにもお前が最前線で戦う必要も無いしな」

……確かに2人の言う通りだ。

俺はサポートが得意なんだし後方から支援すれば危険は最小限で済む。

そうじゃん。 そうじゃないか! 何も俺が前に出て戦えとは誰も言ってないじゃないか!

リオ「……よっしゃぁ! 難しい事考えるのはやめだ! めいっぱい遊ぼうぜ!」

カイ「おぉ、急に元気になった」

アリス「そう来なくっちゃ! じゃああそこに行こうよ! なんか屋台みたいなの開いてるし」

リオ「おうよ! ほら行くぞゲン、紅莉!」

ゲン「あぁ……本当にお前ってやつは単純だな」

紅莉「本当ですね。 まぁその方がいいと思いますけどね」

後ろでブツブツ言ってる2人を他所に、俺は甘い香りが漂ってくる屋台へと向かった。


「すまん影、少し遅れた。 待ったか?」

影「いや、私もさっき着いたばかりだよ。 それよりセカンドから情報は聞き出せたの?」

「それがセカンドは他のメンバーについて全然知らないらしくてな。 聞き出せたのはフォースの事だけだ」

影「フォースの事を聞けたなら全然収穫ありじゃん。 で、何を聞き出せたの?」

「どうやらフォースのシルヴァは一昨日悠桜にちょっと用事があるから1週間程帰らないと伝えたきりどこかへ行ってしまったらしい」

影「シルヴァが一昨日からどっか行った……? それ本当なの?」

「あぁ。 これに関しては本当だ。 改めて確認をしたが一昨日から幻想のシルヴァによる攻撃を受けたという報告はどこにも入っていない。 まぁなんで1週間も留守にしてるのかの理由までは分からんが」

