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【西条美緒視点】意を決する

クリスマスイブに会おうと樫木君から誘われた。


樫木君の家で料理をご馳走してくれると。


樫木君の家で…。


彼氏の家……。




どうしよう!!!!!!!!!


え、これは、そういうこと?!


え、でも料理をって言ってたし…。


私の家に呼ぶことは無理だし…。


え、でも私も樫木君ももう19だよ?


こ、これは、そういうことになるの?!?!




ちょっと待って!


クリスマスイブまでは数日しかないから、今更洋服をどうすることなんてできない。


そんな数日でこれまでゼロだったお洒落センスが向上するわけがない。


化粧だって無理だ。


で、でも、そ、そういうことなら…せめて下着はなんとかしなくちゃ!!



下着ぐらいなら買って着ればいいだけだし、それなりのものなら別にそこまでお洒落かどうかとかは関係ないだろう。



私は意を決して、リビングでまだ起きてるだろうお母さんのところに向かった。


リビングに入るとお母さんはソファーに座ってテレビを見ていたので、その脇ぐらいまで行って、




「お、お母さん…」


「どうしたの美緒?」




とお母さんはテレビを見たまま聞いてきた。




「あ、あの…申し訳ないんだけど、いつか必ず返すから少しお金を借りれないかな…」




そうなのだ、バイトもしていない私はいまだにお小遣い制。


大学生なんだし自分で稼がなきゃとは思うのだが、この顔で雇ってくれるところなんてないだろう…。


両親もわかっているからか、その点に関しては何も言わない。




しかし私がそう言うと、お母さんは驚愕の表情を浮かべてこちらを見た。




「え…あ、あなた、な、なにに巻き込まれたの…?」


「え、何も巻き込まれてなんてないけど…?」


「い、いくらなの……」


「1万円ぐらいかな…」




というと、沈黙してポカンとした顔になって、




「え? 1万円?」


「うん、多分それぐらいだと思うんだけど、ちょっと値段がわからないから…」


「え? 何か買うの?」


「うん……し、下着を……」


「え? 下着? 下着ならあるでしょ?」


「あるけど…そういうのじゃなくて……」




と私が言いにくそうにしていると、お母さんは見る見る驚いた顔に変わっていき、




「美緒、まさか、あなた彼氏でもいるの…?!」




とお母さんが聞くので私は下を向いたまま頷いた。


それを見たお母さんは、




「えーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」




と大きな声をあげた。


すると、あまりに大きなお母さんの声にびっくりしたのか、寝室で寝ていたであろうお父さんが急いで起きてきた。




「ど、どうした!」




と慌てた表情でリビングの入口に立った。


どうしよう、お父さんに言うつもりはなかった…と私が悩むと、お母さんが、




「な、なんでもないわ! あなたは寝てください!」


「なんでもないってことないだろ!」


「なんでもないって言ったらなんでもない! もしこれ以上言うなら離婚します!!!」


「え、な、り、離婚?!」


「だからなんでもないの! わかった?!」


「は、はい…」




そう言うとお父さんはトボトボとリビングを出ていった。


そしてお父さんは行ったかな? とお母さんがリビングの外を見に行き、リビングのドアを閉めた。




「み、美緒、ご、ごめんね…あまりにびっくりしちゃって…」


「う、うん…」


「そ、それで下着はなんで?」


「クリスマスイブの夜に料理を作ってご馳走してくれるって…彼の家で……」


「な、なるほどね。いつから付き合ってるの?」


「2カ月ほど前かな…」


「そうだったんだ…。大学の人?」


「ち、違う…。同じ年だけどもう働いてる……」


「そうなのねー。それで、美緒はその人のことどう思ってるの?」


「…唯一私のことを見てくれて認めてくれる人……」


「そっかー。そっかそっかー! どんな人なの? カッコいい?」


「一回大学を案内した時に…周りの子達が「芸能人?」って噂しちゃうぐらいには…」


「えー!! スーパーイケメン君じゃん!」


「で、でも、中身がかっこいいの!」


「そっかそっかー! そっかそっかそっかーー!! 美緒が…」




と言うお母さんの目には涙が浮かんでいる。




「お、お父さんにはまだ…」


「わかったわ! 離婚って言ってこの件には触れさせないようにするわ!」


「あ、ありがと…」


「でも、料理をご馳走になるだけなんでしょ?」


「そ、そうだと思うけど…一応……念のため……私も19歳だし……」


「そうよねー。でも美緒まだそれはダメよ? もっとちゃんと、その人があなたのことを大事にしてくれる人か見極めてからじゃないと!」


「彼ほど大事にしてくれる人はいないと思うけど……」


「まぁそうかもしれないけど、まだ付き合いたてだしね! だからまだダメよ?」


「…でも、どうなるかは……」


「わかった?」


「う、うん…」


「でも、下着を買うお金はあげるわ。身だしなみの1つだものね♪」




とお母さんはウインクしながら言った。




「い、いつか返すから…」


「いいのいいの! 折角美緒がそういうことを気にしようと思える相手に出会えたんだから!」


「あ、ありがと…」


「美緒、あんまり派手な色はやめなさいね?」


「う、うん…」


「あなた、実は隠れてスタイルすごいいいからね~。きっと可愛いのあるわよ」




そう言うとお母さんはカウンターに置いてある財布から1万円を出して、




「はい、美緒これ」


「ありがと」


「あーでも、今年のクリスマスイブは家族でご飯食べれないんだねー」


「そうなるね…」


「まぁでもこんなに嬉しいこと、ここ数年で初めてだし! お父さんには大学でなんかあるらしいとでも言っとくわ」


「ありがとう」


「もう本当、お母さん、最近あなたがちょくちょく外に出るから、何か事件にでも巻き込まれて借金でも負わされたのかと思ったわよーー!」


「そんな小説みたいな…」


「だってー! でも、よかったわ! 頑張ってね!」


「うん…」




私は部屋に戻り、後は何をしたらいいんだろうと思いネットで調べたりした。


正直、お母さんにはああ言ったけど、もし本当にそういうことになったら、私は拒まないと思う…。


そう思って私は気づいた。





私、樫木くんのことが好きなんだ。






そして次の日、私は大学の帰りに、下着屋さんに寄った。


勝手がわからないので、意を決して店員さんに話しかけサイズも図ってもらった


少し容姿に引かれつつも「Fカップ寄りのギリギリEカップって感じですね…。しかも細いから理想的ですよ」なんて言われたが、私は早くしてほしく話も途中で、言われたサイズのものの中から何となくでピンクのレース柄の上下セットの下着を選び購入した。

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