第80話 作戦
「まずは支援魔法をかけるわ!クリスはみんなを回復させて!
パメラ!ノエル!シールドを!アイリスはナディアの補助をお願い!
ナディア、範囲攻撃でお願い!」
姿を見せ、こちらに襲いかかるため走り出した無数の魔物『ダンジョンアケロン』こと始祖鳥もどき。
それぞれのできることを、ジャスミンの指示通りに実行する姿は一つのパーティーとして連携が取れていた。
対して俺たちは……。
「何かないか……何か。この窮地を逆転できる策がないか……」
と、うちのパーティーのリーダーである高橋健太が考えこみ、みんながそれぞれで動き出して連携もまとまりも全くなかった。
「ど、どうしよう、お兄ちゃん。このままだと……」
「本田さん、ここはあの飛んでいる大きな奴から仕留めたほうが……」
俺の側にいる、妹の楓と大塚詩織が俺を頼るが、俺もどう動いていいか分からない。そんな時、壁に突き刺さった『ストーンランス』にジャイアントダンジョンアケロンがぶつかるもの、壊されることなく、また消えることなく刺さったままの光景に閃いた。
俺はすぐに、考え込む高橋健太に耳打ちで相談すると肯定された。
「それや!ああ、でもジャスミンはんには確認取らな」
「俺、聞いてきますよ」
「頼むで、こっちはみんなに指示出しとくさかい」
俺はすぐに、ジャスミンさんの元へ駆け寄り確認を取る。
「……それは問題ないけど、どんな効果があるの?」
「それはやってみてのお楽しみです!とにかく、合図したらお願いします!」
「ええ、分かったわ……」
これで、ジャスミンさんもできると確認が取れた。
俺はすぐに、高橋健太に向けてサムズアップで合図を送る。
高橋健太が頷いてくれたところで、側にいた楓が聞いてくる。
「それで、何が始まるの?お兄ちゃん」
「まあ、見ていれば分かるって。
それよりも、楓、大塚さん、罠魔導銃の準備はできているか?」
楓と大塚詩織は、自動拳銃型の魔導銃を構えて準備完了の合図をしてくれる。
予備の弾倉もあるし、これで何とかなるか?
そして、魔物たちとの距離が完全に縮まった時、反撃は開始される。
『プロテクション』『クイック』
アンジェラが、『戦乙女の盾』と『魔導ガンナーズ』のメンバーに支援魔法をかける。防御力の向上と素早さが上がる魔法だ。
『エリアヒール』
次に、魔法使いのクリスティーナが、みんなに回復魔法をかけた。
これで、体力も少しは回復しただろう。
『『シールド』』
次が、パメラとノエルの出番だ。
剣士であるパメラは、盾を構えながら先頭に立ち、その周りにノエルの浮遊盾を配置する。これで、魔物たちが殺到するものの仲間の安全は確保できた。
この間にも、ダンジョンアケロンは無数に襲い掛かってきている。
それを撃退しているのは、中川明日香をはじめ、田辺美咲、小西葵の三人組の短機関銃型の魔導銃のおかげだ。
さらに、今回はそこに杉本麻美、杉本美月の親子も参戦。
その手に構えるは、狙撃型の魔導銃で中央付近で向かってきている魔物を狙っていた。どうやら、足を狙って転ばせる作戦をとっているらしい。
確かに作戦通り、魔物を転ばせるのに成功してはいるが全体的には一時的に追ってくる勢いを殺してはいるが、すぐに元通り魔物が覆いつくしていく。
そんな光景を見ながら、俺自身の準備を終えて高橋健太を見ると、対物ライフル型の魔導銃を構えて俺に手を振ってくれた。
「ジャスミンさん、お願いします!」
「了解、行くわよ!」
ジャスミンさんはすぐに詠唱を終えると、ある魔法を唱えた。
『ダークネス』
すると、空中を飛んでいるジャイアントダンジョンアケロンの周りだけに暗闇が広がった。その異変にすぐ対処するために魔物は空中を移動するが、暗闇もまた同じようについて回る。
「よし、うまくいった!楓、大塚さん、指示通り撃ちまくってくれ!」
「え、えっと、了解!いくよ、詩織ちゃん!」
「了解!」
次は楓と大塚詩織の持つ、自動拳銃型の魔導銃の出番だ。
この魔導銃には、『空間ランス系魔法』が撃てるようになっているので、この戦場のあちこちに土魔法の『ストーンランス』を撃ちまくって、障害物を作ってほしいのだ。
今、上空で混乱している魔物を地面に落とすために。
乱射しあちこちに『ストーンランス』を出現させる。
すると、無限ともいうべき数で襲いかかっているダンジョンアケロンにも、その『ストーンランス』は襲いかかるわけで、少なくない数の魔物が倒され魔石になっていく。
『グゲエエェェェ!!』
気勢を上げながら暴れる上空の魔物は、あちこちに刺さった『ストーンランス』にぶつかり傷を負い地面へとついに落ちた。
「高橋さん!」
「了解や!くらえ!冷凍ビーム!!」
いや、叫ばなくても……。
とにかく、高橋健太の放った冷却ビームが、ジャイアントダンジョンアケロンに命中し、どんどん凍らせていく。
羽が凍り、足が凍りそして、もうすぐ全身がというところで魔力が切れ、弾倉を交換。再び冷凍ビームを発射し、再度凍らせ始めた。
しかし、凍らせきる前に魔物は雄叫びを上げ、風魔法を周りに乱射し全身の氷の大半を自力で砕き脱出してしまう。
「しもうた!!」
「大丈夫です!」
俺は、こんなこともあろうかと散弾銃型の魔導銃を構えていた。
属性は水、引き金を引くと『ウォーターバースト』が発動し魔物の全身に命中する。




