〜4章: 勇者一行は不思議な運命へと誘われる〜 16話:神器、陽光の剣
16話:神器、陽光の剣
アリス「私の使ったスキルが……先代フィーニスタウン勇者の固有スキル……!?」
フィーニス国王「そうだ。 まさかこんなにも早くその力に目覚めるとは……流石は私の娘と言ったところか! はっはっはっ!」
アリスが戸惑う中、フィーニス国王は誇らしげに胸を張り、笑い始める。
ゲン「まぁ流石は先代勇者サンディアス家の血を引く者と言ったところか」
アリス「ちょ、ちょっとお父様! 詳しく説明してよ! 私そんなの知らずに使ってたんだけど!」
フィーニス国王「あれ? 話してなかったかな? 我々サンディアス家は魔王討伐を果たした勇者一行の一人、フィーニスの勇者の子孫なんだよ。 その勇者の固有スキル、まぁ他の人には無いから特殊スキルと言うべきか。 そのスキルは『太陽の加護』という。 その名の通り太陽の力を借りる事が出来てな、アリスの事だから光魔法と炎魔法も合わせて強力な技でも使えたんじゃないかな?」
アリス「確かに使ったような記憶があるようなないような……?」
こいつあれだけ散々サンライト・スラッシュ!とか叫んでた癖にもう忘れたのか
てゆうかこういう覚醒イベントは勇者である俺のイベントじゃないのか、
フィーニス国王「それにしてもアリスが太陽の加護を受け継いでくれるとは……いよいよアレを話す時が来たのかもしれないな」
アレ……?
アリス「アレ? 何アレって」
フィーニス国王「ちょうどいい機会だ。 リオ君にアリス。 それに仲間のゲン君とカイ君も着いてきなさい」
フィーニス国王は突如真面目な顔つきになると席から立ち俺達にちょいちょいと手招きをし、玉座の方へと歩いていく。
フィーニス国王「真碧! 真碧いるか?」
フィーニス国王が真碧の名を呼ぶと部屋の扉がノックされ、真碧が入ってくる。
真碧「お呼びですか国王様」
フィーニス国王「みんなにアレを見せようと思ってな。 通路を開けてくれ」
真碧「承知致しました」
すると真碧は腰にかけてあった剣を引き抜き、玉座へと歩いていく。
アリス「真碧……? 一体何を?」
真碧は玉座の前へと来るとその後ろの地面に剣を突き立て、そのまま剣を地面へと刺す。
すると何度見たか分からないがまた壁が動き始め、通路が出現する。
リオ「……一体フィーニス城にはどれだけの隠し部屋があるんだ?」
姫乃「まだまだありますよ。 元はと言えばフィーニス城は昔魔王軍と戦うために作られた要塞でしたしね」
フィーニス国王「さぁ行くとしよう。 ついてきなさい」
アレがなんなのか気になる俺達は、先導するフィーニス国王の後ろへとついて行った。
フィーニス国王「着いたな。 ここだよ」
アリス「ここは……?」
リオ「ん? あの剣はなんだ?」
フィーニス国王について行き肌寒い通路をしばらく歩くと、目の前には室内なのに太陽の光が射す、神々しい台座に剣が刺さっていた。
まるで陽光射す地下迷宮の最下層のような景色だ。
フィーニス国王「これは我が王家に伝わる秘宝……そしてリオ君の持っている星のペンダントと同じ3神器の『陽光の剣』だ」
アリス・カイ・ゲン「さ、3神器!?」
突如衝撃の事実を告げられ、アリス達が驚きの声を上げる
フィーニス国王「そうだ。 フィーニスの勇者が持っていたとされる剣だ」
真碧「この陽光の剣は3神器なので公にしてしまうと魔王軍に狙われると思い、フィーニス国王がこのように城の奥深くに隠したのですよ」
リオ「へぇ〜、確かに星のペンダントもしつこく狙ってきてるらしいし隠しとくのは正解かもね」
そんなこと言いながらみんながフィーニス国王の話を真面目に聞いてる中、俺は突き刺さっている剣をつんつんして遊んでいた。
ていうか勇者の剣が突き刺さってるとか漫画とかゲームみたいでテンション上がるんだけど!
