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〜間章:冒険者の証明書〜 17話:魔王の真実と夕影守護隊

〜間章:冒険者の証明書〜



17話:魔王の真実と夕影守護隊



魔王城の結界を破る方法。 それは結界を維持している者を全て倒すか3神器を全て揃えるしかないそうだ。

前者は無理として神器に関してはもうここに2つある。 そして真碧の言うことが正しければ最後の1個はどうやらセキエイタウンにあるとの事だ。

それを聞いた俺は早速意気込みセキエイタウンへ……

リオ「どうもありがとうございました〜! またのお越しをお待ちしております!」

姫乃「いいですね。 様になってますよ」

リオ「次は部屋の清掃か……って、違ぁぁぁぁぁう!」

姫乃「なんですか急に大声出して」

俺は付けていたエプロンを外し床になげつけ不満をあらわにする。

リオ「いや、完全にセキエイタウンに行く流れだったじゃん! なんで俺フィーニス城の執事なんてやってんだよ!」

姫乃「なんでって言われても……セキエイタウンまで行く資金がないって言ってたじゃないですか」

そう。 セキエイタウンへ行こうと意気込んだは言いものの、どうやらセキエイタウンへ行くにはかなりのお金がかかるらしくお金のない俺らはお金を稼ぐ為に働いているのだが、

リオ「なんで俺だけ城の執事なんだよ……ゲンは『俺は他の場所でお金を稼いでくるよ』とか言ってさっさと出て行っちゃうし、カイとアリスは『女子だけの秘密だからリオはついてきちゃダメ!』って言ってどっか行ったし……」

姫乃「まぁまぁいいじゃないですか。 リオ様はこっちの方が向いてますよ。 現に料理に洗濯、掃除と完璧じゃないですか」

リオ「いやそれはスキルのおかげだから……」

無駄に覚えていた料理スキルや掃除スキルがまさかこんな所で活躍するとは思わなかった。

姫乃「私は料理スキルを習得してないからよく分からないですが凄い便利そうですね。 初日から厨房入って料理を提供できるレベルとは驚きましたよ」

リオ「まぁな。 このスキルのおかげで自炊には困らないしそれでいて味は良いわで満足してるよ」

姫乃「料理スキルや掃除スキルなんて貴重なスキルポイントを消費してまで取りたがる人いないもので知りませんでしたよ。 私も少し欲しくなりました」

リオ「……スキルポイントってなんだ?」

また知らない単語が出てきたので姫乃に質問すると、姫乃は一体何を言っているんだという顔で、

姫乃「スキルポイントはスキルポイントです。 色々なスキルを習得する為に必要なポイントですよ。 レベルが上がったり特殊な敵を倒したりした時等に貰えるやつですよ。 何当たり前の事聞いてるんですか」

リオ「え? いやいや……え?」

ちょっと待て。 なんで俺は固定スキルみたいなみんな知ってて当たり前みたいな事を知らないの?