影「だとすると今セカンドの悠桜は1人って事でしょ? だったら今こそ悠桜を討ち取るチャンスなんじゃないの?」

「俺もそう思ったんだが……リーダーからの伝言があってな」

影「リーダーから伝言? 何?」

「あぁ、それが『ディストピア・クインテットのセカンド、時雨悠桜には手を出すな』……らしい」

影「悠桜に……手を出すな?」


「よう。 魔王軍特別執権官セカンドの時雨悠桜」

洞窟の中へ入ると既に倒れた手下のような奴と悠桜がいる。

悠桜「……随分と今日は客人が多いのね。 さっきの糸目君がまた来たのかと思ったわ。 それで、わざわざ私の所に来て何の用?」

「あれ? あいつ俺来るって言わなかったのか……?」

悠桜「……もしかしてあの糸目君が言ってた後でここに来るリーダーって……君の事?」

「あーそうそう! あいつリーダーが来るとしか言ってかなかったのか」

悠桜「リーダーって誰?って聞いてもコードネームがどうのこうのって言ってたわ」

「あー……」

そういや一応誰かに聞かれてるかもしれないからコードネームで名乗れって言ってたな。

悠桜「で、なんの用かしら?『セーブ・ザ・ライフ』のリーダーさん」

「何で急にそんなよそよそしいんだよ。 てかそれ恥ずかしいからあんまそれで呼ばないでくれよ。 まぁいいや、俺帰らんといけないから早速本題に入るぞ。 はいコレ」

悠桜「……? 何これ? 巻物?」

「ヨルマから頼まれて持ってきたんだよ。 ほら、早く開けてみろ」

俺が催促すると悠桜は不安げにあける。

悠桜「…………ッッッ!!! ……これ、本当にヨルマさんからなの?」

「あぁ、俺もヨルマの提案に賛成だ。 そもそもお前がディストピア・クインテットにいる必要だってないだろ」

悠桜「……」

俺がそう言うと悠桜は少し黙り込み、少し笑いながら、

悠桜「……ごめんなさい、少し考える時間貰ってもいいかしら?」

「……別に構わないよ。 なんか訳があるんだろ? それなら待つさ」

悠桜「悪いわね。 ヨルマさんにもよろしく伝えておいて」

「了解。 じゃ俺帰らんといけないからお暇するぜ」

悠桜「えぇ、また」

「おう、またな」

悠桜に別れを告げて俺は急いで洞窟から出る。

悠桜「ヨルマさん……私は…………」


リオ「うめぇ〜! 何この食べ物!」

紅莉「それは焼きそばという食べ物ですね」

カイ「これも甘くて美味しいよ! これなんて名前だっけ?」

紅莉「そちらはチョコバナナというものですね。 元々あったバナナという果物にチョコと言われるお菓子をコーティングしたものです」

アリス「姫乃姫乃! あれは何をしてるの? 銃で商品を打ってるんだけど!」

紅莉「あちらは射的という自分が欲しい商品を玩具の銃で撃ち落とすゲームです」

リオ「何それ!? めっちゃ面白そうじゃん! やりに行こうぜ!」

ゲン「あ、おい! 1人で先走るんじゃない!」

俺達は気晴らしの為現在夕影城へと続く桜並木通りにて開催されていたお祭りの屋台で買い食いをしていた。

どれもこれもイェワンタウンやフィーニスタウンでは見たことの無いものばかりでテンションは上がりまくりだ。

というか……これはなんの祭りなのだろうか?

リオ「なぁ紅莉、これってなんの祭りなんだ? なんかお祝い事でもあったのか?」

紅莉「おや、知らないんですか? 今日から丁度1週間後は先代勇者御一行が魔王を討ち取り世界に平和が訪れた日、そのお祭りに向け今はその予備祭をしているんです」

アリス「あー! そういえば丁度1週間後だったね」

ゲン「確かにそうだったな。 だが1週間前から予備祭って一体なんでだ? イェワンもフィーニスも祭りは当日しかやらないが……」

ゲンがそう聞くと紅莉は少し悩み込み、

紅莉「私も詳しい事は知らないのですが確か数年前に『前夜祭として1週間ほど前から屋台やイベントを開催し街を盛り上げたい!』という要望があって前夜祭が実施されたとかそんな理由だったはずです」

カイ「へぇ〜そんな理由だったんだ。 なんでそんな要望出たんだろう? 儲かるから?」

紅莉「まぁきっとそうでしょうね。 今となっては大人気イベントで他国からもわざわざ来る人がいると聞きますし」

リオ「そんな人気なんだ。 まぁでも確かに分かる気するわ。 雰囲気がいいもんな」

満開の桜に囲まれ風情のある夕影城を見ながらこんな美味しいもん食えるとかそりゃ旅行客多いよな。

と、そんな事を話していると射的屋へとたどり着く。

「へいらっしゃい! 兄ちゃん達射的で遊んでっかい?」

リオ「おう! 頼むよおっちゃん!」

カイ「私もやる!」

アリス「私も!」

「3人だね? 今準備するからちょっと待っと……」

『魔王軍襲来! 魔王軍襲来! 夕影守護隊員と腕の立つ冒険者は至急夕影守護隊本部まで! 繰り返します……』

ゲン「なっ、なんだ!?」

射的をやろうとした所突如として爆音でアナウンスが流れる。

リオ「魔王軍襲来って……え? 襲撃受けてるってこと?」

紅莉「恐らくそういう事かと……私もこんなアナウンスは聞いたの初めてなので……」

マジかよ……定期的に魔王軍から攻撃受けてるとは聞いてたけどこのタイミングでか?

