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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
出会いと別れのダンジョン探索

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第98話 ネクロマンサー討伐後




命がいくつもあるというのは、油断につながるようだ。

俺たちは、ネクロマンサーのエメロアと戦い始めて、七度目の止めを刺した。


「七回目!」


上半身が吹き飛び、腰と足だけの存在でその場に立っている状態なのに、魔石へと変わらない。生きているという証拠だ……。


「……ダメだ、魔石へ変わらない!」


ここまでの戦いで、全員が疲れていた。

特に前衛で守りに徹しているとはいえ、押し寄せるゾンビやアンデッドなどを押しとどめるのもかなりの重労働。

奴隷とはいえ、魔法剣士のスザンヌも重剣士のルーシーも肩で息をしていた。


「まずいなぁ、弾倉の予備が無くなってきてるでぇ……」

「こっちもよ、すでに汎用機関銃型の魔導銃は弾切れだわ」


高橋健太の使っている対物ライフル型の魔導銃の弾倉の残りはわずか一つ。さらに、鈴木桜子の汎用機関銃型の魔導銃に至っては弾切れになっていた。

手持ちの魔導銃も少なく、心もとない……。


それは、今まで戦ってきた全員にいえること。

だから、だれがこのセリフを言ったのかは分からないがエメロアを怒らせたのは事実だ。



「まだ死なないのかよ……」


『……そう、そのセリフ、思い出すわね……。

成人の儀を受けて『死霊属性』になった私に、剣を突きつけながら言った騎士のセリフ』


なんだ?下半身しかないのに、エメロアの声が聞こえた。

そう思った瞬間、エメロアの上半身が復活し喋り出した……。


『……私の護衛を務めた騎士たちは、ある命令を受けていた。

それは私を、成人の儀を終えた私を殺すこと。そして、成人の儀を行っても私の属性は変わらなかったと嘘の報告をすること……』


エメロアは喋りながらも、再びゾンビやアンデッド、さらに骸骨などを呼び出し続け、俺たちを襲い始めた。


『死霊属性に変わり、ネクロマンサーとなった直後の私に、今まで私を守ってきた騎士たちが何度も何度も剣を突き立てるのよ……。

そして言われたのがあのセリフ。

私も無我夢中だった、だから力の加減が分からず六人いた騎士たち全員を殺してしまったわ。

……そして、私は狂っていったのよ!』


最後のエメロアのセリフと同時に、エメロアの周りの地面に四つの魔法陣が出現。

さらに、その魔法陣から魔法使いのような恰好をした骸骨が出現した。


「リッチを呼び出したか!

みんな気を付けたまえ、大きな死霊魔術を使う気だぞ!」

「杉本はん!狙えまっか?!」

「……任せてください!」


杉本麻美は、娘の杉本美月に目で合図し自分の護衛に回ってもらい呼び出されたリッチ四体に照準を合わせた。


『無駄よ!四体のリッチと私の結界で、あなたたちは絶望を知る!』


その時、ガラスが砕け散る音がエメロアのセリフのすぐ後の聞こえたと同時に、一番左のリッチが頭蓋骨を撃ち抜かれ、魔石へと変わった。


「次!」


ボルト操作で、次弾を装填し次々とリッチを撃ち抜いていく杉本麻美。

俺たちは、今も襲いかかってくるたくさんのゾンビやアンデッドや骸骨の対処に追われていたが、杉本麻美は確実に狙撃しリッチ四体を魔石へと変えた。


「八回目!!」


そして、八回目になるエメロアに死を与えた。

額を撃ち抜き、後頭部を爆散させたのだ。


『……わ、私はネクロマンサーよ。これぐらいで……』


だが、彼女がそのセリフを言い終わることはなかった。

ついにエメロアの体が光に変わり始め、胸の奥から光輝く魔石が地面に落ちたのだ。ネクロマンサーであったエメロアだが、その魔石は聖人のごとく光り輝いていた。


ネクロマンサーの死とともに、呼び出されたゾンビやアンデッドや骸骨も一斉に光へと変わり魔石になっていく。

俺たちは、エメロアを倒すことができたのだ……。


「……ようやく終わったわね」

「ああ……」


そう言うと、スザンヌとルーシーはその場に座り込んだ。

長い戦いが終わり、ようやく息をつくことができた……。


周りを見渡せば、全員がその場に座り込み休憩している。それだけ、いきつく暇もないような長い戦いだった。


「……ダメやな、完全に弾切れ、魔力切れや」

「こっちもっス。でも、予備の薬莢とか弾倉とか購入しておいて助かったス」


これから、この地面いっぱいに落ちている魔石を拾い集めるという作業が残っている。ゾンビやアンデッドなどの魔石はどのくらいの金額になるか分からないが、俺はスコップが欲しいと思ってしまった。


それほど魔石が溜まっていたのだ……。




――――――パチパチパチパチパチ。


どこからか、拍手の音が聞こえてくる。

それも、一人だけで拍手している音だ。

俺たちが、その音がどこから聞こえるのか周りを探すと正面から歩いてきた。


姿を現したのは一人の女性。

赤いロングの髪をなびかせ、敷き詰められた魔石の上を静かに歩いてきた。


『ネクロマンサー討伐、おめでとう。

心から、君たちの戦いを称賛させてもらうよ』


俺たちは全員すぐに立ち上がり、武器を構える。

俺は、右の腰に納めていた自動拳銃型の魔導銃を構えて正面の女性に向ける。


「……あんた誰や?」

『私は、君たちの敵ではない。

私は○○○○○、ダンジョンマスターの一人だ……』


……え?








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