「新入りく〜ん! こっちの清掃頼むよ!」

リオ「あ、はい! 今行きます!」

疑問は募るばかりだがとりあえず今は一先ず忘れて仕事に集中する事にした。


リオ「つ、疲れた……」

姫乃「お疲れ様ですリオ様。 初日とは思えない位上出来でしたよ」

頼まれた仕事をそつなくこなしていると気がつけばもう日が沈み夜を迎えていた。

リオ「正直旅をしてきた時よりも疲れたんだけど……他の仕事はないの?」

姫乃「他ですか……他でしたら真碧の部隊へ助っ人として入って街へ侵入しようとする魔物を倒すとかですかね」

リオ「戦いたくないんで大丈夫です」

俺が姫乃の提案に怖気ずいていると城の入口が開かれ誰かが入ってくる。

リオ「お、ゲンじゃん! それに…えっと……」

ルドルフ「ルドルフですよリオ様。 先日宿屋でお会いした者です」

ゲンの隣を歩いているルドルフにそう言われ俺は思い出す。

リオ「一体どこに行ってたんだ? 俺行先聞いてないんだけど」

ゲン「あぁ、ルドルフと一緒に少し商売をしに行ってきてな。 それでお金を稼いできたんだ」

ルドルフ「私は一応商人ですからね。 ゲンが魔法を駆使して作った魔道具を売ってお金を稼いできたのですよ」

リオ「魔道具か。 そういえばお前魔道具なんて作れたな。 それでお金を稼いできてたのか」

昔魔法を使おうと思ったのに才能が全くなくて全然魔法を発動出来なかった時にゲンに魔法の詰めた魔道具を作ってもらってモンスター倒してたな

ゲン「で、お前の方はどうだ? 順調か?」

リオ「初日から料理、洗濯、掃除、接客とやらされてマジで疲れた」

ゲン「それはお前の愚痴じゃないか……でも給料は弾むんだろ?」

姫乃「えぇ。 リオ様が担当した仕事は全部上手く行きましたしお客さんからも好評でしたからね。 『イケメン執事』って喜んでたお客さんもいましたし通常の2倍の給料は貰えると思います」

リオ「ちょっと待って。 イケメン執事とか言ってくれた子いるの? え、めっちゃ嬉しいんだけど。 てか俺初日でそこまで褒められるとか凄くね?」

姫乃「はいはい凄い凄い。 ほら、フィーニス国王の所へ仕事終了の報告に行きますよ」

リオ「いででで! ちょ、おい耳引っ張るな! 痛いって!」

嬉しいことを聞きテンション高ぶる俺は紅莉に適当にあしらわれ国王の元へと引っ張られていった。


アリス「うん、大丈夫だよ。 明日行ってこようと思ってさ」

フィーニス国王「そうか……まぁアリスが決めたのなら何も言わん。 だがくれぐれも気をつけて……ん? 紅莉か。 仕事の連絡かな?」

紅莉と共にフィーニス国王の元に来ると、そこにはカイと出かけたはずのアリスがいた。

姫乃「本日の仕事全て終了致しました。 問題等も一切ございませんでした」

フィーニス国王「おぉ、ご苦労だったな紅莉。 リオ君もご苦労様」

リオ「いやぁ本当に疲れましたよ。 正直もう懲り懲りッスよ」

フィーニス国王「はっはっは! そうかいそうかい。 だがリオ君の活躍は今日一日で沢山聞いたよ。 初日なのにも関わらずそつなく執事としての仕事を完遂する君をおかんって呼んでる人もいたくらいらしいからね」

リオ「お、おかん……もっとカッコイイあだ名なかったのか……?」

愚痴気味に俺がそう呟いているとフィーニス国王はそうだ!と閃いた顔で俺を見つめ、

フィーニス国王「リオ君は執事の仕事が嫌そうだし別の仕事を頼まれてはくれないかな? 丁度いま別の仕事を思いついてね」

リオ「別の仕事か…まぁ俺に出来るものならやりますよ。 で、仕事内容は?」

フィーニス国王「助かるよリオ君。 じゃあ明日の朝1番、お金を渡すからヨルマ君の所へ行って頼んだ物資をアリスと共に買ってきて欲しいんだ」

アリス「えっ、私も?」

フィーニス国王「1人じゃ何かと不便だろうからな。 手伝ってやってくれアリス」

アリス「まぁ別にいいけどさ」

フィーニス国王「それに2人きりの方が話しやすいだろ?」

アリス「ま、まぁそうだけど……とりあえず分かったよ」

リオ「?」

アリスはそう言うと『じゃあ今日は早く寝ないと……』とブツブツ呟きながら部屋を出ていく。

ヨルマ……昨日の件といい色々と聞きたいことがあったし丁度良かったな。

フィーニス国王「リオ君、アリスは昔から自由気ままな性格で色々と大変だと思うが人一倍優しい子なんだよ。 迷惑もかけると思うがアリスをよろしく頼むよ」

リオ「え? は、はい。 なんで急にそんなかしこまってそんな事を……?」

というか迷惑をかけるのは多分俺の方だと思います。


翌日の早朝。

フィーニス国王からお金と買ってくる物のメモ用紙を受け取り、俺はヨルマの店へとアリスと向かっていた。

城を出る前にカイは『え?2人でお出かけ……? ちょっとアリス! 一体どういうこと!?』と、ゲンは『一国の王女と2人きりで買い物とか住民に知れたらただ事じゃ済まないから穏便に頼むぞ!』とか色々言ってたが長くなりそうなので隙をついて城を出てきた今日この頃。

アリス「よかったの? ゲンとカイにちゃんと説明してこなくて。 特にカイ。 きっと誤解してると思うよ」

リオ「まぁ大丈夫でしょ。 ゲンは分かってたみたいだしゲンが説明してくれるよ」

アリス「はぁ…そうじゃなくて……はぁ〜」

アリスは深々とため息を吐くと俺を指さし、

アリス「君はもう少し人に興味関心を持った方がいいと思うよ」

リオ「別に興味を持ってないわけじゃ……カイとゲンとは昔から一緒にいるから興味関心を持てって言われてもちょっと困るって言うか…」

アリス「ふっ。」

リオ「!?」

俺が言い訳をしているとアリスは突如鼻で笑いヨルマの店へと1人で走っていく。

……俺何か悪い事でもしたのか?

