第46話 第三階層での初戦闘
次の日、ダンジョン町でお弁当と飲み物を買い込み、パーティーメンバーと一緒に第二階層から第三階層への入口になる場所へとたどり着く。
俺たちの目の前にある坂道を降りていけば、いよいよ第三階層になる。
「ほんなら、行くでぇ」
リーダーの高橋健太に言われ、自分たちの手にある武器の魔導銃を構えなおし、一歩一歩第三階層への坂道を降りていく。
通常、ダンジョンの階層と階層の間は階段になっていることが多いのだが、俺たちがいるダンジョンは坂道になっている。
これは、大変珍しく親切な造りだ。
なぜなら、このダンジョンでは徒歩以外の通行手段が使えるからだ。
そのため、無限鞄のないものや身分の高いものは馬車を使う場合がある。
俺たちも、移動が大変になったら馬車でとも考えるが、魔物に馬車が襲われて終わりだろうと思い考えるのをやめた。
変なことを考えながら坂道を進むと、すぐに終点の第三階層にたどり着いた。
そこは、第二階層と変わらない造りをしていたが、唯一違うのが地面が芝生になっていることだろうか。
まるで絨毯の上を歩いているような感覚になるほど、芝生の上は歩きにくい。
「……芝生ってフワフワするね」
「でも美月ちゃん、転んでもケガはしなさそうだよ」
「確かに、葵ちゃんの言う通りケガはなさそうだけど……」
杉本美月と小西葵に田辺美咲が、歩きながら感想を喋ってる。
確かに、転んでも平気そうだが、戦えるのか少し不安だな……。
「ここはまだ浅い階層や、凶悪な罠はあらへんが気ぃつけるにっこしたことない。いつもの通り、気配ゴーグル付けていくでぇ!」
「「はい!」」
高橋健太の気合に、中川明日香と杉本麻美が答えた。
もちろん、俺たち他の者も頷いて気合を入れる。
「で、ゴーグルは誰からや?」
「俺っス!魔物の気配は任せてくださいっス!」
長谷川大輝が、気配ゴーグルを装着しダンジョン探査を開始する。
まずは、続いている道なりに進んでいく。
入り口から十メートルぐらい進むと、最初の曲がり角に到着する。
というより、右への道しかない曲がり角だ。
「変な曲がり角だな。右にしか行けないなんて……」
「長谷川君、魔物の気配はどう?」
「そっちの左の壁の奥に、三体の魔物が表示されているっス」
伊藤拓也は不思議に思い、俺が魔物の気配から探ろうと長谷川大輝に聞いてみた。すると、左側の壁の奥に魔物の気配が存在する。
……これは、壁の向こうに行けるパターンか?
早速、メンバー全員で左の壁に何かないか探してみる。
すると、壁の下の芝生に隠れるように突起物を発見する。
「……怪しいですね」
「怪しいわね……」
突起物を発見した、中川明日香と杉本麻美が怪しんでいる。
「怪しんでないで、踏めばわかるやろ?
戦闘準備や!ええか?踏むでぇ!」
見ているだけで何もしない二人にイラついたのか、高橋健太が割込みパーティーメンバー全員に戦闘準備を告げる。
そして、発見した突起物を足で踏んだ。
すると、ズゴゴゴという体に響く音とともに、壁が持ち上がっていった。
明かりを用意しようと、無限鞄を探るが隠し通路はダンジョンと同じく両側の壁に照明がついていた。
目の前に現れた通路の先に、魔物の姿を確認する。
「ダンジョンオオカミや!本田はん、壁を頼むでぇ!」
「了解!」
俺は、左手で腰の後ろのホルスターから自動拳銃型の魔導銃を取り出し通路の両端の地面に向けて撃ち込む。
すると、壁の魔法が発動し通路の両端に土の壁が出現。
これで、通路が狭まりダンジョンオオカミの突進を邪魔してくれる。
「壁と壁の間から抜けてくる奴を狙うんや!」
高橋健太の作戦は見事当たり、ダンジョンオオカミは一匹ずつこちらに襲いかかってくることしかできなかった。
一匹、二匹とダンジョンオオカミを倒し魔石へと変える。
ところが、三匹目だけがどうしても倒せない。
自動小銃型の魔導銃で、何発も『ファイアーアロー』を当てているのになかなか倒れない。そのうち弾切れになり弾倉を変えている隙に、ダンジョンオオカミに杉本麻美が狙われ襲いかかられる。
『ガアアアァァッ!!』
「ヒッ!」
「お母さん!」
ダンジョンオオカミが叫びながら襲いかかり、杉本麻美は恐怖のあまり芝生の上に座り込んでしまう。
その光景を見ていた娘の杉本美月がとっさに叫び、そこへ伊藤拓也がダンジョンオオカミへととびかかった。
「いでぇっ!」
いきなりとびかかってきた伊藤拓也を足蹴にして、ダンジョンオオカミは俺たちから距離を取る。
そして、睨みながら威嚇し唸っている……。
『グルルルル……』
一方、足蹴にされた伊藤拓也は、蹴られた左肩に大きな爪痕がありそこから血が流れていた。痛みを我慢しながら、傷口を抑える伊藤拓也。
杉本美月が、母親の杉本麻美の側に寄り添い声をかける。
その声で我に返り、杉本麻美は助けてくれた伊藤拓也の心配をした。
「お母さん!」
「み、美月!わた、私より伊藤さんが!」
「大丈夫、ポーションがあるから、ね?」
視線を伊藤拓也に向けると、田辺美咲にポーションを飲ませてもらっている。
その周りには、小西葵がダンジョンオオカミを警戒して自動小銃型の魔導銃を構えていた。
俺は、自動小銃型の魔導銃の属性交換をすることに。
このダンジョンオオカミは、火属性が効きにくいのだろう。ならばと、氷属性魔石へと交換する。
これが、効けばいいが……。
いつもの時間帯に、続きを更新します。




