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第8話 出発準備




「さて、これでダンジョン探査の講習会を終わる。

わずか二時間の講習会だったが、基本は分かったと思う。

もし、まだ分からないことがあるなら、これから行くダンジョン町の『探索者ギルド』で聞いてくれ。

……それと、最後にこれを渡しておかないとな」


締めの言葉を言いながら、最後に渡すものを思い出したグングニルは、俺たち一人一人に木箱と十ページぐらいの薄い本を渡していく。

木箱は縦約20センチ横約25センチの高さ15センチの小さいものだ。


「今お前たちに配った本は、『スマフォ』こと『ステータスデバイス』の使い方が説明されている取扱説明書だ。

そしてもう一つの木箱は、魔力補充ボックスといって弾倉の魔力補充に使う。

例えば寝る前に、使い切った弾倉を入れておけば翌朝起きるころには魔力の補充が終わっているだろう」


へぇ~、それば便利なものだな。

俺は何となく木箱を開けると、中には何も入っていない。

……ただの木でできた箱にしか見えないが、本当に補充できるのか?


俺は大丈夫か?とグングニルを見ると、大丈夫と頷いて答えてきた。

……イマイチ信じられないんだよな。



――――コンコンッ。


その時、カーテンで隠れていた壁の端にある扉からノックの音がする。

そしてすぐ後に、扉が開き一人の女性が顔をのぞかせて会議室を見渡し、グングニルを見つけて声をかけてきた。ショートカットのかわいい女性だ。


「マ、じゃなくて、グングニルさん、あと三十分です。

出発の準備を終わらせて待機をお願いします」

「……分かった、出発時間になったらまた頼む」

「分かりました」


そんな短い会話で終わり、女性は扉を閉めた。

……グングニルのことを何て呼ぼうとしていたんだ?

マ何とか?


そこに引っかかった俺が、考えを巡らせているとグングニルが俺たちに向かってしゃべりだした。


「いよいよ出発時間が迫ってきた。

ベルトポーチを装着して、壁に飾ってある自動小銃型の魔導銃か自動拳銃型の魔導銃のどちらか使う方を机の上に置き、使わない方はショルダーバックにしまっておけ。

弾倉はそれぞれ二十ずつだ。

これも、使う方を左腰のポーチに入れて使わない方の弾倉はショルダーバックにしまえ。

後、着替えた服や靴、予備の服や靴もショルダーバックにな。

以上で、講習会を終わる。それぞれ準備に取り掛かってくれ」


グングニルが講習会を終わらせ、出発の準備を促したので俺たちは準備を始める。


俺はまず、無限鞄のショルダーバッグに予備の服や靴、着替えた服や靴をしまい込む。どんどん鞄の中に入っていく光景は、不思議の一言だ。

後、入れたものを取り出すにはどうするのかは、手を鞄の中に入れれば何が入っているか分かるようだ。


これを取り出すと思いながら、手を鞄の中で掴むと取り出したい物を掴んで取り出せる仕組みになっている。

いやはや、ファンタジー超便利である。



次に俺は、壁に飾られている二種類の魔導銃を回収し机の上に置く。

さらにそれぞれの弾倉を、二十個ずつ回収しそれも机の上へ。


「しかし、これが『魔導銃』なんスね。弾倉とかよくできているっス……」


俺の隣の長谷川大輝が、自動拳銃型の魔導銃を手に取りじっくり観察して感想を口にした。確かによくできている。

そして、おそらくだが地球にある銃よりも軽いんじゃないか?


だが、弾倉を装填していて気づいたことがある。

それは、装填した弾倉が外れやすかったのだ。

ちょっとした衝撃で、すぐに外れてしまう。

俺はすぐに教壇の前で俺たちを眺めているグングニルに質問した。


「地球の自動拳銃だとスライドする部分があるだろう?上の部分に。

魔導銃の場合はそれを引けば弾倉が固定される。

自動小銃の魔導銃も同じだ。

上のスライドさせる部分をスライドさせて、弾倉を固定させるようになっている。

外すときは、反対にスライドさせれば外れやすくなるわけだ。


本当は、差し込むだけで固定できればよかったんだが弾倉の交換があるからな。

し易さを考えれば、取り外しが利くようにしたかったのだろう。

……まあ後は、地球の銃と同じにすることでロマンを追求したのかもな」


ロマンか……。

なんとなく理解できる俺は、やっぱり男の子なんだな……。


とりあえず、弾倉の装填のやり方を聞きその通りに装填する。

ジャキッという音とともに、弾倉が固定された。


「お、そうだ。長谷川、本田。

ダンジョン町にある魔導銃専門の店に行ったら、後ろの腰に自動拳銃型の魔導銃を装備できるホルスターを買うと、いちいち鞄から出す必要がなくなるぞ」


……なるほど、映画やドラマである手を後ろに回して銃を取る、アレができるわけか。ロマン的にも実用的にありだな……。


「ま、購入する金があればの話だがな」


グングニルに、痛いところを突かれる。

少しムッとしながら、俺は魔導銃に装填されている属性魔石を確認する。


……両方とも、火の魔石が装填されていた。

ということは、どちらも『ファイアーアロー』が撃てるということか。


「ほう、魔導銃の属性魔石を確認したのは高橋と本田だけか。

他のものも、魔導銃の属性魔石を確認しておけよ?

その二種類の魔導銃は、どちらも『アロー系の魔法』が撃てるが、どの属性かは装填している属性魔石で決まる。

その属性魔石を確認するということは、どんな攻撃ができるかを確認するのと一緒だぞ」


グングニルがそう注意すると、高橋健太と俺以外の全員が確認しだした。

中川明日香をはじめとする女性たちも、覚束ないなりに何とか確認できていた。


そして、全員の魔導銃に火の魔石が装填されていることが分かった。



後は、ベルトポーチを装着し、左腰のポーチに弾倉を入れて終わりだ。

だが、出発までまだ時間があるみたいだから、例の『ステータスデバイス』の取扱説明書でも読んでおくか……。








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