心当たりがないと言えば嘘になるがだからといってそんなアリスに説教される程の悪事を働いた記憶もない。

強いて言うならゲンに豆乳飲みたいから買ってきてくれと言われて豆乳の中身を牛乳に差し替えて渡したら『美味い』と言ってたのをつい最近までバカにしてたの位だが、

アリス「リオ早く! 俯いてトボトボ歩いてたら転んじゃうよ!」

リオ「お、おう。 今行く!」

アリスに急かされ俺はアリスの元へと走っていった。


ヨルマ「いらっしゃいませ! 勇者の剣に選ばれウキウキしている王女様!」

アリス「毎度言ってるけど勝手に人の心の内を読むのはやめてって」

ヨルマ「貴殿とは長い付き合いだから能力を使わなくても何を考えてるか分かるのだがな」

店の扉を開けるとそこには俺達が来るのをわかっていたかのようにヨルマが佇んでいた。

リオ「よぅ。 相変わらずだなヨルマ。 今日はフィーニス国王におつかいを頼まれてさ、このメモに書いてあるものを頼むよ」

ヨルマ「まいどあり! 只今準備するので少々お待ちを!」

ヨルマは俺からメモを受け取るとそこに書いてある商品を次々に袋詰めしていく。

……というかヨルマは昨日の夜俺の夢に出てきてたけど本人は知ってんのか?

俺が勘違いしてるだけであれは俺の妄想だったとか……?

ヨルマ「あれは間違いなく我の分身だぞ。 そう心配するな」

リオ「うぉっ! 急に目の前に出てくるなよ。 ……というか考えてる事なんでも分かるの便利過ぎないか? ちょっとそれ俺にも教えてくれよ」

相手の考えてる事が分かるようになれば相手の弱みを握れて……

ヨルマ「このスキルは私利私欲の為に行使するとペナルティとして寿命や生気を吸い取られるからな。 それでも良いのなら教えてやらんでもないぞ」

リオ「いらない……」

アリス「リオあんた……」

アリスに呆れた目で見つめられる中、商品の袋詰めが終わったヨルマが袋をアリスに手渡しする。

するとヨルマは俺へと向き直り、

ヨルマ「さて、へっぽこ勇者よ。 我に話があるんだろう?」

リオ「え? ……あぁ! そうだった! お前夢の中で色々と気になる事言ってたのに時間だとか言って教えてくれなかったろ! それ教えてくれ」

アリス「夢の中……?」

アリスがなんの事か分からず首をかしげる。

リオ「昨日ヨルマが色々スキルについて教えてくれたって言ったろ? 実はあれ寝てる時夢の中にヨルマが出てきて説明してくれたんだよ」

アリス「……? 何を言ってるのかよく分からないけどヨルマだしね。 とりあえず分かったよ」

ヨルマ「はて、何を言っていたか……あれか? 我が100年前の勇者一行だという」

リオ「それ! あと悪魔になった理由ってやつ!」

ヨルマ「ふむ……あまり自分語りは好きじゃないんだがな。 まぁいいだろう。 我は100年前に魔王を討伐、封印までおいやった勇者一行の『賢者』でな。 当時賞金首のかかってた魔王をボコボコにしてやったのも我だ」

リオ「賢者……? 初めて聞いたな」

アリス「賢者は知力が高く色々なスキルを取れる賢い人じゃないとなれない最上級職業だね」

ヨルマ「その通りだ。 して魔王の首をとって賞金をもらおうと思ったのだが……勇者が話を聞いた所どうやら魔王曰く悪事を働いているのは勝手に自分に忠誠を誓ってる下っ端共らしくてな。 魔王本人は何もしていなかったのだ。 しかし世間的には魔王のせいでこんな事になっていると思われてしまっているからじゃあ討伐ではなく封印をして今の住民が亡くなった頃くらいにまた封印を解いてやろうと言う話になってだな」

ん? 下っ端が悪事を働いていて魔王は何もしていない?

