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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
出会いと別れのダンジョン探索

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第99話 ダンジョンマスターと




俺たちの目の前に姿を現した女性は、自身をダンジョンマスターと名乗った。

ダンジョンマスター、このダンジョンの主ということか。


「ほんまに、ダンジョンマスターなんか?」

『ああ、本当にダンジョンマスターだ。

このダンジョンには、マスターが二人いる。そのうちの片方ということだが……。

それよりも……』


そう言うと、何もない空間から青いリュックサックを取り出し右の手の指をちょいちょいと動かす。

すると、リュックサックの口が開き黒い中が見えた。


さらに、右手の指をちょいちょいと動かすと地面に無数に落ちていた魔石が、まるでブラックホールに吸い込まれるようにリュックサックに吸い込まれていった。

そして、すべてを吸い込むと、ドサッと地面に落ちた。


『これは、サービスだ。後で拾うといい。

この宝箱には、報酬を入れておいた。後で回収しておいてくれ。

……では、君たちの疑問に答えるとしようか』


リュックサックの側に出現した金色の宝箱を見て、報酬を入れておいたという。

そして俺たちに向き合うと、俺たちが考えている疑問に答えると言った。


「……ダンジョンマスターに聞きたい。

何故、私たちにネクロマンサーを退治してほしいと……」


『ネクロマンサーのエメロアの討伐は、彼女をここに封じたときから行われていることだ。彼女も言っていただろ?私が何人生贄を用意するのかと。

実際は、生贄ではなく討伐隊なのだがな……』


ということは、百年位ずっと行われてきたことなのか?

よく勝てたな、俺たち……。


「……彼女は何故、ネクロマンサーに?

それに死霊属性って……」


『エメロアの属性は、今も昔も無属性だったよ。

死霊属性は、成人の儀を行っている最中にどこかの貴族に雇われた一人の騎士が使った呪いの魔道具のせいだ。

属性が変わったというより、植え付けられたといったほうが正しい。

エメロアは、その植え付けられた死霊属性のせいで性格までも変わってしまった』


ちょっと待て、それってどこかの貴族の陰謀ってことだろ。

それじゃあ、エメロア・フォルディール第三王女は犠牲者ってことになる……。


「ではエメロアは、そのどこかの貴族の謀に巻き込まれた被害者なのですか?」


『ああ、そうだよ。

もっとも、エメロアがネクロマンサーになったことで呪い返しというスキルが働き、そのどこかの貴族は滅んだそうだがね。

たくらんだ貴族は滅んだのに、被害者のエメロアはネクロマンサーとして性格も変わったまま生きながらえてしまった。

そこで、ダンジョンマスターがダンジョンに封じ、討伐隊を送り込み続けたというわけだ』


植え付けられた死霊属性のせいで、性格も人格も変わりダンジョンに封じ込まれる。このままではかわいそうと、討伐隊を送り込んで死なせてやろうと……。


何だか、悲しくなってきたな……。


「……エメロアは、救われたのでしょうか?」


『エメロアのもともとの性格は、頑張り屋の努力家だ。

無属性の能無しといわれながらも、自身のできることを探し頑張って来たそうだ。それを応援していたのが家族だ。

成人の儀を行うときのエメロアは、これからのことを考えていたようだよ。

両親や兄弟姉妹たちに、どうすれば恩返しができるかとか、そんな思いが伝わってきたからね……』


……エメロア、いい子だな。

卑屈になることが無かったのは、家族の愛のおかげか……。

無属性を能無しと蔑む風潮のある世の中で、家族だけはエメロアを愛していた、と。


俺は、その時そっと手を合わせて、エメロアの冥福を祈った。

そして、ネクロマンサー討伐に失敗した犠牲者にも、ついでに祈りをささげる。


「……ダンジョンマスターはんは、味方なんか?」


『それは人々の味方か?ということかい?

それなら、一応味方と答えておくよ。君たちダンジョン探索者が最深部にあるダンジョンコアを破壊しない限りはね。

……さて、そろそろ時間だ。エメロアの真実を知らせることができてよかった。

私にとって、有意義な時間だったよ……』


そう言って、ダンジョンマスターを名乗った女性の姿は、蜃気楼のように消えていった。ダンジョンマスターが消えた後は、ネクロマンサーと戦っていた広い空間があるだけだ。



「……引き揚げ準備や。

魔石の回収や、宝箱の中身の回収も忘れたらあかんで」

「そ、そうだな……」


高橋健太の指示に返事ができたのは、ジョゼフさんだけだった。

ダンジョンマスターと話をしたということや、ネクロマンサーのエメロアの真実に触れて、俺たちは少し混乱していた。


が、いつまでもぼーっとしているわけにもいかず、引き揚げ準備を始める。

宝箱は、罠もなくすんなり開けると、中にダンジョンマスターが言っていた報酬という名の金貨が袋三つ分入っていた。


少し多いような気もするが、自分たちの装備の状況を見れば当然の額なのかもしれない。


金貨の入っていた袋を回収し、忘れ物がないことを確認した後、俺たちは来た道を戻っていく。

途中、聖属性の魔石をどうするか話が出たが、今更返すこともないだろうとそのまま持って帰ることにした。


隠し通路から、元の通路の戻ると残りの弾倉が少ないことで、ダンジョン町へ引き返すことにした。


そしてこの後、俺たちはダンジョン町の異変に驚くことになる。








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