「に、兄ちゃん達その格好……冒険者なんだろ?」

リオ「え? まぁ、はい」

「なら夕影守護隊の本部まで行って協力してやってくれ! 今は愉蘭様率いる魔王軍特別執権官殲滅隊もいないから人手が不足してるはずなんだ、頼むよ!」

ゲン「勿論だ。 それに俺らは夕影守護隊員だしな。 よし、みんな早く行くぞ!」

アリス「だね! 丁度静羅将軍の話を聞いて腕慣らしして起きたいと思ってたところだったし!」

リオ「まぁ呼ばれてんだから行くしかねぇよな……」

不安が積もる中、俺らは夕影守護隊本部へと急いで向かった。


リオ「おぉ……結構な人いるな……」

アリス「だね。 みんな強そうだよ」

夕影守護隊本部の中に入ると見渡す限り強そうな人達が沢山集まっていた。

すると受付のお姉さんらしき人が人だかりの中へと入り、話を初める。

「冒険者の皆さん、お集まり頂きありがとうございます。 早速本題へと移るのですがどうやら今回は魔王軍特別執権官はおらず、その手下達と思われる魔物の軍勢が押し寄せてきているそうです」

魔王軍特別執権官がいない……?

リオ「……ん? つまり普通の魔物達が攻めてきただけって事か?」

「はい、そういう事になりますね」

それを聞くと周りの冒険者達もどうやら安心したのか、

「はっ、なんだよ! じゃあ楽な討伐じゃないか!」

「だな! 特別執権官がいないならみんなで適当に雑魚を倒しとけば終わるぜ!」

「あぁ! こんな簡単な討伐で済むなんて俺らついてるな!」

おいやめろ。 あからさまなフラグを立てるんじゃないモブ共。

「そ、それが……どうやら今回襲撃してきている魔物にはどうやら『アイシクルドラゴン』がいるらしくてですね……今はまだ来てないのですが徐々にこちらへ向かってきているようです」

ほ〜ら見た事か。

「な、なんだって!?」

「ドラゴンはドラゴンでもアイシクルドラゴンだって!?」

「ど、どうしたものか……」

アイシクルドラゴンと言うワードが上がるとこの場にいる冒険者全員が顔をひきつる。

リオ「なぁ、アイシクルドラゴンって何なんだ? 普通のドラゴンと何が違うの?」

ゲン「お前知らないのか? アイシクルドラゴンは厚い氷の鎧の様なものを身にまとった氷魔法を使うドラゴンで、アイシクルドラゴンが通った道は全て雪原へとなると言われる大型モンスターだぞ」

リオ「げ、そんな化け物なのか!?」

アリス「アイシクルドラゴンは普段大人しくて人前には現れないはずなんだけど……何でなんだろう?」

カイ「魔王軍特別執権官の仕業なのかな……? でもどっちにしても相手はしなきゃいけないみたいだね……ってうわぁあ!?」

リオ「なっ、なんだ!?」

そんな話をしていると突然夕影守護隊本部が揺れ始める。

「ど、どうやら魔物達の軍勢がもう来たみたいです! もう時間がありません、皆さん迎え撃つ準備を! 準備が出来た人から魔物の軍勢が来ている東門と南門へ向かって下さい」

「よ、よし。 行くぞみんな!」

「回復魔法が使える人は来てくれ! 負傷者の手当を頼む!」

「前衛職は急げ! アイシクルドラゴンとやらが来る前に少しでも魔物の数を減らすぞ!」

そんな事を叫びながら他の冒険者達は夕影守護隊本部を出ていく。

紅莉「さて、私達も行きましょうか」

アリス「だね。 アイシクルドラゴンが来る前にあらかた魔物は倒しておかないとね」

リオ「よ、よし。 やってやるぜ……ん?」

ゲン「何だこの音? バイブ音?」

早速向かおうとした所どこからかバイブ音が鳴り響く。

カイ「なんかリオから聞こえてこない?」

リオ「え? あ、コレか?」

ポケットに手を突っ込むと影から貰った通信機が振動していた。

影『あっ、やっと繋がったね。 みんな無事?』

通信機の赤いボタンを押すと影の声が聞こえてくる。

アリス「全然大丈夫だよ。 なんだったらコレから襲撃をしてきた魔物を討伐してくるところだよ」

影『良かった……連絡間に合ったみたいだね。 悪いんだけど私と静羅はまだそっちに向かえそうにないからみんなには1番魔物が沢山来てる南門に向かって欲しいんだ。 きっと君達の力を必要としてるはずだから』

リオ「わ、わかった。 影と静羅将軍はいつ来れそうなんだ?」

影『ん〜……ごめん分からない。 もしかしたら行けないかもしれないかな。 あ、でも本当にピンチになったら助っ人が行くかもしれないから覚えといて』

助っ人……?