リオ「じゃ、じゃあ魔王は別に悪い事はしてなくてただ下っ端のやった悪事が魔王のせいにされてただけってこと?」

ヨルマ「そういう事になるな」

アリス「う、嘘でしょ……じゃあ今復活した魔王って……」

ヨルマ「きっと世代の変わり目だから封印が解けたのだろうな」

なんだそれ。

じゃあ魔王悪くないなら魔王討伐ってする必要なくないか?

ヨルマ「いや、そんなこともないぞ小僧。 魔王がいる限り信仰する手下が無限に出てくるからな。 いずれは倒さんとダメだという事がこの100年の封印期間でわかった」

アリス「そうなの? 私も正直もう魔王って悪い人じゃ無さそうだから倒さなくてもいいんじゃないかなって思っちゃってたんだけど」

ヨルマ「そう思うのも無理は無い。 だが奴を封印し早100年。 魔王が封印されていた間は魔物は一切人間に危害を加えず凶暴化し悪事を働く奴らなど出現しなかった。 つまりだ、魔王は何かしらのスキルや能力を持っていて魔物達を凶暴化させてしまうのだ」

確かにそれなら辻褄が合う……それに封印してから今の今まで生き続けてるヨルマが言うのだから間違いはないのだろう

だけど……

リオ「いいのか? 魔王は何も悪いことしてないのかもしれないのに倒しちゃって」

ヨルマ「当たり前だろう。 魔王は勇者に敗れ華々しく散っていくのが運命。 ヤツもそれを望んでいるのではないか?」

そんなもんなのかなぁ……

リオ「じゃあどっちにしろ魔王は倒さないとダメってことか」

アリス「だね。 よし、じゃあ買う物も買ったしそろそろ……」

リオ「おいアリスちょっと待ってくれ! 俺まだなんでヨルマが悪魔になったのか聞いてな…」

ヨルマ「おっと、少し待て双方よ。 実はいい商売話があってだな、少し聞いていかないか?」

アリスが店を出ようとし、それを俺が引き止める中ヨルマがいつも以上に笑顔を浮かべそんな話を……

リオ「お前の商売話とか嫌な予感しかしないんだけど。 どうせろくでもない条件とかあるんだろ?」

アリス「私も嫌な予感するけど……まぁ話くらいなら……」

ヨルマ「なぁにそう心配するな。 貴殿らにとって損は無い話だ……へっぽこ勇者よ。 貴様はスキル自由自在を持っているが今のままではそのスキルを9割ほど活かせられない……何故だかわかるか?」

リオ「えっ? 何故って言われても……」

スキルを覚えてる量か? それとも魔法が苦手な所だろうか?

ヨルマ「ふむ、惜しいな。 正解は魔力の低さだ」

リオ「……まだ考えてる途中だったんですが」

ヨルマ「貴様は今のままだと魔力が低くてせっかく覚えた沢山のスキルを魔力が切れて使えなくなるのだ」

こいつ無視しやがったぞ。

どうせ当てられなかったから別にいいけどさ…

リオ「でもそんなのどうしようもないじゃんか。 レベル上げて基礎ステータスをあげるしか方法が……」

俺がそう弱音を吐くと、ヨルマはそのセリフを待ってました! と言わんばかりに立ち上がり、

ヨルマ「そんな貴様に朗報だ! そんな魔力低すぎな貴様に相手から魔力や体力を奪う『悪魔のスキル』を伝授してやろう!」

アリス・リオ「「悪魔のスキル!?」」

悪魔のスキルという俺の琴線に触れるフレーズに俺は嬉々として……

ヨルマ「悪魔のスキルなど到底覚えられないレアスキルだぞ? どうだ? この商談受けるか?」

リオ「受けます。」

アリス「ちょ、リオ!? ちゃんと考えたの!?」

俺が即答するとヨルマは声高らかに笑い、

ヨルマ「ハハハハハ! やはり貴様は期待通りのお客様だ! さぁ、我の手に触れるといい」

リオ「おう、触れるだけでいいのか?」

そう言って差し出してきたヨルマ手に俺は触れると……

リオ「なんか…身体が軽く……あと力も抜け……」

アリス「ちょ、リオ!? なんかどんどんほそくなってってるんだけど!? ちょっとヨルマ! ストップストップ!」

ヨルマ「ワハハハハ! へっぽこ勇者がしおれて更にへっぽこになったな! ハハハハハ!」

ヨルマの手を取った俺は体力や魔力を搾り取られ立つ気力すらなくその場に倒れ込む。

リオ「な…なにを……し…た……?」

ヨルマ「コレが悪魔族のインキュバスの特殊スキル、『生気吸収(ライフドレイン)』だ。 触れた相手から体力や魔力、生気…いわば寿命をも吸い取ることが出来るスキルで他者へも与え分けることが出来る優れスキルだ」

