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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
チームでのダンジョン探索

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第71話 二つで一つ




隠し通路内の壁画を見ていると、アンジェラの声が聞こえた。


「開きました!開きましたよ!!」


例の銀色の宝箱に巻き付いていた、金色の鎖を解除できたようだ。

これで、銀色の宝箱の中身が判明すると、みんなで銀色の宝箱の周りに集まり代表でアンジェラが宝箱の蓋をゆっくり開ける。


「……ちょっと、重いです」

「手伝うよ」


蓋が重くて開きづらかったところ、伊藤拓也が手を貸しようやく蓋が開いた。

中身は?とみんながのぞき込むと、そこには一本の鍵が横たわっている。


「……鍵、だけ?」

「みたいやな……、どこかに鍵穴でもあるんか?」


ジャスミンが鍵を掴んで宝箱から取り出し、高橋健太が周りを確認する。

それにつられて、みんなが周りの壁を調べようと動いたとき、銀色の宝箱から二メートルほど離れた先に地面から扉が出現した。


大きさは、縦三メートル横二メートルの鉄製と思われる黒い扉だ。


「……あそこ見てみぃ、鍵穴や。

たぶん、あそこにその鍵を使うんやで……」

「……私が行こう」


鍵を持ったジャスミンは、恐る恐る扉に近づき、鍵穴へ鍵を差し込む。

そして、鍵をゆっくりと回した。


固唾をのんで注目する中、ガチャリという鍵が開いた音が響く。

鍵を鍵穴に刺したまま、ジャスミンは扉をゆっくりと押した……。


錆びついた音を出しながら、ゆっくりと黒い扉が開いていく。

ジャスミンが力を込めて押し切った先にあったのは、赤と青の色で半々に分かれたドーム状の大きな部屋だった。


そして、その部屋の中央に剣を立てて陳列する台が二つと、赤い立派な剣が一つだけあった。


「……この赤い剣、『フレイムソード』じゃないかしら?」


エルフのナディアが、赤い剣の側に近寄り観察するとこれじゃないか?とジャスミンに聞いてくる。

ジャスミンも、赤い剣をじっくり観察し間違いないと同意した。


「たぶん間違いないわね……」

「『フレイムソード』?」

「炎を操る魔剣のことよ。

……ねぇ、こっちにも何か魔剣があったんじゃないかな?」


俺は近くで、赤い魔剣の反対側の台を調べているクリスティーナに声をかける。

分からないことは、聞いて確認するに限る。

すると、クリスティーナは簡単に答えるとすぐにジャスミンたちに声をかけた。


その問いかけに、ジャスミンたちが近寄り台を調べて確信する。


「う~ん、これはたぶん一対になっていた双剣が置かれていたものだわ」

「双剣で、『フレイムソード』となると……」

「『アイスソード』、氷の魔剣ね。

……そうか!これが関係しているんだわ!」


エルフのナディアは、剣を立てる台が二つあることから双剣ではないかと推測し、ジャスミンと一緒に考えているとある答えにたどり着いた。


「ど、どうしたの?」

「フレイムドッグよ!

あの炎の魔物の他に、もう一体出てくるはずだったのよ!」

「……もしかして?」


「ええ、アイスドッグ、氷の魔物よ。

あの時、本当はフレイムドッグとアイスドッグの二種類の魔物が出現して戦うはずだったんだわ」

「しかし、『アイスソード』だけが持ち去られていたから……」


「そうよ、フレイムドッグだけが出現した……」


ナディアとジャスミンの会話から、俺たちがかなり危険な魔物の出現する隠し通路を見つけたんだと分かり、身震いする。


炎と氷の魔物が同時に出現。

その二体に、俺たちは勝てていたのか?


「でも、悔しいわね……」

「どうしたの?ナディア」

「これって、ここに誰かが来たってことでしょう?

そして、『アイスソード』だけを持っていった……。悔しいじゃない!」


ナディアの悔しさもわかるけど、俺は魔物が一体だけで助かった気分だ。

あんな苦労をした魔物がもう一体、しかも属性が真逆の魔物を相手に戦う自信はないぞ……。


「私は、フレイムドッグだけでよかったと思うわ。

あの場にアイスドッグまでいたら、私たち全員無事で勝てたかどうか……」

「う~」

「とにかく、その炎の魔剣を持ってここから出ましょう。

隠し通路の先を、私たちはまだ確認してないのよ?」


ジャスミンは一体でも十分と言うが、ナディアは納得してないようだ。

エルフという種族は、プライドが高いんだな。二番煎じが嫌だなんて……。


とりあえず、少し拗ねるナディアを急かし戦利品を持ってこの部屋を出ようと、ジャスミンが炎の魔剣を手にして持ち上げた瞬間、二つの台が下へゆっくり沈んでいく。


「え?な、何?」

「これは……。

みんな、中央から離れて!」


戸惑うジャスミンをよそに、ナディアは事態を把握しみんなを避難させる。

ゆっくり沈み切った二つの台の後に、金色の宝箱が出現した。


「……これって、どういうこと?」

「フ、フフ、アハハハ、そういうことなのね!

どうやら、アイスソードを持っていった人は、この宝箱のことを知らずに持っていったみたいね」


ナディアが言うには、すべてのものが二つで一つなのだと。

出現するはずの魔物も、炎と氷の二対で、この場にあるはずの魔剣も、炎と氷の二対の剣。そのため、二つの剣を持ち上げて初めて真の宝箱が出現するのだと。


「……て、事はこの宝箱の中身こそが」

「ええ、本当の宝物というわけよ」


みんなの視線は、すぐに出現した金色の宝物から斥候のアンジェラに移った。

宝箱の中身に、ここにいる全員が期待する。







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