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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
チームでのダンジョン探索

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第63話 妹の態度




「本田さん?ちょっっと、いいかしら?」

「へ?」


妹の楓と大塚詩織に、魔法耐性の付与されたアクセサリーを選んでいると後ろから、中川明日香に声をかけられた。

何故か、イラついているようで俺はおとなしく中川明日香についていく。


楓と大塚詩織がいる場所から、少し離れた角地に移動すると詰め寄られた。


「本田さん?妹さんに対して少し甘いんじゃないの?」

「明日香さん、少しじゃないですよ。甘すぎます!何ですか?あの態度は!兄の本田さんに対して、甘えすぎています!」

「本田さん、もっと厳しく接するべきですよ。妹さんのためにも!」


中川明日香の後ろから、田辺美咲や小西葵も注意してくる。

……やっぱり、甘すぎるか。


「う~ん、もっと厳しく……」

「できないんですか?シスコンですか?本田さんは!」

「美咲ちゃん……。あの、本田さん、どんな事情であれ、もう少し厳しく接した方がいいですよ?

それと、借金の肩代わりだけは楓さんのためにならないと思います」


田辺美咲がイラついて、俺のことをシスコン呼ばわりしてきた。

さすがに言いすぎだと、杉本美月が田辺美咲をなだめるが、杉本美月も俺の妹への態度を注意してくる。


どんな事情であれ、か。

まあ、昔は楓もあんな感じではなかったからな……。


俺の妹である本田楓は、結婚詐欺にあったのだ。

それが、俺がこのダンジョンに来るきっかけとなった借金の原因。俺と母親へ二人であいさつに来た時、この男なら妹を幸せにできると思っていたのにあの男は結婚式当日に姿を消した。


最初は何かあったと、楓も信じて待っていたのだが、だんだんと時が経つにつれて騙されたのだと気づき始める。

そして、決定的だったのが警察からの連絡だろうか。


どんなことを知らされたのかは分からないが、それから楓は落ち込み、憔悴しきって何も手につかなかった。

だが、こちらの事情などお構いなしに来るものが、様々な支払期日だ。


結婚式場のキャンセル代やらなにやらと、全部合わせて一千万円近くになったのだ。俺と母親で何とか六百五十万まで減らしたが、それ以上はどうにもならず親戚の弁護士に相談しここを紹介された。


俺がこのダンジョンへ出発する日の当日、何とか気持ちを持ち直し見送ってくれた楓は、傍目にも分かるくらいゲッソリと痩せて痛々しいほどだった。

……泣きながら、謝りながら見送ってくれたのに、どうしてまた借金を作るかな……。


一応、俺も怒っているのだ。

楓に会い、バツが悪そうに訳を話す姿を見るまでは……。


「……そうだな、少し厳しく接してみるよ」

「少し厳しくでは、妹さんのためになりません!ここは、兄としてビシッと一言言ってやるぐらいしないと!」

「わ、分かったから、そう興奮しないで中川さん」


俺も怒られてしまった。

どうも楓に対して中川明日香をはじめ、女性陣が怒っている。昨日、宿の部屋で何かあったのか?


俺は、中川明日香たちをなだめながら、楓と大塚詩織の元へ戻った。



二人の元に戻ると、楓も大塚詩織も購入するリングを決めていた。

どちらも、俺と同じ魔法耐性のリングだ。いろいろと迷っていたが、俺がしているものと同じものをした方がここではいいのではないかという結論になったらしい。


他にも、何か買うものがないか店内を回ってみるが今は無いようだ。

その後、ポーションとリングの支払いを済ませ店の前で全員と合流するものの、中川明日香たちはまだ機嫌が悪かった。


「何や、中川はんらの機嫌が悪いようやけど何かあったんか?」


高橋健太が気づき、俺に説明を求めるがどう答えていいか分からず苦笑いしかできなかった。


「まあええわ、次は武器屋に行こう思うねんけど……」

「それなら、私たちとはお店が別になるわね。ここからは別行動にしましょう」

「了解や」


高橋健太とジャスミンさんとの間で、別々の武器屋へ向かうことになった。

まあ、俺たちの向かう武器屋は魔導銃専門の店だし、ジャスミンさんたちが扱えるものはないしな。


ジャスミンさんたちと別れ、俺たちは魔導銃専門の武器屋へ向かう。



楓のあの甘えた態度は、あの時と似ているんだよな。

あの、あこがれの先輩に告ってフラれた時と……。


でもなぜ、フラれたはずの憧れの先輩の連帯保証人になってしまったのか。

その憧れの先輩との間に何があったのか、教えては………くれないだろうな。


あれは、楓が高校生に入学してすぐのころ、いつになく家で興奮していたのを思い出す……。


『お兄ちゃん、運命だよ!これは絶対、運命なんだよ!』


滅茶苦茶興奮してて、俺は母親に聞いたんだよな。そうしたら…。


『楓、学校でお父さんに似ている人に会ったんだって。しかも、瓜二つだって言うのよ……』

『世の中には、似ている人が三人はいるというけど……』

『父親に似ているって、ねぇ……』


俺と楓は実の兄妹ではない。お互い母親の連れ子の俺、父親の連れ子の楓だった。

初めて楓に会ったときから、父親大好きだったから、俺は楓を甘やかしてしまったんだよな。


だが、楓の父親は、楓が小学校卒業すると病気で死んでしまった……。


その時も、この世の終わりってくらい落ち込んで慰めるのに苦労した。

中学に入学しても落ち込んだままで、何もやる気が起きなかったらしいが、小学校の時の友達と家族で元気づけてようやく心の整理がついたのか明るくなっていった。


そして高校に入って、その憧れの先輩を見つけてこの騒ぎだ。

毎日毎日学校に行くのが楽しみで、その憧れの先輩と挨拶やお話がしたいがために通っていたようなものだった。

だが、楓にとっての幸せは終わりを告げる。


憧れの先輩の卒業だ。

卒業すれば、もう会うことはできないのでは、と不安になり自分の気持ちが恋なのか分からず告って撃沈した。


その日は泣いて泣いて、母親に話を聞いてもらってたっけ。

でも次の日には、いつもの楓に戻っていた。

……いや、その日からなぜか俺に甘えてくるようになったな。おかげで、そのころの給料をだいぶ楓に使った思い出がある。


俺の前を歩く楓を見て、俺はそんなことを思い出していた……。






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― 新着の感想 ―
[一言] 成る程、元々は赤の他人だったのですね。 先輩に振られてからちょっとあれになったと。 その時から甘やかしてたと。 更には結婚詐欺に有って憔悴してた。 色々有って強くでて、なんか有ったら心配なん…
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