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ゲット

そんな俺の謝罪を聞いた彼女は小さな声で、




「……いったいなんですか………」




と聞いてくれた。


俺はそれを聞いて反射的に、




「ずっと好きだったんです!!」




と言ってしまった。


彼女はこちらをチラッと見たまま硬直した。





あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 謝った意味がない! 全く同じことをやってしまっている!!




「あ、いや、そうじゃなくて! あ、いや、好きなのは本当ですよ? お、俺は樫木律! 19歳です!」




と言った。




「お、俺、1年前ぐらいから、こ、このベンチで本を読んでるあなたに恋をしました!!」




と俺が言うが、彼女は硬直したまま動かない。




しまったぁぁぁ!!!! 結局同じこと言ってる!!!!




「えっと、あの…」




と、少し落ち着いて声をかけると、ようやく硬直がとけた彼女は小さな声で、




「な…なんの罰ゲームですか……悪質です」




と言った。


罰ゲーム? 一体なんのことだ?




「罰ゲーム? なにがですか??」




と俺が言うと彼女は下を向いて何かを言った。




「す、すいません! もう少し近づいても大丈夫ですか? 聞こえなくて…」




すると彼女は小さくうなずいた。


そして俺はついに、彼女との距離が1メートルほどのところまで近づいた。


近くで見るとなんて綺麗な髪の毛なんだ…。


そんなことを思って見惚れていると、




「…き、急にそんなことを言われても、私はあなたのことを知りもしません」


「そ、そうですね!」


「なんの罰ゲームでこんなことやってるんですか」




あぁ、そう言うことか!




「いえいえ、罰ゲームなんかじゃありません! 本当に俺はあなたを愛してます!!」




と言うと、彼女はチラッと俺の方を見て再び固まった。


またやってしまったぁぁぁ!


と俺は空を見上げ頭を抱えた。


すると彼女が、




「本当、なんなんですか…」


「は、晴れた夕方にこのベンチで本を読んでますよね? それが俺の仕事の帰り道からチラッと見えて、いつの間にか好きになってたんです」




と俺はチラッと見ていた、いつもの帰り道を指さした。


彼女は俺の指を指した方をチラッとみた。




「あ、あそこからここが丁度見えるんです! そ、それで、1年ほど、このベンチで本を読むあなたを見ていました!」




と俺が言うと、




「…1年……」




と彼女がボソッと言った。


やべぇぇぇぇ!! 完全ストーカー発言じゃん!!




「あ、いや! ストーカーとかそういうんじゃなく! 声をかけられても迷惑だろうと思って、ほんとうチラッとあそこから見て、俺は満足してたんですが…こ、この前コンビニで思いがけず近くで会ってしまったので、勢い余って声をかけてしまいました…」




と俺が言うと、彼女は再び下を向いて、




「なんで…」


「なんででしょうか? 気づいたら好きになってました!」


「そうじゃなくて…」


「あ、すいません! 今日は久しぶりに夕方に仕事が終わりだったので!」


「そうでもなくて……なんであのコンビニに…?」


「あ…そ、それはですね、丁度日曜日が休みの日があって、晴れてたのでもしかしたら本を読んでるかもしれないから、あそこから見えるかもしれないと思って…」


「思って…」


「ちょっとうちからは離れてるんですが、あの道を通るコンビニとスーパーに行こうとして、ここを見てみたんですがいなかったので、そのまま目的だったあのコンビニに向かった感じです…。すいません……」




と俺が言うと、しばらく間を開けて、




「そうですか…」




と彼女が言った。




「急に告白なんかしてしまってすいませんでした」


「い、いえ…」




あれ、これは嫌われてはいない感じかもしれない!




「あ、あの! 俺、樫木律って言います! 19歳です!」




と俺が言うと、




「…先ほど伺いました」


「そ、そうでしたね! あはは、あのお名前伺ってもよろしいですか??」


「西条…美緒です。18歳です」


「高校生ですか?」


「大学生です」


「じゃあ同じ年ですね!」


「そうですね」


「あの、俺1年前から好きなんです!」


「…そうですか」


「付き合ってください!」


「……私は今日初めてです。2回目ですけど……」


「そ、そうですよね!」




焦り過ぎた!!


1年ほど好きだったから、好きだーって気持ちが全面に出てしまう!




「しかも、あなたかっこいいと思いますよ」


「あぁ、そんなことも言われますねぇ」


「私のこと知らないのですか?」


「知ってますよ! 1年前から!!」


「そうじゃなくて…」


「西条美緒さん18歳!!!」


「……もういいです…。今日は帰ります……」


「あ、あの!」


「もうこのベンチは使いません……」




おわぁぁぁぁぁ!! それは困る! もう見ることすらかなわなくなる…!




「いや、それは!! あの、せ、せめて! 連絡先だけでも…!!」




と俺が言うと、少しの沈黙の後、




「…わかりました」




と、彼女はポケットからスマホを取り出した。


そして、自分の設定画面からメールアドレスを表示して見せてきた。




「あ、いや、えっとメールでもいいんですけどLIMEとか…」


「そう言えばありましたね。家族としか使わないので忘れてました」


「そ、そうなんですね」


「これどうしたらいいんですか」




と言うと彼女はLimeのアカウント画面を開きながら言った。




「あ、えっと、その友達検索ってところ開いてもらって、QRコード表示ってやってもらえれば」




というと彼女はスマホをそうしてQRコードを表示した。


それを俺は読込み、友達登録した。




「これで大丈夫です!」


「そうですか。では…」


「はい! 連絡しますね!」




そう言うと彼女は、スーッと歩いていった。








よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!

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