リオ「なる…ほ……ど……なんか…眠く……」

ヨルマの説明を聞いた俺はなんだか眠くなってきたので身を任せるように眠りに……

アリス「よ、ヨルマこれ大丈夫なの!? なんか死んじゃいそうなんだけど!?」

ヨルマ「おっと、どうやら吸収量が多すぎて寿命をあらかた吸い取ってしまったようだな。 今吸収した分を返すから寝かせるんじゃないぞ? 寝たら二度とこの世には戻って来れな……」

アリス「りりりりり、リオッッッ!!! 起きて起きて!!! このままだと死んじゃうって! ほら、ヨルマ早く!」

アリスの焦る声が聞こえる中意識が遠のき始めるとヨルマに触れられ身体の調子が元に戻る。

リオ「はっ!?!? 」

アリス「良かったリオ、戻ってきたんだね」

リオ「あ、あぁ……綺麗な川の向こうに俺の仲間達が見えたよ……」

ヨルマ「お前のパーティメンバーは全員存命だろう。 不謹慎な事を言うでない。 ともかくどうだ? スキルを使えるようになったか?」

リオ「え? あぁ試してみるか」

ヨルマ「じゃあ我の手を掴むがいい」

ヨルマに言われるがまま手を掴み生命吸収を試してみる。

すると……

リオ「……おぉ、なんか身体の内側に何かが入ってくる変な感覚がするぞ!」

ヨルマ「どうやら習得出来たようだな。 これで貴様も悪魔の世界へ足を踏み入れたな!」

アリス「……え? ちょっと待ってリオ。 今どうやってスキルを覚えたの?」

スキルを習得して喜んでいるとアリスが驚いた様子でそう聞いてくる。

リオ「ん? 普通にヨルマの真似ただけだけど」

アリス「ま、真似!? スキルポイントはどうしたの?」

リオ「スキルポイント? 何なんだそれ? 紅莉も言ってたけど」

ヨルマ「む? この事も伝えていなかったか? 良いだろう教えてやる」

俺とアリスが頭にハテナを浮かべているとヨルマがそう言って説明を始める。

ヨルマ「まず自由自在は先代勇者の固有スキルであるとは説明したな?」

リオ「おう。 それは聞いたぞ」

ヨルマ「『自由自在』やそこの王女の持っている『太陽の加護』のような固有スキルとは別にある特別なスキルの事を巷では『オリジナルスキル』と言われているらしい。 そして自由自在の効果は様々なスキルを使える代わりに威力が2段階下がると言ったが強みは他にもあって、スキルを覚えるのに本来必要なスキルポイントが不要というものだ」

なるほど……普通であればそのスキルポイントってやつが必要ってことなのかな?

アリス「という事はリオは自由自在の効果でスキルを覚えるのにスキルポイントが要らないってこと?」

ヨルマ「そうだな。 スキルポイントをあまり理解していないへっぽこ勇者の為に説明してやると、スキルポイントというのはスキルを教わったり敵を倒したりした時に得られるものだ。 本来であればこれを貯めて好きなスキルを覚えられるというわけだな」

