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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
出会いと別れのダンジョン探索

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95/201

第95話 その頃、町では…




「……そんなに見つめんといてぇな。

依頼は受ける、だから準備はしっかりな!」


パーティーメンバーの全員がホッとした表情で頷き、宝箱の中から聖属性魔石を取り出し魔導銃に装填したり、聖水を全員の鎧や盾にかけたりと準備をし始める。


高橋健太や鈴木桜子の持つ、対物ライフル型の魔導銃や汎用機関銃型の魔導銃にも聖属性魔石を装填し、さらに、田辺美咲と小西葵の短機関銃型の魔導銃にも装填する。


ドリル魔法を今度こそと、変な意気込みを見せているのは伊藤拓也と長谷川大輝だ。散弾銃型の魔導銃に、聖属性魔石を装填し魔導銃を見つめながら妄想しているようだ。聖属性のドリルが、とかニヤニヤしながら妄想している姿は少し引いてしまう。


そして、杉本麻美や杉本美月の魔導銃にも聖属性魔石を装填すると、俺も散弾銃型の魔導銃に装填する。


妹の楓と大塚詩織も、聖属性魔石を受け取り魔導銃へ装填。

宝箱にあった聖属性魔石は、俺たちガンナー組で使われることになる。


この先に待っているのは、ゾンビや骸骨の魔物だろう。

そして、リッチやレイスがそれを率いていると予想しているが、ボスがどんな魔物なのかは戦ってみないと分からない。


俺たちは、もう一度魔導銃を点検をすると中世の甲冑の並ぶ通路を進みだした。




▽   ▽    ▽




俺は久保、大学で知り合った友達の遠藤たちとバカやって、借金してしまった男だ。最初は遠藤たちに勧められて始めたギャンブルだったが、思いのほかのめりこんでしまい借金を背負うことに。


自業自得ではあるが、何とか返済を考えこのダンジョンを紹介される。


初めは信じてなかったが、ここまでくれば信じざるを得ない。

今でも、何かの機械に閉じ込められバーチャル映像で体験させられているのでは?と頭をよぎることもあるが、よく考えれば俺たちのようなただの大学生にそんなことをする意味があるのか?と思い、現実を受け入れていた。


「久保!走れ!!」

「クソッ!クソッ!!」


ダンジョンに来て、借金返済のために戦っていたがまったく返すことができない。利子の無い借金ではあったが、魔物をいくら倒しても金にならないのだ。

どうすれば、借金が減るんだと毎日考えながら戦っていると、探索者ギルドから要請のお知らせが『スマホ』に来た。


これはチャンスと、遠藤たちの提案でギルドの要請に参加、さらに、フォルディール王国の傭兵部隊に加わることで支度金金貨百枚をもらい、初めて魔導銃を新調した。


これに俺たちの知識が加われば、戦闘が楽になると考えていた。

だが、現実は違っていた……。



ダンジョン町を出発して、二日で目的地『ニベランチェ』の町へ到着。

すぐに隊ごとに分かれて、住民の避難誘導を行うことになった。


俺たちは王国の傭兵部隊だ。それもガンナーだけが集められた。

俺たち以外のガンナーは、ほとんどが犯罪奴隷だった。


『おめぇら、現実をなめすぎだ。学生気分を何とかしねぇと、すぐに死ぬぞ』


犯罪奴隷の日本人が、俺たちに忠告した言葉だ。

その言葉を言った男は、町へ投入後、敵兵士との戦いでその命を散らした。


それを目の前で見せられ、俺たちは動けなかったが奴隷たちは見慣れていたのかすぐに反撃、敵兵士たちを蹴散らしていた。



『何をしてる!お前ら傭兵部隊は、正面で敵兵士を迎え撃つんだ!』


これが俺たちの隊の指揮官の言葉だ。

戦いを何も分かっていない貴族の言葉、俺たちの部隊の指揮官はガンナーの戦い方を分かっていなかった……。


『久保、俺たちは俺たちで動くぞ……』

『了解……』


遠藤たちと相談し、俺たちは独自で動くことにした。

ガンナーの戦い方を見せてやる、そう意気込んでの戦いだったが、俺たちは何もできなかった。

それどころか、敵のことを何も分かっていなかった……。


住民の避難は、探索者ギルドの要請によって集まった探索者たちが行い俺たち王国の傭兵や正規兵は敵兵士たちの掃討を行っていた。

だが、俺たちはなかなか敵の兵士が倒せない。


それもそのはずだ、後から聞いた話では魔法使い対策で魔法耐性の装備をしていたんだ。俺たちガンナーの魔導銃は、魔法を放つ魔道具だ。

つまり、魔法使いと同じように撃っているのは魔法なんだ。


魔法耐性装備には、魔法は効きにくい。

となれば、戦いがどうなるかは一目瞭然だろう。俺たちは敗走していた。



崩れかけた建物の物陰に隠れると、装備を点検しながら仲間の安否を確認する。


「遠藤は?山本も藤井もいないが……」

「あいつらは、別ルートで逃げてる!『スマホ』で確認できるだろ!」

「そ、そういえばそうだったな」


「久保、落ち着け、大丈夫だ、みんな生きて帰れる」


脳筋といわれる松尾に慰められるとは思わなかったが、少しは落ち着いた。

だが、敵兵士に魔導銃を乱射するも、ほとんど倒すことはできなかったのだ。敵の魔法耐性が強すぎるのか、すべて鎧にはじかれる。


だが、衝撃は通ることが分かった。

そこで俺たちは、無属性魔石に変え魔導銃を乱射して戦っていたのだが限界はある。


「……部隊に確認したぞ。

中央はすでに落ちて、正規兵は撤退を始めたらしい。

他のガンナーたちも撤退を始めていて、俺たちにも町の外へ撤退しろと言ってきた」


撤退?この町を見捨てるってことか?

戦いで活躍どころか、何もできないなんて……。


「おい!遠藤と連絡が取れたぞ。

山本と藤井と一緒で、町の外へ撤退を始めているってよ!」

「なら、俺たちも撤退をしようぜ!」


……負け戦かよ!

ダンジョンでも、戦場でも、俺たちは……。


俺たちは、逃げるように町の外へと撤退した。








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