表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/31

文化祭準備①

 放課後、俺と景は夕日を背にして自宅に向かっていた。

「景のクラスは、文化祭なにやんの?」

「カフェをやるとか言ってた気がする」

 転がっている石を蹴りながら景が答えた。

「カフェかー、普通だな」

「あと、コスプレもするらしい」

「えっ?! 景もするの?!」

「あまり乗り気じゃなかったけど、皆に押されてやることになってしまったわ」

「そ、そうか。あんまり派手なのは駄目だぞ。あとスカートとか短すぎるのもだめ、肌の露出面積多いのもだめ、可愛すぎるのもだめ」

「そのシスコンぶりはちょっと気持ち悪いのだけど」

 妹の身を心配して言ったことをばっさり切られてしまった。

「兄さんは何やるの?」

「んー、うちのクラスはお化け屋敷だ」

「兄さんのほうが普通じゃない」

 とてつもなく興味のなさそうな表情でそんなことを言っている。

 夏も終わり今は9月中旬、まだ少し暑いが時折涼しい風が吹いて気持ちがいい。

「兄さんと一緒の文化祭は、最初で最後ね」

「そうだな」

 俺と景は2つ年が離れているから、当然同じ学校にいる期間は一年だけだ。

 でも、なぜ今そんなこと言ったんだ?

「もしかして景ちゃん、寂しいの?」

 ぷっ、と笑いながら、からかうように聞く。

 しかし、予想していた反応とは別の反応が返ってきた。

 俺はおそらく、今日の景の返事を、一生忘れないだろう。



 文化祭2週間前の朝。

「ね〜、なんで文化祭初日に仕事入れるの〜」

「うるさい、お前がやりたいって言ったんだろ」

「そうだけど〜、ほんとに文化祭とかぶるとは思ってなかったの〜」

 以前千代が、景が出演しているテレビドラマを見て、

「ねえお兄ちゃん、私もテレビ出てみたい」

 と、言っていたので、

「モデルの仕事続けてたらいつか来るよ」

 と、それとなく答えていたが、先日、ほんとにテレビCMのオファーが来た。

 千代には、もしかしたら文化祭とかと日にちかぶるかもよ?と言っておいたのだが、本人は、このチャンスを逃すわけにはいかない、と言い張り、出ることになったのだ。

 案の定、その打ち合わせが文化祭一日目に入っていた。

「まあ、二日間あるんだし、その次の日にはまた二日間体育祭があるだろ」

 ほっぺを膨らませて、リビングのテーブルに顎をのせている千代は、しばらく文句を言っていたのであった。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