影『じゃ、頼んだよ皆』

リオ「あ、ちょっと助っ人って誰の事!?」

慌てて聞いたが影からの返事は無い。

切るの早すぎだろ。

ゲン「と、とにかく向かおう。 もう軍勢は来てるだろうし」

アリス「だね。 急ごう!」

疑問は募るばかりだが俺らはとりあえず影に言われた通り急いで南門へ向かう事にした。


「喰らえ! アイシクル!」

「スプラッシュアロー!」

「ギェァァァッッッ!!!!!」

南門へ辿り着くと既に戦闘は始まっており、ゴブリンやスライム、コボルトといったモンスターが大量に押し寄せてきていた。

更に……

「くっ……なんなんだこのモンスター! 攻撃していくら倒してもまた立ち上がってくるぞ!」

「それになんか様子がおかしいぞ!」

既に倒されたモンスター達が何故か再び立ち上がり襲いかかっていた。

というかアレは……

ゲン「く、黒いオーラ……!」

俺らがイェワンタウンを出た所で見たあの禍々しい黒いオーラを纏ったスライムと同じオーラを放っていた。

アリス「アレって凶暴化だよね……ソルベの仕業だったんじゃないの!?」

紅莉「いえ、確か奴はフィーニス王を襲った人達に腐敗の呪いをかけたと言ってただけで黒いオーラは別にソルベの仕業と言いきった訳ではありませんし……」

カイ「となると別に凶暴化の犯人がいるってことになるよね。 やっぱり魔王が……?」

ん〜……魔王がいる限り魔物が勝手に魔王を信仰して悪さをするとはヨルマ言ってたけど黒いオーラと凶暴化については何も言ってなかったしな……

ゲン「とにかく考えるのは後だ! 俺らも加勢するぞ!」

リオ「お、おう!」

ゲンはそういうと杖を取りだし戦っている人達の所へと走っていく。

アリス「じゃあ私とカイはゲンと反対の左側に加勢してくるから姫乃はゲンのサポートを!」

紅莉「わかりました」

リオ「ん? 俺は?」

アリス「リオは……任せる!」

リオ「はぁ? ちょ、おい!」

みんなは俺を置いて既に戦っている人達の加勢に行く。

任せるって……どこ行きゃいいんだよ。

そもそも俺雑魚敵でも対抗出来るようなスキル大して持ってないし。

使えるとすれば前覚えたアサシンぐらいだろうか?

でもアレは裏取りをする必要があるしこんな大勢のモンスターいるんじゃ役に立たない。

それに1番激戦を繰り広げてる正面は……

「くっ……『バースト・アイシクル』!」

「しつこい魔物共が……! 『スプラッシュアロー・レイン』」

「魔物が起き上がる前に畳かけろ! 『ストームスライサー』!」

「おう! 『サンダーボルテージ』!」

「「グァァァァッッッ!!!!!」」

各々がそんな強そうな魔法を魔物に向かって唱えると、水の矢の雨や雷玉や風の刃が降り注ぎ魔物達は悲惨な断末魔を上げバタバタと倒れていく。

うん、あんな集団の中に俺が入って行っても邪魔になるだけだろう。

となるとどうしたものか……左のカイとアリスの所? いや、そしたらアリスがあらかた片付けちゃって俺が「何にもしてない勇者!」とか言われるのがオチだ。

じゃあ右のゲンと紅莉の所? ん〜……ゲンと紅莉が協力して魔法&剣術で辺り一体の魔物なんて塵と返している気がする。

じゃあ俺はどうすりゃいいんだよ!

