表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
出会いと別れのダンジョン探索

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/201

第96話 死霊術




中世の甲冑が並ぶ通路をしばらく進むと、あきらかに今までの甲冑と違う色の甲冑が二体ならんでいて、その間に鎖と頑丈な錠前で封印されている扉があった。


「……ここやな」


高橋健太はそう言うと、気配ゴーグルをつけて魔物の数を確認する。

その間に、俺たちは戦闘準備だ。

今回は、いつものと違うメンバーということもあり予備の弾倉や薬莢を増やしてある。これで足りなくなることはないと思うが……。


「どうっスか?中は魔物でいっぱいっスか?」

「いや、確認できたんは一体だけや……。どないなってんねん」

「一体だけ……?」


扉の向こう側の魔物の数を聞いた長谷川大輝も、高橋健太が確認できた数に驚いている。いくらゾンビやアンデッドなどの死霊系魔物とはいえ気配は確認できるはず。

なのに、確認できたのは一体だけ……。


「……もしかして、さまよう者たちをとらえている魔物がいるではないか?」

「せやな、そう考えれば確認できたんが一体だけっちゅうんも納得や」


つまり、気配ゴーグルで確認した一体だけの魔物が倒すべき本命か。


その答えが正解だったのか、扉に施されてあった鎖と錠前が音を立てて崩れ砂になった。そして、扉がゆっくりと内側へ向けて開いていく……。


「……どうやら、正解のようだね」

「ほんなら行くでぇ!気合入れや!!」


俺たちは、高橋健太に続くように中へと足を踏み入れた。

そして、中に入って俺たちはすぐに発見する。その元凶の人物を。



『フフフ、ダンジョンマスターは、私を魔王にでもしたいのかしら?

こんなに、生贄を用意してくださるなんて……』


そこにいたのは、貴族の令嬢が着るような赤い服に身を包んだ一人の美しい女性だった。髪は金髪で、長い髪の先はドリルの様にカールしている。


「き、金髪ドリルだ……。この世界に来て、初めて見た……」


伊藤拓也が、その女性のヘアースタイルに驚いている。

当然、俺も驚きだ。本物は違うと……。


「そ、そんな……」


また、俺たちと違うことで驚いていたのは、ジョゼフさんとシャーロットさん二人。目の前にいる金髪ドリルの女性の存在に驚いているようだ。


「あなた、エメロア王女かい?

フォルディール王国、第六代国王の三番目の娘の……」

『あら、私のことをご存じなのね?

そうよ、私はエメロア・フォルディール。フォルディール王国の第三王女よ』


ちょっと待て、いろいろ情報が入ってきたが目の前の女性が王女様?

それも、フォルディール王国の第三王女?

……いや、それよりも第六代国王って、今何代なんだ?


「お兄ちゃん、なんかいろいろ分からないことがあるんだけど?」

「奇遇だな、俺もだ」


妹の楓も俺も、混乱している。

というか、地球組は全員今の話の内容が全く分からない。

ダンジョンの外の情報なんて、調べてもいないからな……。


「どういうこっちゃ?ジョゼフはん、教えてくれるか?」


高橋健太が、隣にいたジョゼフさんに説明を求めた。

すると、ジョゼフさんではなくジョゼフさんの隣にいたシャーロットさんがその質問に答えてくれた。


「エメロア・フォルディールは、三代前の国王の娘よ。

生まれてすぐに無属性ということが判明してからは、表に出ることはなかったの」

「昔は、無属性持ちのことを能無しと信じられていたんです。

それが間違いと分かるまで、さらに百年ほどかかりますけど……」


なるほど、無属性持ちで能無しが王女で生まれたと知られるとまずいから隠したと。よくある物語の冒頭だよな。


「でもね、エメロア王女には魔力があった。

もしかしたら別の属性が存在するのかもと期待した王家は、エメロア王女の成人を待って成人の儀を受けさせたの。

成人の儀を受ければ、属性が変化するかもしれないし、まだ発見されていない属性になるかもしれない、と願ってね……」


王家ってことは、エメロア王女を大切に思っていた人はいたわけだ。

もしかしたら、王をはじめとした全員が王女を大切にしていたのかも……。


「そして、エメロア王女は成人の儀で覚醒するわ。

無属性から死霊属性へ、ネクロマンサーへね……」


ネクロマンサー、死霊魔法を使い死体や骸骨を操る魔法を使うだったか?


「なんでそんな属性に?」

「分からないわ、文献にはその成人の儀のすぐ後、ダンジョンで行方不明になっているとだけ記されていたから……」


それじゃあ、その時からここにいるってことなのか?

……もしかして、あの封印はダンジョンがしたことなのだろうか?


『フフフ、私の出生の説明は終わったかしら?

ついでに付け足すと、私は成人の儀で手に入れたこの力を使って実験をしていたのよ。このダンジョンでね?

そしたら、ダンジョンマスターから取引を持ちかけられたの。

生贄はこちらで用意する、その代わり封印させてくれってね。

それからは封印が解けるたびに、生贄が私の目の前に用意されているのよ。今回のようにね?』


……もしかして、俺たちダンジョンマスターにはめられたのか?

さまよえる者たちの解放ととらえた魔物の退治を依頼されるかたちで……。


『さあ、起きなさい私のかわいい僕たち!

新しい生贄を捕らえて、あなたたちにしたように実験をするわよ。

私は知りたいの!死霊術の可能性をね!!』


そう両手を広げて叫んだエメロア王女の周りの地面にたくさんの魔法陣が現れ、そこからゾンビやアンデッド、さらに骸骨や装備を整えた骸骨がたくさん現れた。


「これが、死霊術の死霊召喚魔法!」

「うっ!すごい臭い!!」


ジョゼフさんが、エメロア王女の魔法を当てると、田辺美咲がゾンビやアンデッドから臭う悪臭に鼻をつまんだ。

俺もこの臭いの中、戦えるか分からないぞ……。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