アリス「普通はみんなそうだよ。 リオが特殊なだけで」

リオ「じゃあスキル覚えるのにスキルポイントが必要ない俺はじゃんじゃんスキル覚えていった方がお得ってわけか」

ヨルマ「うむ。 そもそも自由自在の強みはその手数の多さだからな」

なるほど……じゃあカイやゲンからも便利そうなスキルを教えてもらうかな。

リオ「いや〜色々教えて貰って悪いなヨルマ。 俺知らない事ばっかだから助かったよ」

ヨルマ「なぁに気にするでない。 我は自分の利益になることしかしない主義だから礼を言われる筋合いは無い。 にしても貴様らはどうやら次セキエイタウンに行くようだな」

アリス「うん。紅莉と真碧が言うにはどうやら3神器の最後の1つが夕影にあるらしいからね」

ヨルマ「ふむ……なるほど。 我の見た未来が正しければ貴様らは奴らに会うようだな」

リオ「ん? 奴ら?」

ヨルマが意味深な事を呟くとヨルマはポケットから謎のマークのようなものが書かれた紙を取り出し俺に突きつけ、

ヨルマ「へっぽこ勇者よ、これを貴様に渡しておく」

リオ「え? 何これ? 」

ヨルマ「これは我の証明書のような物だ。 良いか? 絶対に無くすんじゃないぞ。 然るべき時が来たらコレを見せてやるのだ」

リオ「然るべき時? 一体何の話だ?」

ヨルマ「なぁにいずれ分かる。 それと夕影へ行くならステータスカードを忘れるでないぞ。 確か今セキエイタウンに入るには必須のはずだ」

アリス「ステータスカード……? 何それ? 知ってるリオ?」

リオ「全然。 何なんだそれ?」

ヨルマ「貴殿らは知らない事が多すぎやしないか? はぁ…仕方がない、説明して……ふむ、やろうと思ったがどうやらその必要は無いようだ」

アリス「え? 教えてくれないの?」

ヨルマ「ともかく今すぐ城へ戻るのが吉と出た。 そうすればいずれ分かるであろう」

ヨルマはそう言うと俺らに早く帰るよう促してくる。

リオ「とりあえず俺らは1回城に帰った方がいいって事なんだな?」

ヨルマ「うむ。 貴様らは大事なことを知らぬようだからな、1度帰ることをおすすめする。 まぁこれは我の助言だからどうするかは貴様らが決めるといい」

アリス「ヨルマの助言って当たるじゃん……分かったよ。 じゃあリオ、おつかいも終わったしひとまず帰ろっか」

リオ「おっけー。 じゃあヨルマまたな」

ヨルマ「うむ! またのお越しをお待ちしております!」

俺達はヨルマの助言に従い城へ帰ることにした。


フィーニス国王「おぉ帰ってきたか。 ご苦労2人とも」

カイ「あ、2人ともおかえり!」

ゲン「おかえり。 思ってたよりは早かったな」

城へ戻り王室へ着くとフィーニス国王だけでなくゲンとカイも俺達を待っていた。

アリス「ただいま。 はいお父様、これ頼まれてたやつ」

フィーニス国王「おぉ、助かるよ」

アリスはヨルマから買ったものをフィーニス国王に手渡す。

リオ「ただま〜。 皆揃ってどうしたんだ?」

カイ「私達はフィーニス国王に呼ばれてここに来たんだよ」

ゲン「あぁ、話があるって言われてな」

リオ「話?」

フィーニス国王「そうだ。 主らがセキエイタウンへ行くと聞いて準備をしていてな」

俺がゲンとカイにここにいる理由を聞いているとフィーニス国王が話割って入ってくる。

フィーニス国王「以前にも話したかもしれないがセキエイタウンは最近起きている人や魔物が凶暴化する事件に細心の注意を払っている為以前のように自由に入国が出来ないのだ」

あー、なんかそんなこと言ってたような言ってないような……

フィーニス国王「そこでだ。 これを持っていくといいリオ君」

リオ「……? 何だこれ?」

フィーニス国王が謎の紙を渡してきたので俺はとりあえず受け取る。

赤い紐で縛られていて開けられないけど……何に使うんだこれ?

ゲン「! まさかコレって……」

フィーニス国王「あぁ。 それは私直筆の紹介状だ。 それを夕影へ入国する時に見せれば通ることが出来るだろう」

アリス「私もいるし大丈夫!」

ゲン「色々とすみませんね……本当にありがとうございます」

フィーニス国王「なぁに気にするな。 これぐらい容易い御用だからな」

入国審査が厳しいとか言っていたがこれがあれば簡単に通れるようになるって訳か……ありがたいな。

リオ「じゃあもう行く準備は整ったか?」

ゲン「いや、だからお金が無いんだよ……」

カイ「そうそう。 夕影に行くには海を渡らないといけないから船に乗る必要があるんだよ」

アリス「そうだね。 確か今船に乗るには1人5万円くらい必要だったかな」

リオ「ご、ごまッッ!?」

ゲン「ちなみに今の手持ちは全員の稼ぎ合わせて10万な」

マジかよ……そんなに高いのか。

正直こんなにかかると思っていなかったからアシスタントも数日で終わるかと思ってたのに……

う〜ん……早く出発したいのになぁ。 何か方法はないのか?

