第59話 チーム登録
俺の妹の楓を問い詰めていると、今使っている会議室のドアがノックされた。
―――――――コンコン。
「はい、どうぞ~」
「失礼します」
ノックに反応したのは、ドアの近くの席に座っていたジャスミンさんだ。
そして、その声を聞いて探索者ギルドの受付嬢の一人が入ってくる。銀色の髪を右側にまとめた、まだ若い女性だ。
「あら、シアちゃん。どうしたの?」
「パーティー編成の手続きに来ました。二つのパーティーが合同で活動するとか?」
「私たちの『戦乙女の盾』とこっちのパーティーで、しばらく一緒にね。
それで、手続きをお願いしたいんだけど……シアちゃんで大丈夫?」
シアという受付嬢らしく、パーティー編成の手続きに来てくれたらしい。
しかし、ジャスミンさんたちと仲がいいみたいだな。ジャスミンさんが妹と話すように、気さくに話していた。
「大丈夫です!これでも受付嬢になって、一年になるんですから」
「じゃあ、お願いね?
それと、私たちの『戦乙女の盾』から、サクラコがこっちのパーティーに移動するからその手続きもお願い」
「はい、任せてください。え~っと……」
新人受付嬢のシアさんは、コの字形に並べられた机の真ん中に移動すると、腰に装着しているポーチから、白い箱を取り出す。
この白い箱に、ステータスデバイスを差し込むといろいろ手続きをしてくれる。
今回のパーティー編成も、この白い箱でできてしまうのだろう。
本当に、便利な箱だよな……。
「……あ、これは」
「どうした、シア。何かトラブルか?」
白い箱に、みんなのステータスデバイスを差し込みながら操作していると、新人受付嬢のシアさんが声を上げる。
その声に反応し、心配したのがエルフのナディアさんだ。
「あ、いえ、トラブルじゃないんです。
まず、サクラコさんのパーティー移動は完了しました。ですがケンタさん、パーティー名を決めてください。
いい加減決めてもらわないと、手続きが大変ですよ?」
……俺たちのパーティー名か。何がいいかな?とみんなの顔を見渡すと、ほぼ全員がお任せするとジェスチャーしていた。
みんな、そんなにこだわらないみたいだ……。
「ほんなら、『魔導ガンナーズ』で!」
「はい、魔導、ガンナー、ズ。で……。登録完了しました。これで、パーティーメンバーの皆さんのステータスデバイスに表示されるはずです」
魔導ガンナーズって、どこかの野球チームのようだ……。
みんな、任せたから何も言わないが、複雑な表情していた。
俺は、自分のステータスデバイスを手に取ると、ステータスを表示する。
名前 本田 誠司
性別 男
年齢 32
職業 ガンナー 魔導ガンナーズ所属
レベル 83
体力 7,387
魔力 15(固定)
スキル 異世界言語理解
貯金額 0円
……ん?おかしなレベルになっていないか?
俺は、深呼吸をしてもう一度ステータスデバイスの画面を見るが、レベルの数字は変わらなかった。
これって、オークジェネラルを倒したことで上がったのか?
それに、俺の体力もすごい数値だけど、何が変わったの分からないんだよな……。
「……確かに、職業の横に表示されとるな」
「あ、私も同じ」
どうやら、みんな同じように所属パーティーが表示されたようだ。
でも、レベル表示は疑問に思わないのかな?体力の数値の意味も、よく分からないしな……。
「それでシア、さっきは何を言いかけたの?」
「あ、そうです。みなさんの人数が二十人以上となりましたので、パーティーからチームへと変更されます。
チーム名は後で決めてもらって構いませんが、チームへアップしましたので探索者ギルドのチームショップをご利用できます」
二十人以上が集まると、パーティーからチームへランクアップするということか?しかも、探索者ギルドにあるチームショップを利用できるとか……。
「チームショップってなんや?」
「チームショップは、探索者ギルドにあるチーム専用のお店の事です。
そのお店では、町にある魔道具屋とは一味違う魔道具を買うことができるんです」
へぇ~、一味違う魔道具か……。
ということは、金額も一味違うのかな?
「シアのおすすめは何?」
「私のおすすめですか?そうですねぇ~、私のおすすめは『箱庭』かな。
魔道具のドア一つで出入りできるし、拠点としても利用できる異空間にある庭付きの家ですからね。
ダンジョンの中でも使えるから、ベテランのチーム探索者は必ず所持しているそうです」
……異空間に、庭付きの一戸建て?
それってどこからでも、拠点としている家に入ることができて休めるというわけか。
「そういえば、ガンナーの皆さんは『箱庭』をなぜか『どこ○○ドア』と呼んでいますね。何故なのでしょうか?」
「さ、さ~、何で何やろな~」
シアさんの疑問ももっともだ。知らない人は知らないからな……。
高橋健太も、答えにくかったのかごまかしたようだし。
「チーム名は、あなたたちが決めていいわよ。
しばらくは一緒にダンジョンに潜るけど、ずっと一緒ってわけじゃないからね」
「了解や」
ジャスミンさんにチーム名を任されて、高橋健太は了承する。
ジャスミンさんたちが抜けるときか……、その時はしばらくはないと思いたいな。