「ちょっと、そこの君!」

リオ「はっ、はい!」

頭を抱え悩みこんでいると左腕を怪我した青年が俺に話しかけてくる。

「君冒険者だろう? 僕は見ての通り怪我をしてしまってね……悪いんだが俺がいた所のサポートに行ってやってくれないか?」

リオ「あ……おう! 勿論だとも! なんてったって俺は勇者だからな。 ふっ……見る目あるじゃないか」

「あ、あぁ……ありがとう……というか勇者様だったのか! それなら尚更安心だ。 それじゃ、正面を頼むよ」

リオ「えっ……」

青年は安心した笑みを浮かべると回復魔法をかけてもらう為に医療所へと歩いていく。

おいおい……嘘だろ? よりにもよって正面……俺の仲間誰もいないやんけ!

リオ「あ…どーも……助けに来ました〜……」

恐る恐る近寄ると魔法使いらしき男の人と弓使いらしき人が近寄ってくる。

「あ、助っ人か? 助かるよ。 今さっき1人負傷してしまって人手が足りなくてね」

「役職はなんだ? 俺達はみんな魔法職ばかりでね、前衛とかだと助かるんだが……」

リオ「え、えと……勇者なんですけど役職は冒険者で……」

「ゆ、勇者だって!? 本当なのか!?」

「でも役職は冒険者って……どういう事だ?」

リオ「それは聞かないで貰えると助かります」

「そ、そうか。 きっと君にも色々と理由があるんだろうな。 でも勇者様という事実は変わらない訳だし深く詮索はしないでおくよ」

「って、お前らもう魔物達がすぐそこまで来てるぞ! 勇者様も力を貸してください!」

リオ「お、おう!」

ここまで来ちゃ仕方がない。 やれるだけやってやるぜ!

リオ「さぁモンスター共、お前らなんてこの俺がまとめて片付けて……」

「アァン??? ナンダテメェ? ザコハスッコンデロ!」

リオ「あっ、はいすみません……」

「ちょ、ちょい! 勇者様どこ行くんですか!?」

はっ! いつもの癖で逃げてしまっていた!

リオ「モンスター共……あまり俺を舐めるなよ! 『バースト・アイシクル』!」

「グァァァァ…ァァ……ン?」

「……ん? なんだ、この氷塊。 これがバースト・アイシクルなのか?」

本来はどデカい氷柱が出てきて攻撃出来るのだが、俺が唱るとちょっとした氷の塊しか出てこない。

嘘だろ……本気で唱えればできると思ったんだけどな……

「イマノウチダ! カコンデコロセ!」

リオ「うおっ! や、やべぇ!」

「ゆ、勇者様!」

油断をしていると魔物達に囲まれてしまう。

ど、どうしよう……魔法は使えねぇし攻撃手段も対してないぞ俺……何か…何か…………!

「『パワービルド』! 『フィールド』!」

リオ「! 力が!」

「こ、これは支援魔法! お前使えたのか!」

魔法使いの人が魔法を唱えると俺だけでなく周りの人達も筋力増強魔法がかけられる。

「これで前衛のみんなには筋力増強魔法がかかったはずだ!

魔物達もこのままではまずいと思ったのか武器を振り回して俺に襲いかかってくる。

まずいぞ……このままじゃ助けが来る前に俺がやられちまう。 どうにかしないと……

リオ「……ッッッ!!!!! そ、そうだ!」

そういや切り札があったのを忘れていた!