リオ「これ抜けねぇのかな…ふんっ! ふぅんっ! ……ビクともしねぇな」
ゲン「神器なんて俺たちに見せてよかったんですか? フィーニスの秘宝ってくらいですし見せてもらっただけでも凄いし、ましてや触ったり貰ったりするのは流石に気が引けるので大丈夫ですからね?」
フィーニス国王「まぁ普通であれば神器を勝手にいじくったり盗もうとするものは全員処しているからな。 昔にもそういう盗人がいて裁いたもんだ」
リオ「ッッッ!!!」
そんな物騒な会話を聞き、俺は慌てて剣の刺さっている台座から何事も無かったように立ち去る。
カイ「……? どうしたのリオ? すごい汗かいてるけど」
リオ「な、なんでもない! ちょ、ちょっと暑くてさ!」
アリス「ここの気温10度くらいだけど……」
フィーニス国王「さて、それじゃあリオ君」
リオ「はい!?」
急に名前を呼ばれ俺は内心ビクリとしながら返事をすると、俺は陽光の剣が刺さっている台座へ案内される。
フィーニス国王「さぁ、この剣を抜いてくれ」
リオ「……はい?」
真碧「神器は勇者にしか使えない代物……それなら魔王討伐を目指し旅をしている勇者様に使って貰った方がいいに決まっています。 さぁ勇者リオ様、その剣を手にし魔王を打ち倒してください」
リオ「はい?」
フィーニス国王「この『陽光の剣』は選ばれし者しかこの台座から抜く事が出来なくてね、だから私はずっとこの神器を使える勇者の出現を待っていた……そして勇者であるリオ君がこの街を救い、そして魔王討伐のたびをしている。 これは運命だよリオ君」
ゲン「なるほど……確かに神器は勇者の血を引く者しか使えない。 だがリオは先代勇者の血を引く勇者だから使えるもんな」
なんか話が勝手に進んでるが本当に待って欲しい。
フィーニス国王「さぁリオ君! スパッと抜いてくれたまえ! 選ばれし者なら簡単に抜けるはずだ!」
さっき抜こうとして全く抜けなかったんですが
そう思いながらも言い出せるような雰囲気では無い為、渋々突き刺さっている剣へと手をかける。
アリス「お〜! 何だか本当に勇者みたい!」
普段であれば嬉しいのだが今はその尊敬の眼差しがとても痛い
いや、まだ分からない。 さっきは単純に力が足りなかったのかもしれない。
今度は全力で……!
カイ「……? どうしたのリオ? 顔色悪いけど?」
リオ「い、いやぁ……ちょっと色々あって……」
抜けない。 マジで全力で引き抜こうとしてるのにピクリとも動かない。
力に関しては俺が1番あるはずだから俺が抜けないなら誰にも抜けないはずだ。
リオ「なぁ王様。 この剣ずっと突き刺さってたから固まっちゃったとかないかな?」
フィーニス国王「そんな事ないとは思うが…どうしたんだいリオ君? ……もしかして、」
リオ「はい。 そのもしかしてです」
フィーニス国王「……マジ?」
リオ「はい。 マジ」
そんな俺とフィーニス国王との会話を聞いて察したのか、真碧が困惑気味な表情を浮かべ、
真碧「……抜けないんですか?」
リオ「抜けません」
アリス・姫野「「えぇ!?」」
カイ「力が足りてないとかだったりはしない?」
リオ「絶対無い! マジでこれ抜けないようになってるって!」
フィーニス国王「おかしいな……勇者であれば簡単に抜けると聞いていたんだけど……」
俺がまた剣を何とか抜こうと必死になっていると、ゲンが何か気づいたように手を叩く。
フィーニス国王「どうしたゲン君? 何か原因が分かったのかい?」
ゲン「恐らく。 その陽光の剣ってフィーニスの勇者が持っていた神器じゃないですか。 だからフィーニス勇者の血を引くアリスなら引き抜けるんじゃないかなって」
アリス「え? 私?」
ゲン「あぁ。 そもそもリオはイェワンタウンの勇の血を引く勇者だ。 だがその陽光の剣はフィーニスタウンの勇者が持っていた剣だ。 だからリオは引き抜くことができないんじゃないか? そしてアリスはフィーニスタウンの勇者の血を引く1人……」
アリス「私が……?」
アリスが少し戸惑いながらフィーニス国王の方を見つめる。
するとフィーニス国王はアリスに優しくほほ笑みかけるように、
フィーニス国王「……アリス。 試してみなさい」
アリス「……分かりましたお父様」
意を決した様にアリスが剣の前へと来る。
リオ「どうぞ」
俺は剣の前からどき、すぐ横からアリスを見守る
アリス「ありがとリオ。 ……それじゃあ抜くよ!」
アリスが剣に手をかけた瞬間。 剣へと降り注がれていた太陽の光が剣へと集まる。
アリス「うぇえ!? な、何!?」
先程まで太陽の光が部屋を照らしていたが、その太陽の光が剣へと集まっていき辺りが暗くなり、アリスが手をかけている陽光の剣だけが眩く光っている。
そして、アリスはそのまま剣を上に引き抜くと……!
