おれが奴隷になったワケ 2奴隷目
講義中に書きました。
講義中に投稿します、目の前に教授いてコワイ……((( ;゜Д゜)))
「じゃあまず~……わたしとえっちして?」
それが、彼女がおれに下した初めての命令だった。
「いや、無理でしょ。普通に」
中学で何一つとして恋愛を経験せずに生きてきたせいか、最強に童貞を拗らせていたおれはあろうことか身分もわきまえず断った。
今思えば、おれは選択を間違えたのだと思う。
× × ×
『……ざけんなよ、このアバズレが。気色わりぃんだよ、目の前でキメェことすんなクソが』
ひりひりとおれの手のひらは内出血したように痛んだ。
不良じみた女子生徒が一人、頬を押さえながらおれを睨んでいた。
過呼吸気味になった、おれの呼吸は狂気に満ちている。
その背後に、怯えるようにして彼女はいた。
しかし決して、彼女。篠宮 翠果のためではない。
あくまで、自分のため。捨てきれないでいた子どもみたいな正義の欠片を手放せず。
ーーーーーーーーーーおれは、手をあげた。あげてしまった。
まだ、分かっていなかった。暴力のもつ、その代償を。
いや、今思えば分かりたくなかったんだと思う。
分かっていながらも、受け入れたくはなかったのだ。
『あらた……くんは、悪くありません』
『いや、おれが悪い。退学にしてくれ、先生』
『待って!あらたは悪くないんです。わ、わたし……わたしが指示したんです……わたしが……悪いから』
彼女の青春を、奪ってまで庇わせた。庇わせてしまった。
おれの背負うべきその罪は、彼女の青春を狂わせた。
『なんであんなバカなこと言いやがったんだ!今すぐにでも取り消してこい。おれのやったことだ、おれにけじめをつけさせてくれ。先生にもそう証言しろ!』
『……ばか。ほんとばか。そんなことさせないし』
『ふざけんな、こんなことしてお前にどんな意味があるんだ。おちょくるのも大概しろ、お前を庇ったわけでも守ったわけでもない。ムカついたから手を出したんだあいつに』
『……うるさい』
『は?』
『うるさいうるさいうるさいっ!』
『お、おい……いきなり泣くなよ。落ち着けよ』
『わたし……あらたのこと庇ったし…………今日からあらたはわたしの奴隷だから』
ーーーーーーーーピピピピピピピピ。
鳴り響く電子音に、おれは目を覚ました。
久しぶりに、あのときのことを夢に見た。
「……悪い夢をみたな~」
まさに、夢だったらよかったのだが。
× × ×
「……おっと」
通学につかう駅構内。よそ見してた同校の女子にぶつかられた。とっさに気づいて、落としていった定期券を拾って渡した。
「あ、すいませーん……(ちょ、小牧いたんだけどヤバくなーい)」
「(ヤバ~、あいつ一年のとき女子殴ったんでしょー?)」
「(ほんとなんでまだ学校いんのって感じ)」
『(ほんとないよねー?)』
『(ねー)』
「……はぁ。ったく、聞こえてるっつうの」
おれは、学校に居場所がない。
学校という社会において、おれは大のつく犯罪者なのだ。
情状酌量の余地なし、執行猶予なんて当然ない。
実刑判決を受けた、懲役三年のクソやろうなのだ。
罪状は婦女暴行。
死刑にされてもおかしくなかった。
それでも。
「あ。あらたー、おは~……?もしかして、なんか機嫌悪い?」
「……はぁ。なんでもねぇよアホ」
「元気だしてよ~……なに急に、頭撫でるとか……や、やめて」
おれは、こいつに感謝している。
こいつがいなかったら、きっと今頃おれは……。
「早くいくぞ、学校」
「?……うん」
小首を傾げながら、今日もまた篠宮 翠果は端正なその顔立ちに濡羽色の艶やかな長髪を流麗に揺らした。
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