というかそれにさっきの魔法使いの人が使ってたスキルを合わせれば……

リオ「みんな! 悪いけど一旦俺に近づかないでくれ!」

「えっ? でも勇者様がそのままだと……」

リオ「考えがあるんだ。 ちょっと離れててくれ!」

「アァン??? カンガエガアルトカナメテンノカテメェ?」

リオ「片言過ぎて聞き取りずれぇんだよ! 『フィールド』!」

「勇者様何を……!? その魔法は支援魔法や攻撃魔法を範囲化したい時に使うスキルです! フィールドだけ唱えても何も起こらな……」

リオ「か〜ら〜の〜……『生命吸収ライフドレイン』!!!」

「「「「「グァァァァッッッ!!!!!」」」」」

「「「「「!?!?!?」」」」」

ヨルマから教わった生命吸収をフィールドとかいうスキルと合わせると、俺を囲んでいた魔物達が悲鳴をあげバタバタ倒れていく。

「ナ……ナニヲシヤガッタ…………!!!!!」

「ハ……ハハハハハ!!! すげぇぞコレ! 身体中にエネルギーが満ち溢れてるぜ!!!」

疲れもあってかずっとダルかった身体がビックリする程軽くなる。

恐らく大量の魔物達から魔力と体力を奪っからだろう。

「す…すげぇ!!! 勇者様があんな大量のモンスターを一気に片付けたぞ!」

「い、一体どうやって……!?」

リオ「今日の俺は絶好調だぜ! よし、みんな! 俺に続けぇぇぇぇ!!!」

「「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」」

「キ、キオツケロ! アノユウシャヘンナワザヲツカウゾ!」

「キョリヲトレ! ハナレロ!」

リオ「逃がさねぇよ! はっ!」

「ッッッ!!! ゆ、勇者様これは!?」

俺が氷と炎魔法を合わせてデカい水の球体を創ると他の冒険者が驚いた様子で俺を見る。

リオ「まぁ見とけって。 おら!」

水の球体を距離をとった魔物たちを囲うように投げつける。

「ナ、ナンダコレ……ミズノドーム? コンナノデトジコメテドウシヨウト……」

リオ「『バースト・アイシクル!』」

「!!! 水の球体が凍りついて……!」

「ッッッ!!!!! ト、トジコメラレタ!!!!!」

水の球体を凍りつかせて魔物達を中へ閉じ込めることに成功する。

リオ「よし、今だ! お前ら魔法を撃ちまくれ!」

「よ、よし来た! 『ストームスライサー』!」

「『サンダーボルテージ』!」

「ギェァァァッッッ!!!!!」

閉じ込められた魔物達は為す術なく魔法を喰らい倒れる。

リオ「ギャハハハハハハハ!!! 俺覚醒! じゃんじゃん行くぜぇぇぇぇぇ!!!!」

「よし、勇者様に続けぇぇぇ!!!」

「ヒッ、ヒィィィィィィ!!!」


カイ「受け取ってアリス!『クイックタイム』!」

アリス「ありがとうカイ、『バースト・インフェルノ』!」

「ウギャァァァァァッッッ!!!!!」

カイから支援魔法を受けて私は炎魔法を放つ。

「おぉぉぉ! あの人達すげぇぞ!」

「というかあの金髪の人……かの有名なフィーニスの王女様じゃないか?」

「言われてみれば確かに……新聞で見た写真とそっくりだ。 となるとまさか勇者様……!?」

周りにいた冒険者達がどうやら私の存在に気が付き始めたようだ。

カイ「いくら倒してもキリがないね……一体いつまで戦えばいいんだろ……ってうわぁぁあ!?」

アリス「!」

「なっ、なんだこの地響きは!」

カイが愚痴気味に呟いていると突如地響きが起こる。

「おい下だ! 地面からなにか来るぞ!」

冒険者の1人がそう声をあげると、地面から巨大なゴーレムのようなモンスターが出てくる。

「キサマラがジンギを持ったユウシャだな?」

アリス「!」

神器のことを知ってる……それにコイツからは黒いオーラが出ていない。

となるとこいつが他のモンスターを凶暴化させてる……? それともディストピア・クインテットの手下だろうか?

