第79話 牙を見せるモンスターハウス
あたりに響く衝撃音、鈴木桜子の持つ汎用機関銃型の魔導銃が文字通り火を噴いている。火属性魔法の『ファイアーランス』の乱れ撃ちは、一心不乱に襲い掛かってくる魔物を次々と反撃も許さず屠っていくのだ。
また、その隣では中川明日香、田辺美咲、小西葵の三人が並んで、短機関銃型の魔導銃を撃っている。
『ブレット系魔法』とはいえ、連射される『ストーンブレット』の一撃は、確実に魔物たちに貫通攻撃していた。
「……お兄ちゃん、すごい光景だね」
「確かに迫力はあるけどな、ほら、抜けてくるものはいるものだ」
「確かに、に!」
俺と妹の楓は、この激しい攻撃の合間をぬって抜け出してきた魔物を一匹一匹屠っていく。もちろん、これには高橋健太や長谷川大輝も協力していた。
「楓も大塚さんも、昨日購入したアレ、使ってみたらどうだ?」
弾倉交換や魔法攻撃を抜けて出てくる魔物を倒している二人に声をかけると、お互い頷いて左手にその魔導銃を握る。
自動拳銃型の魔導銃で、『空間ランス系魔法』を放つことができるもの。
いうなれば、これで撃ち込んだ場所にランス系魔法を出現させることができるのだ。
今回の使い方のように、天井付近に向けて引き金を引けば、上から『アイスランス』が落ちてくることになる。
『ゲキュウイイイィ!』
『ギャニャアァァ!』
『グエェェ!』
ひしめき合った魔物たちの頭上から落ちてくる『アイスランス』は、魔物たちを貫通し次々と屠っていく。
そんな『魔導ガンナーズ』の戦い方を、後方で見ているだけなのがジャスミン率いる『戦乙女の盾』のみんなだ。
高橋健太たちの戦いに、介入する隙が無い。そのため、後方で見ていることしかできていなかった……。
「……ガンナーって、こういう時頼りになりますね~」
「というよりも、前に出れないって言うのが本当の所ね」
「はいはい、愚痴はそこまでにしなさい。
もうすぐ大型のが現れるはずよ、私たちも戦闘準備、戦闘準備!」
「「「は~い!」」」
アンジェラとノエルが、ガンナーの戦いを見ながら愚痴を言っているとジャスミンが戦いも終盤に来たことを察知し、仲間たちに戦闘準備をさせる。
モンスターハウスのような場所には、無数の魔物を倒した後ボスのような魔物が出現する。そのボスとの戦いでは、雑魚のような魔物を倒す戦い方ではダメなのだ。
案の定、地響きがモンスターハウスの奥から聞こえてきた……。
「来るわよ!!」
『ギェオオォォン!』
大型の始祖鳥と思われる魔物が、一体姿を現し雄叫びを上げる!
高さは五メートルはあろうか、その大きさは恐竜と大差ないほど大きかった。
左右の腕にはびっしりと羽が生えており、これを素早く動かすことで風の魔法を使っているようだ。
左の羽を素早く動かし、大きなかまいたちを作り出して攻撃してくる。
この攻撃から、この魔物は風属性だと判明した。
「かまいたち攻撃っちゅうことは、こいつ風属性かいな!」
「だいじょうぶ!?」
「ああ、心配あらへん。それよりも、次々来るでぇ!」
「みんなは避けて!パメラ、ノエル!盾でできる限り防いで!」
高橋健太の側に到着すると、先ほどのかまいたちの攻撃で少し負傷した右足を心配している。
しかし、高橋健太は自分が持っていたポーションで回復すると、次々と放たれるかまいたちのことをジャスミンに教えると、彼女はパメラとノエルの剣士二人にお願いした。
「本田はん!」
「用意はできてるよ!」
「風よけを頼むで!」
高橋健太が声をかけてきたとき、ちょうど属性魔石の交換を終え準備完了していた『壁魔法』を放つことができる自動拳銃型の魔導銃を構えて、魔物との間に土壁を二枚作った。
しかし、魔物の放ったかまいたちを受けるとすぐに音もなく崩れ去る。
「ホンマに風よけ程度かいな!」
「壁魔法ってのは、その程度の強度しかないって!」
土壁二枚を破壊し、さらに放たれるかまいたちを俺たちは何とかよけながら、愚痴を言われる。
壁魔法に、何を期待しているのか……。
鈴木桜子が、たくさんいた魔物から現れた大型の魔物を狙って撃ち続けるが素早く避けられほとんど当たらない!
いくら連射するとはいえランス系魔法は大きい、そのため避けられやすかった。
「ダメ!当たらない!!」
「あの大きさで、なんて素早いのよ!」
「俺に任せろ!」
鈴木桜子と田辺美咲が、当たらないことと魔物の素早さに驚いていると伊藤拓也が散弾銃型の魔導銃を構える。
狙いを定めて引き金を引くと、散弾銃型の魔導銃特有の乾いた音とともに氷のドリル魔法が魔物に向かって発射された。
『ギュエエエエ!』
大きな叫び声をあげたかと思ったら、大型の魔物は翼を左右に広げて空を飛ぶ!
その行動により、氷のドリルは大型魔物の足の下を通過し壁に激突して壊れた。
「あいつ、飛ぶんか?!」
「ジャイアントダンジョンアケロンは飛べるわよ。
もちろん、あの羽で飛んでいるんじゃないわ、風魔法を使って飛んでいるのよ!」
「ジャスミン、一旦体勢を立て直せ。
奴は一度飛んだら、しばらくはあのまま攻撃してくるぞ!」
高橋健太の文句は、隣にいたジャスミンが教えてくれた。
そこへ、エルフのナディアが大勢の立て直しを進言してくる。
「それに見ろ!再び湧いてきたぞ……」
そう言って、前方を指さすナディア。
指さす先には、暗闇から次々と出現し姿を現すダンジョンアケロンの姿が……。
クソッ!振出しに戻る、か……。
いや、上空にデカいのがいるから、さらに状況は悪いか……。