アリス「ぬ……抜けた!」
アリスは抜けた剣を上に掲げると、剣の光がこの部屋一帯を眩く照らす。
カイ「凄いカッコイイよアリス! 本に出てくる勇者みたい!」
アリス「そ、そう?」
少し照れた様子で掲げていた剣をしまう。
ゲン「まさか本当にアリスが勇者だったとは……俺としてはとても感慨深いものがあるな」
フィーニス国王「私もだゲン君。 娘が勇者として剣に選ばれる日が来るなんて……うぅ…」
アリス「ちょっとお父様何泣いてるの!? ほら、ここ暗くなっちゃったし戻ろ!」
感極まって泣いているフィーニス国王を連れてアリス達は来た通路を戻っていく。
リオ「……なぁ、なんかアリスの方が勇者っぽくないか? 俺あんな感じで神器や剣に選ばれたりみたいな王道イベント遭遇してないんだけど」
ゲン「なんだ? 剣が抜けなくて更には勇者ポジション取られそうだから拗ねてるのか? そんな事気にしなくてもお前は勇者らし…ゆ、勇者らし……い……?」
リオ「おい。 そこまで言っといて言葉に詰まるなよ! ……な、なんだよカイ! 無言で俺の頭撫でるな! お前らお世辞でもいいから褒めてくれよ!」
カイに哀れみの目を向けられ頭を撫でられながら俺達も来た通路を戻って行った。
フィーニス国王「ところでリオ君。 君達はこの後どうするつもりなんだい?」
リオ「この後か……」
先程の部屋に戻ってきた俺達はフィーニス国王にそう聞かれた。
この後……
リオ「魔王討伐の為に魔王の城に行こうと思ってたんだけど……俺は方向音痴だからどうやって行けばわかんねぇんだよな」
ゲン「お、お前嘘だろ……そこの窓から外見てみろよ」
リオ「?」
ゲンは俺の発言に驚いた様に反応するとそう言って窓の外を指さす。
一体何があるというのか。
リオ「……魔王城じゃん」
ゲンに言われた通り窓の外を見てみるとそこには禍々しいオーラを放ち佇む魔王の城があった。
フィーニス国王「ここは魔王の城に1番近い街のフィーニスタウンだからな。 当たり前のことだぞ?」
こんな近くにあるなんて知らなかったんですが。
……ん? 待てよ。 もうすぐそこに魔王城があるって事は今から行って倒しちゃえばもうこの危険な旅は終わるって事か!?
リオ「こんな近くにあるなら今から行って魔王なんてちゃちゃっと倒してきちまおうぜ! そしたら褒美も貰えてこんな危険な旅も終わりじゃんか!」
ゲン「お前正気か? それは流石に……」
リオ「大丈夫だって! ゲンにカイ。 そして陽光の剣をゲットしたアリスがいれば負ける事なんかねぇだろ!」
フィーニス国王「待つんだリオ君。 君は大事な事をひとつ知らないようだ」
リオ「大事な事?」
嬉々として魔王の城へと行こうとした俺をフィーニス国王が引き止める。
フィーニス国王「リオ君の言った通り攻め入る事が出来るならもう既に攻め入っているさ。 だが魔王城には強力な結界があって入る事が出来ないのだよ」
リオ「そ、そうなの? え、じゃあどうやっても入れないってこと?」
ゲン「いや、一応結界を破る方法があるんだがそこまで現実的じゃなくてだな……」
現実的じゃない……?