「俺のモクテキはジンギを回収する事。 大人しくジンギを渡せ」

カイ「ふん、誰がお前みたいなやつに渡すか! ね、アリス」

アリス「勿論。 欲しいなら力ずくで来なよ」

「あまりチョウシにのるなヨ……『グランドクラッシャー』!」

カイ「あわわわ! 地面が割れて!」

「みんな気をつけろ! 割れた地面に落ちたらそのまま飲み込まれて死ぬぞ!」

巨大なゴーレムが地面へ手をつけ魔法を唱えると、地面が割れ私たちを襲う。

アリス「皆さん! 土魔法を使える方は足場を作ってあげて下さい! 使えない人は魔法を唱えるまで援護を!」

「わ、わかった! 『グランドウォール』!」

「俺達は援護するぞ!」

私の声を聞きみんなは早速行動に移し、土の床と壁を作り攻撃を防ぐ。

「コザカシイ奴らめ……『グランド……』」

カイ「『炸裂拳』!」

再び魔法を唱えようとしていたゴーレムの顔面にカイが強烈な一撃をお見舞し、ゴーレムは顔から煙を立てて倒れる。

「ぐ……キサマ……ナゼ前衛職じゃないのに格闘スキルヲ……」

カイ「まぁ色々とあってね、お前みたいなモンスターなんか軽々倒せるくらいの実力はつけたつもりだよ」

「す、すげぇ……あの子格闘家のスキルを!」

「あの人はフィーニス王女の護衛かなにかなのかな?」

やっぱりカイは凄いなぁ……ソルベ戦の時にはあまり戦ってる所見なかったけど本当にプリーストとは思えないほど高威力な攻撃でびっくりさせられる。

「オアソビはオワリだ……全力でキサマラを土にカエシテヤル」

ゴーレムは立ち上がると力み始め、手に魔力が集中していく。

「おいおい、あれ不味くないか? とんでもなさそうなのが来そうだぞ……!」

カイ「アリス! 今のうちに攻撃を!」

アリス「っ! わかった!」

カイが私にそう呼びかけ、支援魔法をかけてくれる。

「フン、イマサラ反撃をしようがムダなこ……と…………!?」

アリス「陽光の剣よ……私に邪悪を祓う光と炎の力を…………!」

「な……なんだ…ソノ剣のカガヤキは……!」

「剣が光り輝いている……! あれは一体……」

鞘から剣を抜くと、ソルベと戦った時に使った『陽光神聖剣』と同様に剣が眩い輝きを放つ。

「それがジンギのチカラか……だがもう遅い! クラエ! 『バースト……』」

アリス「『サンライト・スラッシュ』!」

魔法を唱えるよりも早く私は剣を振るうと、音もなくゴーレムは一刀両断され崩れ落ちる。

「す、すげぇぇぇ!!! あのでかいゴーレムが一振で真っ二つに!!!」

「アレって神器じゃ……! やっぱりあの人はフィーニスの勇者様!」

「新聞に載ってた通りだったんだ! アリス王女は神器を使いこなしているんだ!」

「アリス王女様! 今のは一体!?」

アリス「み、みんな落ち着いて下さい……」

私の技を見て驚いた冒険者達が、私を囲みしつもんをしてくる。

カイ「いやぁ〜凄いよアリス! あのゴーレムを一撃なんて!」

アリス「そ、そうかな?」

カイもそうニコニコしながら褒めてくれる。

というか初めて陽光の剣を使ったけど問題なく使えてよかった。

鞘から抜いた時点で剣が光っていたし、なにか神器自体に特殊能力があるのかな?

