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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
チームでのダンジョン探索

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82/201

第82話 幻のお宝




「姫様、いかがなさいましたか?」


私は、フォルディール王国の第六王女シンシア。

今回、このダンジョンへ来させてもらったのは、もうすぐ十五歳となるため王族としての成人の儀を行うため。


成人の儀とは、そのものが持つ属性に合わせた魔法を習得すること。

土属性の私は、『ゴーレム錬成』を習得することとなります。先代の王族には、私と同じ土属性の王子がいて戦場で百体近くのゴーレムを造り上げ王国を勝利に導いたとか。


私も、そこまでになれないにしても何かの役に立つ姫となりましょう……。


「マーク、あの者たちは?」


マークは、ケネスとともに私の近衛騎士をしています。

本来は女性の近衛騎士が付く予定だったのですが、ダンジョンを甘く見るなということで男性騎士にされたそうです。


ただ、側使いの侍女三人もその辺の剣士並みに強いらしいですから、いざというときは護ってくれるでしょう。


「あれは、探索者の者たちですね。

武器の形状から、ガンナーの者たちだと思います」

「あれが、本来のガンナーの戦い方なのですね……」


ガンナーと呼ばれる者たちは、わが王国の奴隷兵の中にもいます。

何故奴隷に落ちたかはわかりませんが、魔導銃を使い戦場ではなかなかの活躍をしているとか。


ここのところ、東に動きがあるらしくて大臣たちが奴隷をかき集めていて国庫に手を出し、財務担当ともめていると父が教えてくれました。


「姫様、探索者の方たちが四階層への道を見つけたと知らせが……」


侍女のローニャが呼びに来ます。

宝箱の中身が気になるので、もう少し見ていたかったのですが行きましょうか。


私は、こちらに気が付いた方たちに笑顔で手を振ると、マークや他の護衛をしてくれている探索者の人たちと一緒にローニャについていきます。

そうだ、城に戻ったら奴隷に落ちてないガンナーを雇ってはどうかと進言しておきましょう。


きっとガンナーだけの部隊ができて、活躍してくれるはずです……。




▽   ▽    ▽




笑顔で手を振って、引き返していく女性の後を騎士の姿をした男性と探索者の恰好をした者たちが付いて行く。

妹の楓は、手を振ってきた女性に振り返していたが、おそらくあれが探索者ギルドで聞いた王女様ご一行だろう。


「お兄ちゃん、あの人たちって……」

「楓も気づいたか?たぶん、ギルドで聞いた王女様ご一行だな」

「へぇ~、きれいな人だったねぇ~」


確かに第六王女で十五歳とはいえ、大人びた女性に見えたな。

装備も白で統一していたようだし、杖もかなりの代物だろうな……。



「この宝箱二つには、罠は仕掛けられていないよ」

「ありがとう、アンジェラ。

それじゃあ、一応私が開けるわね……」


斥候のアンジェラが、出現した宝箱二つを調べ罠の類がないことを教えてくれた。

でも一応、何かあるといけないので、リーダーのジャスミンが開けるようだ。


みんな、今の今まで見物人がいたことを気にも留めていなかった。

後で聞いた話だが、ダンジョン探索で見学人がいることはよくあることだそうで、興味から見学する人や強奪を考えて見学する人もいるとか。


まあ、強奪や強盗などを考える人は、大人数での見学はないらしい。

必ず一人か二人で、見張りも兼ねて見学するんだそうだ。


こちらに声をかけることもなく、その場から消えたときは要注意だってエルフのナディアが丁寧に教えてくれた。


「……今回は、どちらの宝箱にも布袋が三つずつだね」

「早速、この袋から開けるでぇ」


ジャスミンが開けた後、布袋が三つずつあり左端から順番に開けていくことになった。まず最初を、リーダーの高橋健太が請け負う。


布袋の口に巻き付く紐を外し、袋の口を大きく広げると中には、大量の金貨が入っていた。しかし、この光景は見慣れてしまったのか大きく驚いていたのは、楓と大塚詩織だけだった。


「すっごい……」

「……こうやって、金貨を手に入れていたんですね」


「次は私が開けるわね……」


次に請け負ったのは、魔法使いのクリスティーナ。

自身が持っていた杖を、弟子の見習い魔法使いのアイリスに渡すと布袋の紐をほどき、袋の口を大きく広げると中に入っていたのはこれまた大量の金貨。


「これも、大量の金貨のようですね」


やはりみんな、驚きが小さいようだ。

ダンジョンの宝箱から大量の金貨ばかり出てくるのが悪いのか、それとも、金貨の出てこない宝箱を見つけていない俺たちが悪いのか……。


……ぜいたくな悩みだったな。


「それじゃあ、次は私ね……」


そう言って、左端から三つ目の布袋の絡まっている紐をほどいているのは、杉本美月だ。少しほどくのに時間がかかったが、袋の口を大きく開けると中から出てきたものは一冊の本だ。


「……これ、本、よね?

赤茶色の表紙に、金で書かれた文字が高級品を思わせるけど……」

「ちょっと見せてくれる?」


そうお願いして、杉本美月から本を受け取って中身を見ているのは、魔法使いのクリスティーナだ。

そのまま、じっくりと読むこと三十秒ほど。


バタンと大きな音をたてて本を閉じたかと思うと、顔を真っ青にしている。


「クリス、何の本だったの?」


気になっているみんなの代表で、ジャスミンが聞いた。

クリスティーナは、目を閉じて少し考えた後俺たちに本の正体を教えてくれる。


「これは、失われた完全治癒の魔法書よ」

「……完全治癒?」


完全治癒、という言葉にピンとこなかった俺たち日本人以外は、顔色が悪くなるほど驚いているようだ。

……何かまずいものが出てきた感じだな。








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