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萬咲と武兵

『桜火城下』




「ってことで、俺が危険な場所に行く時は護ってくれないか?」

「俺と雪那と紗綾を十分養えるくらいの給料を毎月きちんとくれるなら良いぞ」

「雪女の給料で十分養えられているだろうから、その都度の報酬で手を打ってくれ」

「っち。売れてないのか」

「まあ。ぼちぼち、な」

「仕方ねえな。俺は心優しいから引き受けてやるよ。つーか、俺は俺の食い扶持ぐらい稼いでるわ」

「おーおー。そりゃあ失礼」

「まったくだ」

「つーか、引き受けるのは単に雪女の傍に行ける正当な理由が欲しかっただけだろ」

「おまえもだろう」

「否定はしないな」

「はぁあ。何が悲しくてこんなおっさんと対抗してんだか」

「渋くてしなやかで面白くて町の人気者のおっさんだ。十分だろう」

「やだやだ。どうせ俺たちだけで燃え続けて、あいつを嫁さんにできないで死にそう」

「えらい弱気だな。紗綾ちゃんが家を出て行って、今は二人きりだろう」

「二人きりだからって何も変わらねえよ」

「ガキ」

「うっせうっせ。くそっ。どーしたらそーゆー雰囲気になるんだよ」

「そーゆー雰囲気も何もそもそも告白してないんだろうが」

「うっせ。他人のこと言えんのか?」

「ふ~ん」

「な、何だよ?」

「いやいやいや。あっそ。そうですかあ。じゃあ、俺が先に言っちゃおうかなー」

「っす、きにしたら良いだろうが。どうせ素っ気なく振られるだけだろうよ」

「はいはい。ではお言葉に甘えまして。好きにさせていただきますかね」

「あ」

「え、なーに?」

「べ、別に。好敵手として。慰めんのが面倒だから止めとけ。そーだ。じきしょーそーだ。あいつも戻って来たばっかだし。もーちょっと時間を置いた方が良いぞ」

「あー。あーそうだなー。今言ったって結果は分かり切っているしなー。そーしよーかー」

「そーしろ。そーしろ。あ。そーだ。めし奢れ。昼飯。報酬とは別な。めしは付けろよ」

「そうだな。俺の愛情手料理弁当を用意しといてやるよ」

「うげえ、よしてくれ」

「はっは」











(2021.7.28)




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