第77話 王女様一行の向かう場所
「いらっしゃいませ~」
楓と大塚詩織の魔導銃を購入するために、レジカウンターで支払いを済ませていると魔導銃専門の武器屋に、鈴木桜子が入ってきた。
探索者ギルドで別れたとき、『戦乙女の盾』のメンバーと買い物があると後で合流する予定だった。
そのため、待ち合わせ場所をこの魔導銃専門の武器屋にしたのだ。
ここならば、俺たちのような日本人以外は用がない武器屋だからな……。
「まいったわ、すごい人。
さすが、このダンジョンを管理する王国の王女様ね~」
「桜子さん、桜子さんは魔導銃の新調はいいんですか?」
店に入ってきた鈴木桜子は、店の外の大騒ぎに感心していると楓に装備の心配をされる。そういえば、鈴木桜子の装備も威力が足りなかったな……。
「もちろん、私も新調するわ。
今度はいつ、大金が入ってくるか分からないからね~」
そう手を振りながら笑顔で、店の奥へと姿を消した。
彼女が何を購入するのかどうしても気になり、鈴木桜子が向かった店の奥へ進む。
すると、そこには……。
「何これ!お兄ちゃん、何これ!」
「……楓、それに大塚さんもついてきたのか」
「すみません……」
そこに陳列されていた魔導銃に驚き、楓が声を上げる。
その声に驚いたのは、鈴木桜子ではなく俺だった。気づかれないように、何を購入するのか確認しようと思ったのに……。
楓の後ろには、大塚詩織もついてきていた。
「……気になるなら、一緒に来ればよかったのに~。
ここに並んであるのは、汎用機関銃型の魔導銃だよ」
汎用機関銃か……。
でも確か、汎用機関銃って二脚か三脚が必要な奴だったよな?
それに乗り物なんかの銃架に搭載して使う物、いくら魔法攻撃とはいえ魔物相手に使えるのか?
まあ、それを言ったら中川明日香たちが購入した、短機関銃型の魔導銃も同じか。後、高橋健太のビームを出す魔導銃もどうかと思ってしまうな。
「これ、長いのはまだしも弾倉の魔力タンクが大きすぎない?」
「確かに、これでは弾倉をまとめて入れる箱ですね……」
汎用機関銃型の魔導銃の魔力タンク型の弾倉は、引き金近くに取り付ける弾倉は確かに箱だ。銃であれば、この箱に弾丸がつなげられてまとめて入っているのだろうか。
……もしかして、それを再現したために弾倉が大きくなったか?
「鈴木さん、これどんな魔法が発動するんです?」
「これ?これは、『ランス系魔法』が発動するみたいね。
しかも連射ができるし、威力にも問題ないでしょう……」
軽々と、汎用機関銃型の魔導銃を扱っている鈴木桜子。
……魔石を錬金術で詰め込んだ弾倉の箱でも、大丈夫そうだ。
後は、魔物との戦闘において、どの立ち位置で戦うかだな……。
「……桜子さん、これ金貨七十枚するけど……」
「だ、大丈夫よ。貰ったお金で借金も完済できたし、今までコツコツと貯めていたお金もあるし、弾箱を予備も含めて五個購入しても大丈夫!」
鈴木桜子の目からきらりと光るものが見えたが、知らない顔をしておこう。
いつかこの買い物が、無駄ではなかったと思える日が来るといいな……。
店の中から外の騒ぎが収まったのか確認していると、全員の買い物が終わったようで最後に鈴木桜子が、レジカウンターで支払いを済ませた。
「ほんなら、これで今日は解散やな。
戦力も強化されたはずや、明日からのダンジョン探索頑張るで!」
「はいっス!」
パーティーリーダーの高橋健太の言葉に、返事をしたのは長谷川大輝だけだったがみんな頷いて答える。
買い物を終え、全員で店の外に出るとダンジョン町はまだ王女様が来たということで、あちこちで騒いでいる。
特に、酒場などでは探索者の人たちが明日からの王女様と一緒にどこのパーティーが行くのかで盛り上がっていた。
そんな声が、酒場の外を歩いている俺たちにも聞こえてくるほどだ……。
「桜子さんは、だれが王女様たちとパーティーを組むか知ってる?」
「どうしたの?美咲ちゃん」
「ジャスミンさんたちから、何か聞いてないかなぁと思って、ね」
あちこちで話している声を聞いて、田辺美咲が気になり鈴木桜子に聞いたようだ。俺たちと合流する前は、ジャスミンたちと一緒にいたそうだからもしかしてってことだろう。
「それで、どうかな?何か言ってなかった?」
「ジャスミンさんは特に何も。
でも、ナディアさんが下層から実力派のパーティーが護衛にあたるってことは教えてくれたよ。
でも、それ以外は知らないみたい」
さすがエルフのナディアさん、情報収集はしっかりしているようだ。
でも、どんな実力はパーティーかは分からないのか、それとも秘匿にしているのか……。
「でもまあ、王女様たちはそのパーティーと一緒に十階層辺りに行くそうだから、私たちには関係ありませんよ」
「十階層に何かあるんか?」
「十階層に王家専用の成人の儀のために施設あるそうなんです。
私たちは利用できませんけど、そこで成人の儀を執り行うそうですよ」
へぇ~、王族ともなれば、成人の儀も大変なんだな。
でも確かに、十階層なら俺たちには関係ないな。俺たちいまだ三階層だしな。




