第62話 魔道具屋で買い物
「赤い箱の『精霊召喚石』とは、珍しいですね」
昨日に続き、今日も探索者ギルドの会議室を借り、昨日換金を忘れた魔石や宝箱の中身を担当してくれるギルド職員の女性に見せた。
彼女の名前は、エマリア。
探索者ギルド、第一階層のダンジョン町の探索者ギルドで働く換金課の鑑定・査定職員だ。受付嬢もしていたことがあるため、コミュニケーション能力も高い。
ただ、換金課は人手不足なため、ダンジョン下層の町へ出向していることがほとんどらしい。そのため、俺たちも初めて会ったギルド職員だ。
「珍しいんか?」
「赤い箱は火属性で、『精霊召喚石』としては二番人気ですからね。
ちなみに、一番は白い箱の光属性ですよ」
エマリアさんの話では、火属性の赤い箱で召喚できる召喚獣の中に『鳳凰』や『ドラゴン』が低い確率ではあるが呼ぶことができるからだ。
召喚士のあこがれの召喚獣である『ドラゴン』と契約を交わしたものは少なく、特にドラゴンライダーという職に就くことができれば国王が頭を下げて仕事を頼みに来ることもあるとか……。
また、『鳳凰』は別名『火の鳥』とも言われ、再生能力がありその力を医療に役立てることもできるとかで人気らしい。
属性ごとで召喚できる召喚獣や精霊が違うとか、俺たちには関係ないことだな……。
「……それって、すべてのドラゴンっスか?」
「いいえ、その属性で違うわよ。
この赤い箱なら火属性だから、『レッドドラゴン』になるわ。
『レッドドラゴン』は、『ドラゴン』の中で一番戦闘力があるから人気なのよ」
へぇ~、さすがエマリアさん。何でも知っているな。
と、そんなことより査定と換金をお願いしないと。この会議室には、俺たち『魔導ガンナーズ』しかいないんだから。
ギルドのロビーで待っている『戦乙女の盾』を、長時間待たせるわけにはいない。
俺は、エマリアさんに査定と換金をお願いする。
「すみません、ロビーで待たせている人たちがいるので……」
「ああ、ごめんなさい。でも、査定はもう終わっているわ。
この袋に入っている魔石は、全部で銀貨九枚と銅貨十二枚。宝箱に入っていた、こっちの布袋の金貨が千八十九枚。
この火属性の赤い箱の『精霊召喚石』が、金貨六百枚になるわね」
「ということは、合計で…………金貨千六百八十九枚と銀貨九枚と銅貨十二枚。
『魔導ガンナーズ』の九人で割ることになるから、一人……一人……」
エマリアさんの査定額を聞き、俺が計算するも一人頭どれだけになるかなかなか答えが出ない。
すると、意外な人物が答えを出した。
「一人、金貨百八十七枚と銀貨六十七枚と銅貨六十八枚よ、お兄ちゃん」
「……相変わらず、計算だけは早いな」
「だけは余計よ、お兄ちゃん。それより、お礼は?」
「……ありがとう」
「よし!」
とりあえず、これで換金をお願いする。
日本円にして、一人千八百七十六万七千六百八十円。これで、また借金の完済に近づいた人や完済できた人がいることだろう。
妹の楓や大塚詩織は、これから完済に向けて頑張っていくのだ。
探索者としてダンジョンに潜り、魔物を倒して宝箱を発見すれば、おそらくすぐに完済できると思う。
▽ ▽ ▽
探索者ギルドで換金後、俺たちはギルドのロビーにいたジャスミンさんたちと合流し魔道具屋へと足を運んだ。
魔導銃専門の武器屋へ先に行ってもいいのだが、まずはポーションなどを購入しておいた方が良いだろうというジャスミンさんのアドバイスを聞いてやってきた。
「……お兄ちゃん、ここってドン・○○ーテに似た店内をしてる。
所狭しと並んでいる店内はそのまんまだ……」
「……すごいですねぇ。これ全部魔道具ですか?」
魔道具屋に入った楓と大塚詩織は、店内を見ながら驚いていた。
とくに、種類豊富な魔道具に感心しているようだ。
「全部じゃないけど、大半が魔道具だよ。
まあ、今日はまずポーションを「お兄ちゃん、これ何!これ何!?」」
楓が、面白い形をした魔道具を手に取り、興奮気味に俺に質問してくる。
大塚詩織は、そんな楓を温かい目で見守っているような感じだ。
これでは、どっちが年上か分からないな……。
「……俺も、全部の魔道具を知っているわけじゃないんだ。
それに、並べられている所に説明が書いてあるだろ?」
「……あ、本当だ。え~と……」
魔道具屋に入ってすぐ、楓と大塚詩織を俺に任せてみんな店内へ散っていった。
こういう時はだれか、側にいてほしいものだな。
「大塚さん、ポーションの並べられている棚はこっちだよ」
「あ、はい。……ポーションて、どんなものを購入するんですか?」
そういえば、大塚詩織は初心者だそうで、この手のゲームもしたことないんだとか。そういう人って日本にいたんだな。
「今回は、治療ポーションと体力回復ポーション、それと少し高いけど、万能薬ポーションの三つだ。
治療ポーションは傷とか怪我を治すのに使うし、体力回復は疲れをとるために使う。万能薬ポーションは毒や麻痺などの状態異常全般に効くんだよ」
「ねぇ、ねぇ、予算はどれくらいなの?お兄ちゃん」
キョロキョロと店内に並べられていた魔道具を見たり触ったりして俺たちに追いついてきた楓が、俺に予算を聞く。
これは、欲しいものがあるってことか?
「何か欲しいものでもあるのか?」
「あ、分かるぅ~?さっきそこで、アクセサリーを見つけたの。
一つ、欲しいなぁ~と思って……」
アクセサリーって、耐性付与のアクセサリーか。
それは購入予定のものだから、お願いされるまでもないんだが……。
ここは、恩に着せて購入するのもありか?




