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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
チームでのダンジョン探索

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第68話 炎の魔物 中




フレイムドッグは、自らの爪を赤熱化し『戦乙女の盾』のメンバーであるエルフのナディアへ襲いかかった。

跳躍力もかなりのもので、フレイムドッグが飛び上がった後の地面を何かが通過する。


「は、外れたっス!」


俺の近くで、長谷川大輝が叫ぶ。

どうやら、昨日の『ドリル魔法』を狙い撃ったものの外してしまったようだ。直線的な攻撃のため、こういう除けられ方をされるとお手上げらしい。


すぐにポンプアクションで次弾を装填するが、すでにフレイムドッグは動いている。



ナディアに襲いかかったフレイムドックの赤熱した爪、避けようと横へ素早く飛び退くものの間に合わない!

そこへ魔法剣士のノエルの浮遊する大盾が割り込む。


そして響く金属音!

避けた先の地面に倒れこんだナディアがすぐに振り返ると、そこにはフレイムドッグの爪痕によって抉られた大盾が浮遊している。


「っ!」

「ああっ!買い直したばかりなのにっ!」


ノエルの嘆きが聞こえた直ぐ後に、違う場所からフレイムドッグへ攻撃が開始される。

何本もの『フリーズアロー』が放たれ、フレイムドックに命中するも威力が弱い。さらに、鬱陶しいと感じたのかフレイムドッグがその場から跳躍する。


そして、飛び上がって口から『ファイアーボール』は放った。



中川明日香たちは、フレイムドックが攻撃した直後を狙っていた。


「美咲ちゃん、葵ちゃん、美月ちゃん、構えて!……今よっ!!」

「「「はい!」」」


それぞれが持つ自動小銃型の魔導銃の引き金を引くと、『フリーズアロー』の魔法が発動し連続でフレイムドッグへ撃ち込まれる。

だが、何発も直撃するもののたいしたダメージにつながっているとは思えない。


「……明日香さん、効果ないように見えます!」

「今は、撃ち込むしかないわ!」


弾倉の魔力が空になると、すぐに新しい弾倉に交換し撃ち続けるがフレイムドッグに効いている感じはしない。


だが、それはしょうがないのだ。

なぜなら、彼女たちの使っている自動小銃型の魔導銃は講習会で支給された初期型。攻撃力も最低限あるだけの魔導銃なのだ。


この初期型の魔導銃は、ゴブリンですら一発で倒せない代物なのだ。

そうなれば、いくら弱点属性での攻撃でもフレイムドッグを傷つけることはできない。


「クッ、もっと強力…なっ!」


その時、フレイムドッグが飛び上がり中川明日香たちに向けて『ファイアーボール』が放たれた。

そして、避ける間もなく中川明日香たちの目の前の地面に着弾し、その余波で彼女たちは吹き飛ばされた。


「きゃあああっ!」

「「「キャッ!!」」」


それぞれ、二メートルほど飛ばされ地面に落ちる。

幸いなことに、全員何とか生きていたが体のあちこちにできた火傷が酷い。

その中でも、着弾場所に一番近かった杉本美月の腕と額の火傷が酷かった。


とっさに顔をかばったとはいえ、このままでは重度の火傷で死んでしまうこともありえる。とそこに、透き通る女性の声が聞こえた。


『エリアヒール』


中川明日香たちの周りを、淡い緑の光が包み込む。

すると、杉本美月の火傷をはじめ、中川明日香たちの傷が治りだした。

魔法使いのクリスティーナの治癒魔法だ。



「タクヤ!回復はクリスティーナに任せて、私たちは仕掛けに回るよ!」

「……ああ、分かった!」


伊藤拓也は、猫獣人のアンジェラと一緒にフレイムドッグに罠を仕掛けるために動いていた。

フレイムドッグの攻撃は爪などの攻撃のほかに火魔法があるが、最大の特徴は犬系統の魔物特有の素早さだ。


この素早さを何とかしようと、アンジェラは考え伊藤拓也に協力してもらっていた。地面に魔法陣を刻み、フレイムドッグがここを通過するか踏みつけるだけで発動する。


「タクヤ、ここで最後!」

「これで、『フリーズチェーン』が発動するわけか?」

「ええ、この氷の鎖がフレイムドッグの足に絡まれば、私たちの勝ちよ!」


そう言ったアンジェラを、すぐに抱きかかえて横へ飛び退く伊藤拓也!

そのすぐ後、炎の塊が通過した。

フレイムドッグがこちらに気づき攻撃したのだ。


「がっ!」

「!タクヤッ?!」


飛び退いた先の地面で顔を歪め手足を抑える伊藤拓也。

彼がアンジェラをかばったとき、足に火炎弾が掠っていたのだ。掠っただけでこのダメージ。直撃を食らえば死は免れないだろう……。


ゆっくりと近づいてくるフレイムドッグを前に、伊藤拓也をかばって動けないアンジェラは死を覚悟する。

とその時、フレイムドッグの後ろ左足に何かが直撃した。


『ガアアアアァァ!!』


白い光線がフレイムドッグの左後ろ足を凍らせていく。

三メートルもの巨体をくねらせて逃れようとするが、白い光線は確実に左後ろ足に当たってどんどん凍らせていく。


「アンジェラはん!ポーションや!ポーションで回復するんや!!」


声のする方へ顔を向けると、そこには白い光線を放つ魔導銃を構えた高橋健太がいた。そして、その高橋健太を守るように大盾を構えたパメラがフレイムドックを睨んでいる。


「俺の冷凍光線で、このまま凍るんやっ!」


アンジェラに、ポーションを飲ませてもらいながら伊藤拓也は、高橋健太の持っている二メートル近い長さの魔導銃を見て驚いていた。







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