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積もる雪、大晦日

 大晦日。

 降り続ける雪は、街を白く染め、人々を凍えさせる。

 人肌恋しくなるこの季節、街でも学校でも、カップルが増えているような気がする。

 テレビでは芸能人の結婚報道、週刊誌にはスキャンダル。

 世間の目はどこにあるかわからない。

 しかし、人々は恋をするのである。

「やっぱりこたつさいこうだわ」

「だね~」

「う~~ん」

 俺たち兄妹は今日もこたつで過ごすのであった。

「まったく、恋愛なんてくだらない」

 俺はミカンを頬張りながら言った。

「お兄ちゃんは彼女ほしいとか思わないの?」

 千代は顎をこたつに置いて、スマホを見ながら聞く。

「おもわんな、そもそも俺にそんな時間はないし」

 最期の一粒を口に放り投げていった。

「ふ~ん」

 千代は変わらず、興味なさそうに言った。

「お兄ちゃんって、高校生って感じしないよね」

「おい、それはどういう意味だ」

「うーん、考え方が冷めてるというか、ひねくれてるというか」

「ふん、俺はそれでもいいもん!」

「う~~ん」

 もう昼過ぎだというのに、景は起きてきてずっとこたつで寝ている。

「景ちゃん?、いつまで寝るの?」

 俺は景の肩をゆすりながら声を掛けた。

「う~~ん」

「だめだこりゃ」

「お姉ちゃん、昨日まで仕事だったしね~」

 年末だというのに、30日まで高校生に働かせる芸能界は恐ろしい。

「でも、普段あれだけ忙しいから、こうしてゆっくりするのもなんだか落ち着かないな」

 俺は二個目のミカンをむきながら言った。

「そう? 私はこっちのほうが落ち着くな~」

 千代はスマホを置いて、テレビをつけた。

 年末は特番がやっているが、この時間帯は意外と見たいものがない。

 すると、広告で寿司のCMが流れた。

「そういえば昼ご飯まだだったよね?」

「うん、そうだな」

「・・・・おにいちゃ」

「いやだ」

「まだ何も言ってない!」

「言わなくてもわかるわ! どうせ寿司買ってこいだろ!」

「ぐぬう」

 千代は俺を睨みつけている。

「俺は今日、このこたつを一歩たりとも動かん! わかったか!」

「じゃあ、おひるごはんどうするの?」

 俺と千代の視線は自然と景に向く。

「ねえ、お姉ちゃん起きて?」

「う~~ん、おきてる」

「お姉ちゃん、おなかすいてない?」

「すいた~」

「だよねだよね! お寿司とか食べたいよね!」

「うん、食べたい」

 景はゆっくり体を起こし、半開きの目を開けた。

「どこにあるの?」

「ここにはないよ?」

 千代がそういうと、不機嫌そうな表情で俺を見た。

「おいおい、どうして俺を見るんだよ」

「べつに」

 冷たい表情で俺を見る景は、なんだか怖かった。

「兄さん、さっき働きたいって言ってたよね」

「働きたいとは言ってない! てかお前聞いてたのかよ!」

 千代はいつの間にか景の隣にくっついている。

「お兄ちゃん、私たちふだんがんばってるじゃない? 年末くらい買ってきてくれても?」

 大きな目をぱちぱちさせながら千代が言う。

「兄さん」

 とどめに景が俺を鋭い眼差しで見つめる。

「ああ!! わかったよ行けばいいんだろ!」

「やったね!」

 なんとなくこうなることは予想してたが。

 俺は厳重装備をして、カップルたちが身を寄せる街の中ひとり、寿司を買いに行くのであった。


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