「あ! また魔物達が!」

そういい指を指す方向を見てみるとまた大勢の魔物達が押し寄せてきていた。

アリス「よし……皆さん! 私が先導して道を切り開きます! 私について来てください!」

「わかりました! よし、勇者様に続けみんな!」

「「「「「「おおぉぉぉ!!!!」」」」」」

カイ「す、凄い……アリスが喋るだけでみんなの士気が上がってる……!」


ゲン「『バースト・サンダーボルテージ』!」

紅莉「『辻斬り』! からの『帝王烈覇斬』!」

紅莉と息を合わせて向かい来る魔物の軍勢を薙ぎ払う。

「す、凄いぞあの二人! 凄腕の冒険者か!?」

ゲン「行くぞ紅莉、『バースト・インフェルノ』」

紅莉「はい! 『不知火烈斬』!」

俺の放った炎魔法を紅莉が剣にまといながら斬りつける。

「なんなんだあの2人……息ピッタリ過ぎないか!?」

「それにあれは合わせ技……お互いが信頼してないとあんなの出来ないぞ……」

ゲン「ふっ……共に戦うのは数年ぶりだと言うのに相変わらず頼もしいな紅莉。 剣の腕の鈍ってないみたいだ」

紅莉「アリス様の身勝手な行動に付き合わされてしょっちゅうモンスターを怒らせて戦闘になってたからね。 それにお姉ちゃんの訓練に手伝わされてたから」

ゲン「なるほどな。 どおりで強くなってるわけだ」

俺と紅莉は結構昔からの間柄だ。

まだアリスが今より小さかった頃、俺の腕を見込んでかフィーニス王が俺にアリスの世話を頼んでくれていた。

小さい頃のアリスはとにかくやんちゃで、城に籠っているのが嫌いで目を離せばすぐに外へ出かけていた。

そのお守りを俺は任されたのだがそこで知り合ったのがアリスの専属メイドである姫乃紅莉だ。

紅莉「やっぱりゲンに敬語使われるのは気持ち悪いわ。 昔からの付き合いだし今更敬語だとなんかムズムズする」

ゲン「仲良くしてるとあのバカがうるさいからな。 悪いな」

紅莉「バカって…リオの事? う〜ん……確かに色々言ってきそうだね」

ゲン「アイツ女子の前だとカッコつけ始めるからな。 って、そんな事はどうでも良くてだな。

紅莉、お前俺達に着いてきた本当の理由はなんだ?」

紅莉「んぇ? な、何急に? 言ったでしょ、フィーニス王に頼まれたって……」

ゲン「お前は嘘をつく時必ず腕を組むんだ」

紅莉「!?」

船の中で紅莉が俺達に同行するということを聞いた時から思っていた。

フィーニス王におもてなしをしろとは頼まれたと思うが、同行すれとは言われていないはずだ。

そう思う理由は明確で、フィーニス王が「姫乃紅莉はアリスが帰ってくるまで姉の姫乃真碧と同じくフィーニス親衛隊に配属し街を守ってもらう」と言っていたからだ。

ゲン「言えない理由なのか? それなら無理して教えてくれなくても別に良いんだが……」

紅莉「……まぁゲンになら言ってもいいか」

すると紅莉はいつになく真剣な表情で、

紅莉「まず私とお姉ちゃんは5年前夕影に来てたアリス様とフィーニス王に拾われたって話はしたよね?」

ゲン「そういやそんな話してたな……確か家出してた最中だったんだよな?」

紅莉「そう。 行くあてもなくさまよってた所をアリス様が見かねて拾ってくれたの」

ゲン「言ってたなそんな事。 それが何か関係あるのか?」

紅莉「……実は私とお姉ちゃん孤児だったの。 お母さんは私を産んだ後に、お父さんは私が8歳の時に病気で亡くなったの。 勿論そんな歳でお金を稼ぐ術もないし私達は孤児院での生活を余儀なくされた。 でもその孤児院は…………」

ゲン「……?」

紅莉はそこまで言いかけると言葉が詰まったように突然黙り込む。

「みんな構えろ! またモンスターの軍勢が来たぞ!」

そんな声が聞こえ見てみると、さっきと同じ位の魔物の軍勢が押し寄せてきていた。

ゲン「おい紅莉、話は後だ! 今は魔物達を……」

紅莉「私達の里親……ディストピア・クインテットだったの」

ゲン「………………は?」



To Be Continued→5章:25話

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