フィーニス国王「……なぁお主ら。 ちょっと気になっていたんだが魔王軍のソルベを倒したということを『夕影守護隊トワイライトプロテクターズ』に報告をしたか?」

リオ「トワイ……なんだって?」

俺が手っ取り早くお金を稼ぐ方法を模索してるとフィーニス国王を聞き慣れない名前を口にする。

ゲン「トワイライトプロテクターズ……聞いた事あるかカイ?」

カイ「いや、ないね。 初めて聞いたよ」

フィーニス国王「知らないのか? という事は『ステータスカード』も受けとっておらんのか?」

アリス「ヨルマもそんなこと言ってたね。 お父様、そのトワイライト何とかってやつは一体何なの?」

フィーニス国王「アリスも知らないとは…… 今時冒険者であれば誰でも知っていると思ってたのだが……まぁ知らないのなら教えよう」

フィーニス国王はそう言うと胸元から小さいカードのようなものを取り出す。

フィーニス国王「まず『夕影守護隊』というのは数年前から夕影から広まった治安維持のための協会。 言ってしまえば冒険者協会のようなものだ。 つい1年前にこのフィーニスタウンにも夕影守護隊が開設してな、今では街の警備や周辺の凶暴化した魔物の退治等をしてくれているなくてはならない存在だ」

アリス「確かに言われてみれば私も旅してた時にそんな事をしてた集団をみたな……」

リオ「俺はずっと家にいたので知らないです」

ゲン「誰もお前の事は聞いてないぞリオ」

フィーニス国王「それでだ。 セキエイタウンは我が国よりも技術が進歩していてな、夕影守護隊ではこのカードのようなものを登録してくれた冒険者全員に配布しているのだよ」

どこにでもあるような小さなカードにしか見えないけど……なにか特別なものなのかな?

カイ「そのカードは何なんですか?」

フィーニス国王「これはその人の身分証明書みたいなものだ。 これを人目見れば覚えているスキルや役職、倒した敵にスキルポイントの量、更に夕影守護隊本部へ連絡もできるという便利な魔道具だ。 これは1年前のモデルだが最近ではデジタル式とかいうのも出たと聞いたな」

リオ「何それすごい!?」

フィーニス国王「魔王を倒す為や魔物から国を守る為に旅をする冒険者は皆もうこの夕影守護隊に入るのが当たり前となっておるのだよ。 君達もてっきり入ってるものかと思ったんだがね」

ゲン「知りませんでした……イェワンタウンにはそんなもの無かったので」

カイ「そうだね。 イェワンタウンにも出来て欲しいね」

フィーニス国王「さて、ここで君達に朗報がある」

夕影守護隊の説明を終えるとフィーニス国王はニヤリと笑みを浮かべてそう告げる。

アリス「朗報?」

フィーニス国王「そうだ。 実は君達が倒した魔王軍特別執権官のソルベだがどうやら夕影守護隊で高額な懸賞金がかけられていたようだ。 身柄を拘束したとなればその懸賞金を受け取る事が……」

ゲン「!!! そ、そうか! 夕影守護隊に入隊してソルベを捕らえたことを言えばその懸賞金ですぐにセキエイタウンに向かえるぞ!」

リオ・カイ・アリス「「「!!!」」」

フィーニス国王「そういう事だ」

リオ「じゃあもう働く必要は無いってことか! そんなのもう行くしかないだろ!」

フィーニス国王「ちょうど今くらいから空いているはずだ。 城を出た大通りを真っ直ぐ行った所にあるから今から行ってきてはどうだ?」

リオ「行ってきます」

ゲン「あ、おい! ちょっと待て! 俺達を置いてくな!」

俺は懸賞金を手に入れるべく夕影守護隊本部へ向かい走る。

カイ「行っちゃった……急いで追わないと!」

アリス「そうだね。 リオは方向音痴だから真っ直ぐ行くだけでもきっと迷うよ。 お父様、ちょっと行ってくるね!」

フィーニス国王「あぁ、気をつけていくんだぞ」

アリス「はい!」

そうして俺達勇者一行は『夕影守護隊トワイライトプロテクターズ』の本部を目指し走っていった。




To Be Continued→5章:18話

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