俺が首を傾げて悩んでいると、
フィーニス国王「結界を破る方法……それは決壊を維持している者を倒すかこの世のどこかにある3神器を全て集め結界破る。 この二択だ」
リオ「結界って誰かが維持しておくもんなのか? 1回貼っちゃえば継続的に残るもんじゃないの?」
カイ「基本的にはそうなんだけど城を守るような結界となると別でね…普通の結界は一時的に外部から身を守るという目的上制限時間が決まってるんだけど魔王城の結界は永続的に外部からの侵入を拒む為にはられてるから、複数人が結界の維持を任されているんだと思う」
リオ「結界の維持って……例えばどんな人が任されてるんだ……?」
アリス「そりゃあ昨日会った魔王軍の特別執権官とかの腕利きの人達だろうね」
大体予想はついてるが一応聞いてみると予想通りの返答が帰ってくる。
うん。 無理だ。
ソルベを倒せたのは結構まぐれに近い。なんだったら俺達だけだったら間違いなく全滅していた。
リオ「よし、諦めよ……」
フィーニス国王「だが3神器を集めるのなら……いけるかもしれんな」
俺が皆まで言い終わる前にフィーニス国王がそんな事を……
姫乃「確かに3神器のうち2つはここにある……そして残すはあと1つだけ。 3神器を見つけ結界を破る方法が1番現実的ですね」
カイ「姫乃さんの言う通りだね。 でも最後の神器がどこにあるのかって情報とかあるの…?」
カイがみんなが思っているであろう疑問を言うと、シンと辺りが静まりかえる。
フィーニス国王「3神器はリオ君の持っている『星のペンダント』、アリスの持っている『陽光の剣』、そしてどんな攻撃も防ぐと言われる『天聖の盾』の3つだと聞いている。 しかし天聖の盾がどこにあるのかと言うのは聞いた事がないな……」
アリス「お父様も知らないんだ……う〜ん一体どこにあるんだろう……」
フィーニス国王の言葉を聞き、再び皆が静まり返る。
真碧「……あの、ちょっと良いですか?」
フィーニス国王「どうした真碧? 何かあったか?」
静まり返った中、真碧が手を挙げ発言する。
真碧「私恐らくですけど天聖の盾の在処知っています」
「「「えっ!?!?」」」
フィーニス国王「な、なんだと!? 真碧! 今なんと言った!?」
真碧の突然の告白に一同は驚きの声を上げる。
真碧「ですから天聖の盾の在処を知っていると……紅莉も知っているはずです」
カイ「紅莉……?」
リオ「あぁ、紅莉ってのは姫乃の事だ」
姫乃「あ、しっかりと名乗っていませんでしたね。 私の名前は姫乃紅莉。 真碧は姉で私は妹です」
カイ「そうだったんだ! 確かに言われてみれば2人とも髪の長さこそ違うけど顔とかそっくり……」
カイが2人の顔を交互に見て1人で納得している中、真碧が話し始める。
真碧「天聖の盾は昔と変わっていなれければ私達の故郷、『夕影』にあると思います。 なので神器を入手するのであればセキエイタウンへ行くのがいいかと」
セキエイタウン……姫乃との会話で何回か聞いたな。
リオ「う〜ん…セキエイタウン以外に行くあてもないし、真碧の言う通りセキエイタウンに行くとするか?」
仲間の顔を見ながら俺がそう問いかけると、みんながこくりと頷く。
フィーニス国王「行先は決まったようだね」
リオ「おう! 次の目的地はセキエイタウンだ!」
手を上へ突き上げ俺はそう大声で意気込んだ
To Be Continued→間章17話




